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スタートアップを創業して、3年間で感じたこと

桜の咲く季節となりました。どこも満開ですね(^^♪歩いていても気持ちが良いです。皆様も花見されましたでしょうか。

さて、私が所属しております中小企業診断士の研究会『スタラボ(創業部会)』において、スタートアップを創業された島田様に講話頂きました。スタートアップ創業に興味がある方々には、非常に貴重な情報だと思います。講話内容を抜粋し掲載致します。許可は頂いております。


講話に至る経緯

島田様とは、中小企業診断士登録養成課程の同期でした。その当時から分析力、構想力が非常に素晴らしい方でした。その後、時を経て所属しております研究会から島田様が創業後、いろいろとご活躍されている情報があり、ぜひ今回の講話をご依頼しようという運びになりました。


島田茂樹様のご紹介


・2010年4月株式会社ミクシィ新卒入社
 営業・ゲーム開発後、社長室にてM&Aや子会社経営に従事
・2017年2月株式会社エブリー入社
 経営企画として、資金調達や事業提携などのBizDevに従事
・2017年12月株式会社エムドーンを共同創業
 取締役に就任


株式会社エムドーン様のご紹介


・設立
 2017年12月1日
・資本金
 6,273万円(2021年2月時点)
・事業所
 東京都品川区西品川一丁目1番1号住友不動産大崎ガーデンタワー9階
・事業内容
 タレントマネジメント事業
・役員
 代表取締役 島 裕晃
 取締役   島田 茂樹


理念は、「頑張れば報われる社会を作り、それによって人々をより笑顔にする」。


株式会社ミクシィでアイドル関連事業を運営していたメンバーが中心となり設立しています。「M」はメンズの「M」、「DAWN」は夜明け、「メンズの夜明け」という意味で、メンズタレント領域を中心にビジネスを展開しています。


2018年4~6月に地上波のオーディション番組を経て、2018年8月にユニバーサルミュージック(EMI Records)からメンズダンスボーカルユニットの「スクランブルガム」がデビューしています。 


起業に至った経緯


2013年に初めて会社経営に携わり、将来は経営でご飯を食べていきたいと思うようになりました。
一方これまで経験してきた「営業」、「ゲームプロデュース」や「Webディレクション」といった個別のスキルだけでなく、財務やマーケティングなどの知識を総合的に求められることに楽しさを覚えました。


2015年に体系的に経営を学びたいと思い、中小企業診断士の資格取得の勉強を開始。2015年に一次試験を合格し、2016年に養成課程に入学し2018年に取得しました。


2017年に上場を目指すベンチャー企業に経営企画として転職しました。総合的に経営に携わりたいと思い、未上場のベンチャーに転職し、資金調達や事業提携など様々なことを経験しました。一方結局は、会社員で自分の意思決定がダイレクトに市場に反映されるわけではなかったのです。会社の企業価値が上がるにつれて、創業メンバーの資産も大きくなるのを見てリターンを考えたらゼロから起業してみようと思いました。


起業のリスクとしては、借入が多くなれば連帯保証人としてのリスクはあるものの、やり方次第ではリスクヘッジできると思い起業を検討しました。そして2017年末に起業です。


起業する前に行った準備


セーフティネットを設けること

仮に失敗したとしても再起不能にならないかのシミレーションです。貯金額に応じて撤退ラインを決めていたこと、自分の年齢を踏まえて挑戦できるラインを決めたこと、もし家族がいる場合は家族との話し合いをすることです。


中小企業診断士の取得もしました。自らビジネスを行うので能力的にも必要です。仮に失敗しても資格があれば、最悪食いっぱぐれはないかと思いました。


ビジネスモデルの検証

起業してからニーズの検証をするのは、仮説が外れた際に、再度ニーズ検証から検討することになります。非常に効率が悪い上に、資金が消費するスピードが早くなってしまうので、起業前にビジネスが上手くいくかの検証を行っておくことです。実際には、株式会社ミクシィでやっていた新規事業を元に起業しているため、ある程度のニーズがあることはわかっていました。


資金集め

資本金のために貯金や知人への出資のお願いをしました。起業後にベンチャーキャピタルなどを見つけるのもよいのですが、起業前からベンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの出資を取付けておく方が心理的にも安心します。特に大企業出身というだけで、箔がつくのは辞める前までです。


