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2022振り返り

ブランド開発は成功したか?

デザインとマーケティングの狭間で揺れた前半戦。心地よいデザインを作ることは、売れる商品を作ることと同義ではないことを痛感。人の感情や感性に訴えかけるデザインは、誰もが共通の感覚によって親しみを覚える母体となる体験があるものです。集合的無意識という概念ですね。

集合的無意識(しゅうごうてきむいしき、ドイツ語:kollektives Unbewusstes、英語:collective unconscious)は、カール・グスタフ・ユングが提唱した分析心理学における中心概念であり、人間の無意識の深層に存在する、個人の経験を越えた先天的な構造領域である。普遍的無意識(ふへんてきむいしき)とも呼ぶ。個人的無意識の対語としてあり、ユングはジークムント・フロイト精神分析学では説明の付かない深層心理の力動を説明するため、この無意識領域を提唱した。

wikipedia

ただし、それがあるからと言って、必ずしも売れるものになるとは限らないんですよね…。売れているものが、心地よいものかどうかと言われれば…そうとも限らない。この間にあるものは何だろうか?というのをずっと自分に問い続けていました。ある時、深澤直人さんの「日常に溶け込むデザインとは?」という講義を聞いてみたら少し腑に落ちた部分がありました。
気づく力とか感覚を磨いていくことが重要なデザインの世界、デザイン思考や言語が優位に立ってしまい、自分は少し感覚的な部分が鈍感になっていたのかもしれないと反省しました。

創造力を高めるノウハウはない
受け取れる感覚・気付く力があれば創造できます。
Design Thinkingは考えることではない
感じたことを自覚できる力です。
創造とは共感を得ることを生み出すことです。

東京ミッドタウン・デザインハブ
「日常に溶け込むデザインとは?」講師:深澤直人



おそらくデザインとマーケティングの間には意識のギャップがあると感じます。これを埋め合わせられるのは、デザイナーでありマーケターでもある、両方の視点を持っている人なのではないだろうかと考えています。マーケターは消費者のニーズを時代の潮流やリサーチから読み取ろうとしますし、デザイナーはユーザーの悩みを解決出来る製品やサービスをデザインします。ベクトルは似ていますが、アプローチ方法が違うので、お互いのアプローチ方法を知り、ベクトルを合わせた時に良い製品が出来上がり、製品の良さを伝える為のコミュニケーションが実現して、商品がユーザーに届くのだろうと思います。
自分はそうなれたのでしょうか。この問いはまだまだ解けていませんので、もう少し考察していきたいところです。

結論ブランド開発は成功したのかどうか?については、はっきりとは分かりませんが、グッドデザイン賞も受賞し、一定の評価を得る結果は得られたと思います。まだまだローンチされたばかりの商品なのでこれからラインナップの充実や品質改善がなされ、より良い商品になっていくことを願っています。

&MEDICAL MALLOW
ワークチェアとしても使用できるオーバル型バランスボール。座り姿勢を体の動きに合わせてフレキシブルにサポートし、日々のデスクワークで自然と体幹を鍛えられます。自立する適度な安定感があり、球体のバランスボールよりもコンパクトで場所をとりません。空間に優しく溶け込むバランスボールの新しい定番を目指しました。

グッドデザイン賞2022公式サイトより

最後に実現したプロダクトデザイン

ドリームを退職する最終月に粘りに粘って、最後に商品化した「ISLAND CUSION」がMakuakeに登場したみたいです!1時間でミッション達成したみたいですね。このIDLAND CUSIONは座禅やマインドフルネス瞑想に自然に誘うクッションです。

使い方は至って簡単で、足を組んで瞑想するだけ。瞑想は心身共にリセットするためにしている方がいるかと思いますが、長時間することが難しいという課題があります。この商品は、この中にスッポリと足を組んで座るだけで、骨盤が立ち、背筋が真っ直ぐ伸びる不思議なクッションです。

試作を何回も繰り返し、辿り着いたのはシンプルでミニマル形状。マインドフルネス専門家の久村先生にも試作を何回も確認いただきながら調整しました。2年の開発期間をかけて実現した商品です。企画者のYさんと、引き継ぎを快くしてくれたOさんのおかげで量産化が叶ったようです。最後の最後で帆走してなんとか形にした企画だったので本当に嬉しいですね。あなたの心をリセットする特別な空間を演出するISLAND CUSION是非体感してみてください!

