見出し画像

筋ジストロフィー症候群関連記事まとめ:「39(サンキュー)矢野基金応援自販機プロジェクト」から学ぶ

免責事項

拙ブログには一般的な知識についての記載はありますが、利用者の方の個々の問題に対して医学的またはその他のアドバイスを提供するものではありません。筆者は拙ブログ内における記事の内容の正確性の確保に努めておりますが、拙ブログの利用によって、利用者の方に何らかの損害が生じた場合でも、一切の責任を負うものではありません。


2024年04月13日、記事「甲子園浜と神戸港―後書きに代えて:特別展「海 ―生命のみなもと―」見聞録 その19」を執筆するための取材として、甲子園浜を訪れた。その際、「39(サンキュー)矢野基金」応援プロジェクトの自販機(図01,[1],[2])を見学した。

図01.「39(サンキュー)矢野基金」応援プロジェクトの自販機。
阪神バス株式会社が関わっている。

「39(サンキュー)矢野基金」の設立のきっかけは、矢野燿大(やの あきひろ)[本名:矢野 輝弘](以下敬称略)がファンの筋ジストロフィー患者のお見舞いに行った時で、生活に必要な電動車椅子が高額である為、運動機能が少しずつ失われていく病気にも関わらず症状に合わせた車椅子を持てない患者が多いことを知ったことに由来する。 「応援してもらうばかりだった自分も恩返しがしたい」という思いを社会福祉法人 大阪府社会福祉協議会の協力の下に、矢野は基金として立ち上げることになった。 

この基金は、矢野からの寄付金を原資に立ち上げた。現在、大阪府内には140名近い筋ジストロフィー患者がいる。基金への募金は、大阪府内にいる筋ジストロフィー 電動車いす等の支援並びに大阪府内に児童養護施設37施設で暮らす子ども達への支援 (児童養護施設への文房具提供・野球大会への用具提供・実施支援など)に使われる。基金の収支報告は、社会福祉法人 大阪府社会福祉協議会のホームページ上で報告される(1)。


本記事で、筋ジストロフィー症候群に関する正確な情報を提供するサイトを以下に紹介する。


l  公益財団法人 難病医学研究財団.“筋ジストロフィー(指定難病113)”.難病情報センター ホームページ.病気の解説(一般利用者向け).2023年11月.https://www.nanbyou.or.jp/entry/4522,(参照2024年04月27日).

筋ジストロフィー症候群患者にとっての基本的かつ有益な情報が多数掲載されているので、必読である。

 

l  MSD株式会社.“筋ジストロフィーと関連疾患に関する序”.MSDマニュアル 家庭版 ホームページ.23.小児の健康上の問題.筋ジストロフィーと関連疾患.2022年 01月.https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/23-%E5%B0%8F%E5%85%90%E3%81%AE%E5%81%A5%E5%BA%B7%E4%B8%8A%E3%81%AE%E5%95%8F%E9%A1%8C/%E7%AD%8B%E3%82%B8%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%81%A8%E9%96%A2%E9%80%A3%E7%96%BE%E6%82%A3/%E7%AD%8B%E3%82%B8%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%81%A8%E9%96%A2%E9%80%A3%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E5%BA%8F,(参照2024年04月27日).

筋ジストロフィーとは、正常な筋肉の構造と機能のために必要な遺伝子の1つ以上に異常があるために、様々な重症度の筋力低下を引き起こす遺伝性筋疾患の総称である。それゆえ、筋ジストロフィー病型・病名が多数存在する。


l  株式会社QLife.“筋ジストロフィー”.遺伝性疾患プラス ホームページ.疾患解説を探す.か行.2023年12月22日.https://genetics.qlife.jp/diseases/muscular-dystrophy,(参照2024年04月28日).

筋ジストロフィー患者にとっての基本的かつ有益な情報が詳細に掲載されている。また、リンク先には、その診療を行っている主要病院が紹介されている。


l  一般社団法人 日本筋ジストロフィー協会.“日本筋ジストロフィー協会 ホームページ”.https://www.jmda.or.jp/,(参照2024年04月28日).

筋ジストロフィー協会患者にとって必読であるが、ページ「筋ジストロフィーについて」は特に必読である。

 

l  日本新薬株式会社.“デュシェンヌ型筋ジストロフィーの新しい治療法”.DMDを知る-デュシェンヌ型筋ジストロフィーの専門情報サイト ホームページ.デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療.https://www.nippon-shinyaku.co.jp/healthy/dmd/treatment/new.html,(参照2024年04月28日).

筋肉の中でジストロフィンを作らせる治療法であるエクソン スキッピング療法を紹介している。


l  日本新薬株式会社.“適正使用ガイド”.日本新薬 医療関係者向けサイト トップページ.製品基本情報-製品一覧.ビルテプソ®点滴静注250mg ビルトラルセン.https://med.nippon-shinyaku.co.jp/product/viltepso_i/doc/guide_viltepso/,(参照2024年04月28日).