起業してうまくいっている会社の状態を知ること


一度起業すると、これまでの会社員生活ではわからないことや経験したことがないことの連続です。起業してうまくいっている状態はどういうものかを把握しておくことです。実際に自分が起業した際に、うまくいっているのかそうでないのかが把握できます。


いきなり起業するのではなく、株式会社ミクシィ時代には買収した会社の経営をしました。株式会社エブリーでは起業して1年ほど経ったステージでのベンチャー起業を経験させてもらいました。


起業する前、した後で苦労したこと


起業する前の苦労

資金調達です。事業として実績がない中で資金調達をしたので、これまでの経歴と事業計画が重要になりました。デッドとエクイティの両方で調達したので、それぞれ評価者が見るポイントが違ったので、説明の仕方を変える必要がありました。


仲間集めです。最初は起業しようにも、一緒にやってくれる仲間を口説くのに半年以上はかけました。自分の場合は、一人で始めたわけではなかったが、一緒にやるメンバーを集める際に「同じ志だが、違うスキルセットの人」を集められたことは良かったです。


起業した後の苦労

周りの目が変わりました。会社の看板の力を痛感しました。ミクシィだから会えていた人などがいたことを痛感。特にベンチャーキャピタルは紹介経由でないと、肩書で会ってもらえるかが変わったりします。人脈などを使いたい場合は、起業前にすべきです。


すべてを自分でやる、もしくは把握していないといけません。大きな会社にいれば専門性が分かれており、とくにバックオフィス業務などは誰かがやってくれました。それをすべて自分でやらなくてはいけません。外部に委託するにしても、自分で何が必要かを把握していないといけません。


一度やってしまえば慣れるのだが、最初に調べながらやると時間を食います。本来の事業を伸ばす方の時間を取られてしまうので、バックオフィス業務を効率的に回す方法を考えておくと良いです。


銀行残高と毎日にらめっこするお金周りの苦労があります。起業するまでは給料日はうれしい日でしたが、起業してからは銀行口座からお金がなくなるので嫌な日になりました。


自分は最初の半年間は給与をもらわなかったが、それでも資金ショートの危機がありました。お金周りの苦労は起業して3年間が過ぎたが、未だに資金ショートの悪夢を見るなど、苦労は尽きません。


起業して楽しかったことや嬉しかったこと


ささいなことでも人に感謝するようになりました。資金ショートの危機の際に、顧問税理士に相談した際に、「いざとなったら、僕が貸しますよ」と言われ、涙が出るほど嬉しかったです。実際には借りずに済みましたが。会社の看板ではなく、自分たちのやってきたことで評価されるので、評価されたときは以前よりも自信になるし、嬉しく感じます。


初めて売上が立ったときは、0から自分たちの力で事業を起こし、それに価値を認めてもらい、対価を支払ってもらったときは嬉しかったです。そして、その結果利益を上げられた時に、事業として成立していると思え、自信につながりました。それ以降、月商が1,000万円を超えたタイミングや通期で黒字化したタイミングなど節目節目でより自信が深まりました。気づけば、初年度の年間売上が数カ月で達成できる規模になっており、成長を感じました。


今後の方向性


株式会社エムドーンの役員として

出資を受けているので株主にリターンを返すべく、企業価値を向上させExitします。ベンチャーキャピタルが入っているので、償還期限までの2025年~2027年あたりまでには方向性を出したいと考えています。


個人として

老後のお金の心配をしたくなくて起業したところもあるので、エムドーンExit時には一般的な生涯賃金以上を得たいです。上記が達成した後は、お金や生活のためではなく、自分が本当にやりたいことに自分のリソースを投じたいです。


以上いかがだったでしょうか。私は、まず企業の存在目的である理念が素敵だなと感じました。頑張ったら報われるって良いですよね!!

質疑タイムにおける島田さんの発言の中で、大変重要だと感じた部分があります。それは、「事業がうまくいかなかったときに、どこを変えればうまくいくのかわからない状態が絶望である。野村克也元監督は「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」にあるように、今売上や利益がいっていないのはどこが想定と違うのか自分でわかっている必要がある。対処までのスピードも早く,PDCAも早く回せる」です。キードライバーがしっかり設定されているとうことですね!(^^)!

島田さんこの度は本当に貴重な講話ありがとうございました!!

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