フェーズを変えてみたらどうなったか?

2022年7月末で株式会社ドリームを退職して、2022年8月より日本特殊陶業株式会社に入社しました。前職ではブランド開発をしてきましたが、一方で私自身をアップデートする為にどんな環境に身を置くべきなのかを考えてみました。家族の状況であったり、今後やっていきたいフィールドを考慮していきながら、何を追求していきたいのか、どんなことがしたいのか?心を燃やせる領域は何か?と自分への問いを立ててみると、新規事業における企画開発UXデザインの領域だろうと考えたわけです。詳細は以下のブログ記事にまとめています。

フェーズを変えたことで、自分のキャリアの中での強みとは一体何なのかを振り返ることに繋がっている気がします。自分で考えている強みと、周りから必要とされている強みの重なり合うところで働くを考えていきたいですね。与えられたなにかを全うする事よりも、組織が変わっても変えられない自分の核になっている役割や強みってあるものなんですね。それに気づけた事が良かった年でした。

現在職場では、創発環境大臣と自分を名乗っています。何かを創り出したり、アイデアを考えたり、誰かと一緒になってあーでもないこーでもないを繰り返す。そんな仕事が性に合っている気がします。そんなことを楽しみながらやってきました。

年末に友人のReadmasterさんと話す機会がありました。話をしている中で自分が楽しめているかどうかは結構重要な要素だと改めて思いました。やりたいことをやっていないと、人から言われてやらされ仕事をしてても面白くないよねというような話をしました。Readmasterさんは今年は雑談をしていきたいと言ってました。取り止めもなく話しているように見える中にもその場の雰囲気とか空気感みたいなものを作り、人の輪郭を高めていくことで、その場にいる人同士が分かり合えたり、共有出来るものが発見出来たりすると嬉しくなる、そんな感じでしょうか。
たかが雑談、されど雑談。雑談から何か始まる、そんな予感にワクワクさせてもらいました。
さて僕は何をしたいのでしょうか。大企業の組織の中で何ができるんだろうか?と自分に問いながら、創発文化を作って行けたら面白くなりそうです。

社内の横断的なプロジェクトに参加してみた

組織の文化を作るというと、大上段に構えた感じになりますが、なんかやりたい!と思った時に声を上げられる環境って実はなかなか無いよねということです。組織の都合であったり、鶴の一声で始まる活動だったり、そういうのじゃなく、現場の人が現場で感じた違和感だったりとか、こうじゃないよねと思うモヤモヤ感であったりとか、そういえばこの前こんな本を読んで参考になりそうだったから試してみたいとか、日頃やっていることからの気付きをシェアして、そこから創意工夫してチャレンジしていける文化が人を成長させるのではないでしょうか。

良かったことは、社内の状況だったり、組織内の人達がどんな心境で、どんなことに悪戦苦闘しながら事業開発をされているのかが少し分かったかなというところです。僕の今までの経験で役に立てる役割があるなら積極的に色々やっていきたいなと考えています。

組織横断プロジェクトに参加してみて心境が変わった点をあげるとすれば、HCD専門家という資格を取る意味が出来たというところになります。プロセスを体系化してその内容を話す時に専門性のある人が喋った方が説得力も推進力もありますし、何より共通の言語やフレームワークを元に話が出来るようになるのは非常に良いことだと思ったわけです。

人間中心設計専門家の資格ってどんなものでしょうか?以下は資格を受験できるHCD-Netさんのサイトからの引用になります。

●人間中心設計専門家(認定HCD専門家)
・人間中心設計専門家:人間中心設計・ユーザビリティ関連従事者としての実務経験が、5年以上あること。
●人間中心設計スペシャリスト(認定HCDスペシャリスト)
・人間中心設計スペシャリスト:人間中心設計・ユーザビリティ関連従事者としての実務経験が、2年以上あること。

HCD-Net公式サイトより抜粋
https://www.hcdnet.org/certified/

HCDプロセスに関するワークショップをやってみて何か変化はあったか?