ビルテプソ®点滴静注250 mg(一般名:ビルトラルセン、以下本剤)は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)治療を目的として創製されたモルホリノ構造を有するアンチセンス核酸製剤である。ジストロフィンmRNA前駆体のエクソン53に結合し、エクソン53のスキッピングを誘導することで、ジストロフィン タンパク質を発現させる。日本においては、2019年09月に医薬品製造販売承認申請を行い、2020年03月に、「エクソン53スキッピングにより治療可能なジストロフィン遺伝子の欠失が確認されているデュシェンヌ型筋ジストロフィー」を効能又は効果として医薬品条件付き早期承認制度により製造販売承認を取得した。

本剤は、遺伝子検査により、エクソン53スキッピングにより治療可能なジストロフィン遺伝子の欠失(エクソン43-52、45-52、47-52、48-52、49-52、50-52、52欠失等)が確認されている患者に対してのみ使用可能である。

 

l  国立大学法人 京都大学 iPS細胞研究所(CiRA).“筋ジストロフィーのゲノム編集治療を目指したLNP-mRNA輸送システムの開発”.CiRA ホームページ.ニュース・イベント.ニュース.2021年.研究活動.2021年12月08日.https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/211208-190000.html,(参照2024年04月28日).

見城江利也 主任研究員、穂積裕幸 主任研究員、犬飼直人リサーチマネージャー(武田薬品工業株式会社、リサーチ T-CiRAディスカバリー)、堀田秋津 講師(京都大学CiRA、T-CiRA共同研究プログラム)らの研究グループは、ゲノム編集治療に利用可能な脂質ナノ粒子(Lipid Nanoparticle:LNP)輸送システムを開発し、筋ジストロフィー モデル マウスにゲノム編集治療を行うことに成功した。

 

l  国立大学法人 京都大学 iPS細胞研究所(CiRA).“マウスの横隔膜にヒトiPS細胞から作った骨格筋幹細胞を移植する〜デュシェンヌ型筋ジストロフィーの呼吸筋治療に向けた横隔膜移植方法の確立〜”.CiRA ホームページ.ニュース・イベント.ニュース.2022年.研究活動.2022年04月13日.https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/220413-130000.html,(参照2024年04月28日).

三浦泰智 元特別研究学生・元非常勤研究員(京都大学CiRA臨床応用研究部門)、田畑泰彦教授(京都大学医生物学研究所)、櫻井英俊准教授(京都大学CiRA同部門)らの研究グループは、ヒトiPS細胞から誘導した骨格筋幹細胞をマウスの横隔膜に移植することに成功した。移植効率向上を目指して移植基剤の検討をした結果、DMDモデル マウスの前脛骨筋にヒアルロン酸とゼラチンの混合ポリマーを基剤として細胞を投与すると移植効率の上昇がみられることが分かった。また、横隔膜への移植においても、この混合ポリマーを使用することで、移植不成功率を下げることが分かった。本研究は、将来の細胞移植治療の実現に貢献できると期待される。

 

l  国立大学法人 京都大学 iPS細胞研究所(CiRA).“デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)に対する細胞治療研究の非臨床試験に向けた免疫不全DMDモデルラットの確立”.CiRA ホームページ.ニュース・イベント.ニュース.2023年.研究活動.2023年04月24日.https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/230424-000000.html,(参照2024年04月28日).

佐藤優江 特定研究員(京都大学CiRA臨床応用研究部門)、櫻井英俊准教授(京都大学CiRA同部門)らの研究グループは、免疫不全ラット(ヌードラット)とDMDモデル ラットを交配させ、免疫不全DMDモデル ラットを作製しDMD患者と同様に重篤な症状を示すことを明らかにした。さらに、この免疫不全DMDモデル ラットにヒト不死化骨格筋芽細胞を前脛骨筋に移植し生着することを世界で初めて報告した。

本研究で報告されたDMDモデル ラットは従来の細胞製剤の評価試験で一般的に用いられてきたDMDマウス モデルと比較してDMD患者と酷似したきわめて重篤な臨床症状を示した。DMDモデル ラットは、細胞製剤の前臨床試験での評価試験に使用することが可能であり、より正確に病態改善効果などを運動機能や生化学的検査により測定することが可能になると考えられる。これらの成果により、DMD治療に有効な細胞製剤の早期実用化、細胞移植治療の実現に貢献できると期待される。

 

筋ジストロフィー症候群の基礎研究は思った以上に進展し、また、DMD治療薬が実際に使用されていることは驚嘆に値する。

筋ジストロフィー症候群に関してとりあえず纏めたが、本記事が読者の皆様のお役に立つのなら、有難い。



参考文献

[1] 「39(サンキュー)矢野基金」応援プロジェクト運営事務局.“「39(サンキュー)矢野基金」応援プロジェクト ホームページ”.https://yano39.cre-os.com/index.html,(参照2024年04月26日).

[2] 西宮さんぽ ご近所情報.“阪神甲子園|甲子園駅前のバス停前に設置されている「39(サンキュー)矢野基金」の応援自販機”.西宮さんぽ ご近所情報 ホームページ.2023年10月05日.https://www.nishi-city.com/entry/2023/10/05/142638,(参照2024年04月26日).

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?