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6/24ピアニスト守重結加*シリーズ「新たなる挑戦」始動! 偏愛するシューベルト《幻想》を弾く
シューベルト作品を偏愛するピアニスト、守重結加の新シリーズ「新たなる挑戦」は始まる。第1回は「幻想ソナタ」をメインとしたプログラム。「目覚め」から「幻想の世界」へと誘う。
守重結加 新たなる挑戦(第1回) シューベルト「幻想ソナタ」を弾く
日時:2024年6月24日(月)19:00開演(18:00開場)
会場:日暮里サニーホール コンサートサロン
(JR・京成「日暮里」駅 南改札より徒歩4分)
クープラン:クラヴサン曲集 第1巻 第4組曲より 《目覚まし時計》
モーツァルト:デュポールのメヌエットによる9つの変奏曲 ニ長調 K.573
フランク:プレリュード、コラールとフーガ ロ短調 M.21
シューベルト:ピアノ・ソナタ第18番 ト長調 D894 《幻想》
料金:4,500円 学生2,500円 全席自由
(未就学児のご入場はご遠慮願います)
主催:守重結加ピアノリサイタル実行委員会
担当:本間
問い合わせ先:090-6304-4476 hommasama@gmail.com
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略歴
もりしげ・ゆか(ピアノ)
桐朋学園大学音楽学部卒業。ベルリン芸術大学修士課程ソリスト科及び室内楽科を修了。ヤマハ音楽振興会留学奨学生。ブゾーニ国際ピアノコンクールスカラシップ受賞、エドヴィン・フィッシャー国際ピアノアカデミー第1位(聴衆賞)。近年ではエイヴェレ国際音楽祭(タリン)に招かれソロリサイタルに出演。また、ベルリンのフィルハーモニー(大ホール)にてピアノ協奏曲のソリストを務めるなど、これまでにヨーロッパ各地の演奏会に多数出演。令和3年度(一財)地域創造・公共ホール音楽活性化アウトリーチフォーラム事業派遣アーティスト。デビュー・アルバム「シューベルト 即興曲集D899&ピアノ・ソナタ第21番D960」が2022年にオクタヴィア・レコードよりリリース。これまでにピアノを安孫子和子、瀬尾真理子、加藤伸佳、小森谷泉、クラウス・ヘルヴィッヒの各氏に師事。現在、桜美林大学 芸術文化学群音楽専修ピアノ科非常勤講師。
プロデューサーと想いが合致
――守重さんはこれまでもシューベルトの作品に思いを寄せ、取り組まれていますが、意外にも《幻想》は今回初めて取り上げるのですね。
留学先のドイツでシューベルトの作品が好きになり、帰国してからもさまざまな作品を取り上げています。今回メインとなる《幻想》は、主催者でプロデューサーの本間さんからのリクエストでもありました。私もずっと弾きたかった作品だったので、思いが合致して、取り上げることになりました。
――前半はクープラン、モーツァルト、フランクと続きますが、どのように選曲されたのですか?
シューベルトは「ロマン派初期を代表する作曲家」という位置づけになっていますが、その理由のひとつにシューベルトの特徴的な転調があって、それが三度調の転調なんですね。その転調が「幻想ソナタ」にもたくさん出てきて、「幻想」の雰囲気が際立っている印象を受けます。
前半はそれを意識して、後半に向かってその世界観に入れるように選曲していきました。
具体的には、調性が三度ずつ下がっていって、瞼がゆっくり閉じていくようように幻想の世界に誘います。
冒頭のクープランの「目覚まし時計」は本当に目覚まし時計のような曲調。遊び心のある曲です。モーツァルトはニ長調の変奏曲。上行形の天に向かう伸び伸びとしたパッセージなどが好きなんです。前半最後のフランクは、バッハを思わせるコラールとフーガで、そのハーモニーが秀逸なんです。教会のオルガンのような響きをピアノで創り出す面白さがあります。
そしてメインの「幻想ソナタ」ですが、冒頭でご質問いただいたとおり、今回初めて取り上げるんです。
曲を好きになるとき、私は一目惚れのようにその作品に惹かれていくのですが、「幻想ソナタ」も恋に落ちた作品の一つで、ラドゥ・ルプーの演奏を聴いて、最初の一音で好きになってしまったんです(笑)。
そういう経緯もあって、シューベルトの最晩年の作品のような印象をずっと持っていたのですが、実際に弾いてみると舞曲の要素がとても強く若々しさを感じます。
シューベルトは癒やし
――留学中、ドイツでシューベルトにのめり込むようになったきっかけのようなものがあったのですか?