社内向けのHCDプロセスに基づくワークショップを3回実施しました。特に何も表向きは変わらないかもしれないですが、参加した人の深層心理の中にあるものとか、HCDプロセスを考えるためのフックになるようなものは作れたんじゃないかと思います。オンラインワークショップで100%伝わるということはなかなか難しいということも実感しました。準備はメチャクチャ時間がかかりました。

自分自身の振り返りとしては、誰かが創り上げたプロセスを紹介するためには一度自分なりに全てを噛み砕いてみて、それでもわからないものがあれば、壊してみてから再構築しなければいけないということがわかりました。自分が主導したものでないものを人に伝える、教える、啓蒙するのはほぼ無理ですね。自分発信で情熱を傾けられるものをやった方が良いです。

何故だろうと深堀してみると、押し着せがましいんですね。こんな方法があるので皆さんやってみましょうよ!って。自分がやりたくもないものは人に勧められないというジレンマがありました。なのでここは客観的にHCDプロセスの一種を扱ったまでのこと、と割り切る事にしました。そしたらザワザワしていた心が落ち着いてきた気がします。

今回のワークショップを通して、創意工夫したプロセスとか、ワークショップ、方法論みたいなものを、自分なりに開発したいと強く思いました。キーニーズ法、編集工学、HCDプロセス、どれも今までの過去の偉人や日々蓄積された叡智を結集して作られているものです。しかし、まだこれらの方法に足りてない新たな視点みたいなものがあって、それをインストールすることで、イノベーションが起きやすいツールや生態系を作れるのではないだろうかと考えています。人間中心設計は人を基準にモノやサービスを作ろう!という、重要な概念ですが、一方では、社会の課題が解決されやすくなるような、環境中心設計が必要な時代なのではないか、まだその方法は体系だったものは存在していないのではないかと悶々と考えています。まずは自分がやってみて体現していけるように精進したいですね。

組織内に新たな風やフレームワークをインプットしてみたらどうなったか?

マーケティングリサーチは重宝がられるけど実態はどうなの?使えるの?というニーズが結構ありまして、調査設計要員で駆り出されることが多くなりました。一重に前職で出会ったキーニーズ法のおかげですが、そもそものマーケティングに関してはまだまだ僕自身も経験が浅いので、本当の意味でマーケティングリサーチが出来ているのかは不明というか、自信がなくやっている感覚は否めません。何かのコンセプトを考えた場合に、「ユーザーのことを一番知っているのは自分なんだ!」という状態を作り出すためのプロセスをデザインすることに関してはプロになれたと思っています。

デザイナー試行を論説してみたらどんなリアクションが返ってきた?

社内のUX CommunityというUXデザイナーや興味がある人が集まる横断型のサークルのようなものがあり、そこでTAKEBONが今までやってきたことなどを紹介する機会がありました。何を話したかというと、僕の前に登壇された方が人間工学専門家さんだったので、その道で一流のプロの人です。HCDプロセスについて人間工学視点で調査のあり方などを学びました。では、僕はその次のバッターとして何を提供できるのか?
うーんと悩みまして、デザイン思考とか?
いや違うなぁ。デザインプロセス?うーん近いけど違うなぁ。
デザイナーの試行していることとか話したら良いんじゃないか?
デザイン思考とデザイナー試行の違いについてちょっと紹介しておくのも良いんじゃないかと思いまして、このような図を用いて話をしてみることにしたんです。

デザイン思考とデザイナーの試行
デザイナーのプロセスは、あまり明確なプロセスはなくて
非線形に行ったり来たりしている状態なんです。

手を動かしながら、あーでもない、こーでもないを繰り返すことが重要だよね、という何の体系化もされていない内容を喋りました。

結果、反応はあまり返ってきていません(笑)

何故かってデザイナーではない人を対象にデザイナープロセスを紹介してもなかなかピンとこないからですね。だからこそ、デザイナーの価値ってそこにあるわけで。それを証明したかったのかもしれないです。

スケッチ描くってサラサラっと描きますけど、人や動物、機構や構造の事をきちんと理解してないと出来ません。朧げにある漠然としたものを、明確にハッキリとさせる事が出来るのはデザイナーの資質で、日々の仕事や遊びの中で鍛えてきた地道なトレーニングがあってこそです。これは何者にも代え難いし、譲れない部分何だなと思いました。

デザイン思考とかで事業作れますよって言ったとしても、アウトプットの質とかブランディングとかはデザイナー抜きにしては語れないものです。

マーケティングとデザインをミックスしたワークショップを設計してやってみたら、新人の心境変化があったのか?


