「Mixology:林檎とバターのコンフィチュール風カクテル」─ていくすりーの酒場学
カクテルを創作する時、参考にする物は文献だけでしょうか?
他のBARに行き、オススメのカクテルを飲むのはもちろんですが、町を歩いているだけでも、インスピレーションは沢山落ちています。ケーキ屋、アイス屋、甘い食べ物のお店もそうですし、カフェのようなアルコールをメインとしないお店にも、見どころはあります。。
先日フラっと立ち寄った喫茶店でいただいた、”林檎のコンフィチュール”はほのかなバターの香りを持っていて、非常に印象的でした。
初めて食べたため抱いた、「ジャムとコンフィチュールってどう違うのか?」という疑問に関しては、大きな点としてその濃度にあるようです。
試しに、高級なスーパーマーケットへ足を運んでみると、市販されているコンフィチュールはどれも固く、マッドな質感で、ジャムのような液体のイメージより果実感が強く残っています。こうした新しい刺激に出会えた時に、さっそくカクテルへ応用したくなるのがバーテンダー。
どうしたらお酒と合わせられるのかを考えます。
通常、ジャムを作る際には、果肉を砂糖で煮詰めてからブレンダーなどで破砕するのが一般的。なのでそれを熱を通さないカクテルにする場合、まず皮を剥き、すりおろした林檎の果肉をバタースコッチ・リキュールで軽く伸ばしてベースにします。砂糖とカルヴァドス(アップル・ブランデー)で調味して、最後に生クリーム。重たくなりすぎるならば牛乳でも。
長めにシェイクをするか、バーブレンダーをかけたら完成。この林檎のコンフィチュール風のカクテルはとても気に入っていて、今期で1番作った自身のミクソロジー・デザートカクテルじゃないでしょうか。
林檎+バタースコッチリキュール+カルヴァドス+生クリーム
『バーテンダーの視(め)』はお酒や料理を題材にバーテンダーとして生きる自分の価値観を記したく連載を開始しました。 書籍化を目標にエッセイを書き続けていきますのでよろしくお願いします。