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娘の塗り絵から考える創造性を引き出す文脈のなさと十分な余白。

GWいかがお過ごしでしょうか?今回は軽いトーンで「概念、フレームとか想像力を阻害する要因や拡張するポイント」を、娘の塗り絵を通して考えてみたいと思います。

塗り絵コンテンツを提供してみた

Stay Homeということで色々と工夫しておらられる方も多くいらっしゃるかと思います。私の家族も緊急事態宣言後、5歳の娘を保育園に預けることが難しくなり、どのようにして1日娘の気を逸らすか、「ひまぁ~」と言われないようにするかということに苦心しておりました。そんなときにローソンが塗り絵を無料提供しており、少し時間を埋めることに成功し、これなら自分たちにも出来るのではないかということで、会社メンバーに協力して貰い、先日発表した「babypapa」というロボットの塗り絵を提供しました。ローソンのリラックマ、ポケモン、ドラえもん、というコンテンツ力には全く及びませんが、やらないよりはやった方が良いかなぁということで、お暇な方は塗ってみてください。(できたら、#AugLabbabypapaでシェア頂けると嬉しいです)

babaypapa自体はこんな感じです。シーンの記録・学習をしながら、3体のロボたちが掛け合いをします。

【塗り絵データは以下からダウンロードください】

5歳の娘に塗って貰ってみたはずだった

プレス発表のために手元にロボットもあったので、興味をもった娘に「塗ってみて~」とお願いすると、割とノリノリで塗ってくれました。

うん、なぜ髪の毛が生えたのは、良く分からないけど、洋服を着させてくれて可愛らしい感じになった。思っていたより良い方向だ、というわけで面白くなってきたので、3枚ほど追加で塗り絵用の紙を娘に渡してみました。

出来上がったのが、これ。

スカートとかズホンを履かせてみたらしい。なるほどね~洋服を着せるというアイデアはあったけど、こちらの予想としては上着的なものをイメージしていました。ボトム関係が書かれると思っていませんでした。

そして、次に出来上がったのは、以下二つ。

正直、娘の世界観に追いつけて行けていないところがあるのですが…サンタクロースがbabypapaのもとにプレゼントを持ってきてくれたり、babypapaがお友達や動物と一緒に遊んでいるシーンを描いてくれたそうです。

塗り絵の概念

正直ここまでは想定していませんでした。単純に渡した紙に色を塗るというのが「私」の中での塗り絵。最近は大人にも人気という「塗り絵」ですが、子供用だろうと大人用だろうと、『輪郭だけ描かれた図形や模様の中に、色を塗っていく』ものという概念の中で理解されているものでした。

娘はこれまでにディスニーやプリキュアの塗り絵をしたことがあったので、当然、彼女の中にも塗り絵に対して「枠の中に色を塗っていく」という概念はある程度形成されていたはずです。それでも、その概念というかフレームを超えて、塗り絵を塗る、というか作品を作ってくれました。

まずは、サンタさんがプレゼントを持ってきて・・・とか、お友達と遊びながら・・・というストーリを1枚の絵の中に設定し始めたこと
そして、そのストーリーを表現するために、余白部分に新しいオブジェクトを新たに追加しています。サンタさんなどを書き足したり、他の紙に書いたお友達の絵を切り抜いて貼り付けたりしています。もはや、塗っていない!

私の塗り絵の域を超えています。良い意味で。いかに自分が小さい概念、思考のフレームの中でパターンを生成していたのかと思い知らされました。石川善樹さんがNewsPicksの中でタルコット・パーソンズの概念に対する説明を以下のように引用されています。

概念とはサーチライトのようなもので、わたしたちが事実と呼ぶものは、概念によって切り取られた現実の一部なのです。サーチライトが変わることで、いままで見えなかった暗闇が輝き、あたらしい事実が見いだされるのです

まさに概念とは、1つの視点で写像された世界であり、ある意味効率的に共通的な理解を得るために有効な手段であると感じると共に、世界に沢山ある違う見方を意図的に消し去ってしまうことも可能なように感じます。

今回は娘の塗り絵によって、自分自身がいかに狭い範囲の概念・フレームで塗り絵ということを理解しようとしていたか思い知らされました。たまたま塗り絵ということでしたが、日々生活の中で狭い思考・フレーム(いわゆる、固定観念、当たり前)に填まり込んでいるのではないかと、ハッとさせられました。

塗り絵の概念の拡張のために

そして、逆に今回なぜ娘はある程度出来上がっていたはずの「塗り絵」という概念を飛び越えて、新しい概念で世界を捉えなおしたのかというのは興味があるところです。本人に聞いてもバシッとした答えは返ってきませんでしたが、おそらく

●「babypapa」という対象が初見に近く、コンテクストがほぼない状況で塗り絵を始めたことで、自分が色々なストーリを創造しやすかったこと
● 塗り絵自体も非常にシンプル(手抜きとは言わないでください)で、余白が十分にあり、自分で色々と書き込めるようになっていたこと

が多分に影響しているのではないかと。残念ながら、ホームページで公開してもあまり反響がないのは・・・babypapa自体のそもそものコンテンツ力という問題もあるかと思いますが、おそらく関係ない人には「ロボット自体に文脈・ストーリがなさすぎる」、そして「塗り絵としては余白が多く、塗りごたえがなさすぎる」ということなんだと思われます。逆にこの2つは思考力を狭める要因になっているというのは、新しいことを考えるにはある程度この2つの要因を広げてあげる必要がある、ということな気もします。

というわけで、今回のbabypapaの塗り絵は、単なる塗り絵としてではなく、新しいストーリを考える時間潰しアイテム、もしくは教育コンテンツとしてお使いいただければと思います。笑
(あまりにリアクションがないと寂しいので、どなたかやってみてください!)

では、また来週~!!

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