デザインとマーケティングは相容れないものだと考えてきた身なので、ミックスすることに違和感があるかもしれないと思いつつも、売り方をデザインする方法というのは存在していて、商業デザインについて実践したり、教育することは少しなら出来るといった感じでした。

デザインとマーケティングのニーズはメッチャあると思いますし、独自性もメッチャあると思います。デザインとマーケティングの二つの視点でビジネスデザインをしていける人財ってかなーり少ないと思うので、希少価値はありそうです。だけど本来本当にそこがやりたかったのかと言われれば少し違うかもな…と思い始めています。大企業とか新規事業やっているところでは需要がありますけど。

海外とのやり取りが増えて英語勉強し始めるもTOEIC点数に愕然

WEBの簡易TOEICテストを受けましたが、460点でした。日特の平均点は560点ぐらいだったのでそれよりもマイナス100点からの出発です。ひょえええ〜。海外のデザイン会社とやりとりしたり、部門長も外国人と、アウェー感がかなりありましたが、少しずつ英語圏の文化にも慣れつつあります。英語は全くできないですが、マインドセットが大切みたいです。日本人はできないできない言うけども、中学英語で良いから、まずは伝えてみること!簡単な文章で!と学びました。
リアクションは四秒以内に返しなさいと言われました。なんでも良いから自分の意見を言うこと。
OK!
Yah!
ah…han?
これをマスターしました(笑)

HCD専門家の資格を受験することにチャレンジ!するも年末年明けは活字中毒に…



高校生へワークショップをしてみた!

偶然が偶然を呼び、高校生にクリエイティブキッズの活動を紹介し、ワークショップを開催することができました!この活動が学校の授業で取り上げられ、ワークショップをオンライン環境ではあったものの開催できたことは非常に嬉しいことでした!!

wemakeで、大手自動車部品メーカーの新規事業部門の中の人と仲良くなったけど、ちょい悔しい結果だった。

自動車部品メーカーのニフコさんのプロジェクトで提案した事業企画案は優秀賞でした!!最優秀賞を狙っていたのでちょっと残念ですが。マーケティングのフレームワークを用いながら、売り方を考えて、ユーザーリサーチによるニーズ抽出から、具体的なソリューションを構築し、コンセプトの受容性評価まで一通り実施できたので、HCDプロセスを体現できたので良かったです!!

まとめ

駆け足で2022年を振り返ってみました。
僕自身は強みが発揮できている時は良いですが、弱みに焦点が当たると本当に弱い存在だなと思うことがよくあります。2022年は厄年、大殺界停止と、あまり良い年ではありませんでしたが、それなりに頑張れました。この時期にはやっちゃだめとなっているタブーの転職もしました。VUCAの時代に待ったなしで自分のキャリアはすぐに風化していきます。

2023年は更なる自己アップデートを図る年にしたいと考えています。HCD専門家は1月15日本日書類提出を終えました。なかなか手強い受験でしたが、乗り越えました。準備から提出まで半年かかると言われた専門家の膨大な書類を書き終えて思うことは、本当の意味での専門家はクリエイティブな領域にいるはずだということです。なので、僕自身はHCDのプロセス自体を開発研究したいと考えています。自分なりの独自の理論を構築してデザイナーが専門分野を一つでも二つでも持って、新たな道が開けるなら、自力で開いて、次のフェーズに向かいたいと考えています。

日特では何故か「メッチャ有名人ですね!」と言われることが多くなってきました。横断型組織に参加したり、部門長が推してくれたり、というポジティブな面と、逆にネガティブな面もあるかもしれないという気を張りつつも、カオスな状況を楽しみながら前に進んで行けたら良いかと思っています。wemake繋がりで偶然知り合った方がいたり、ワークショップやりたい!と言ったら協力します!と快く応えてくれた新卒1年目の仲間も出来ました。

さて2023年はどんな年になるでしょうか。
自主的にやりたいことを主導してやっていけるような創発環境を作る創発環境大臣となって、チャレンジを続ける年にしていきたいと思っています。

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