何か大きなきっかけがあったというよりも、ドイツが「暗かったから」なんです(笑)。暗闇の中で、シューベルトは私にとって蝋燭のような存在だったんです。
――癒やし?
そうですね。当時、私は250ユーロくらいの安価なアパートに住んでいて、笑ってしまうくらい貧素な環境だったんです(笑)。暖房がよく壊れて、修理を依頼してもなかなか来てもらえず、毛布をかぶって暖を取りながらシューベルトに癒やされていました。
シューベルトの作品の魅力は、「ごく身近な日常の中の幸せ」が感じられるところにあります。『パターソン』という映画をご存知ですか? ある男性の7日間の日常の物語で、日常の繰り返しの中に、小さな変化と幸せを見つけ、詩を詠み、心に刻んでいく作品です。私はその映画を観たときに「シューベルトの作品のようだな」と感じたんです。
シューベルトの作品も「日常」のように、ごく身近なものを大切にする。何気ないところを愛する。そのような感覚を得ます。ですから、例えば1オクターヴの跳躍が愛おしく感じたりするんです。
また、シューベルトの作品は繰り返しが多いですが、それらを弾くとき、自然と違う道(違う弾き方)が見えてくる。そういう繰り返しの美学を感じます。
――6月24日の「新たなる挑戦」はシリーズ第1回。その後、どのように展開されていくのでしょうか?
第2回は今年の年末頃を予定していますが、内容については、主催者の本間さんと相談しながら新しいことに挑んでいきたいと考えています。私の想いを最大限に尊重してくださっていて、一緒に作り上げている、という実感があります。更にその先、どのように続いていくか、期待していただけたらと思います。
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音楽と人間性に惹かれて
――演奏家人生の礎となったドイツへの留学ですが、そもそもどういった経緯でベルリン芸術大学に進学されたのですか?
私は子供のための音楽教室からずっと桐朋学園なのですが、ドイツに留学したのは、桐朋学園大学在学中に学内でクラウス・ヘルヴィッヒ先生のマスタークラスを受講したことがきっかけでした。
先生の音楽に関する考え方。答えに行き着くまでの過程も含め、その全てに惹かれて先生に師事したいと思ったんです。音楽に向き合う上で大事にしたいものが先生と似ているように感じたのです。似ているけれどもスケールがもっと大きくて、私も「こうなりたい」と感じました。けども絶対になれないだろう、とも。だからこそ、先生に学びたい。できることなら音楽で関わっていたい、追いかけたい、という思いがあり先生が指導するベルリン芸術大学に留学しました。
当初、マスター(修士課程)に進学するつもりが、当時はディプロムという課程があって、その課程を修了しなければマスターに進むことができなかったんですね。それでまずはディプロム課程(3年間)に編入して、それからマスターに進学したので結構長くドイツにいたんです。
そして、2019年にマスターを修了したタイミングで結婚することになったこともあり帰国。現在は桜美林大学で指導に当たりながら演奏しています。
帰国した頃は、ソロの他に室内楽のコンサートを月4回のペースで出演していたのですが、体力的にきつかったのか、体調を崩してしまって、今は大体月2回くらいのペースに抑えています。
――ドイツでは歌曲の伴奏にも力に入れていたそうですね。
声楽家の友人たちに頼まれてよく弾いていました。シューベルトの作品に惹かれるようになったきっかけのひとつでもあります。そして今もその時の経験が演奏に活きています。
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ハーモニーの作り方のコツ
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