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[note59]学校における情報共有

意外なことに・・・

学校という場所は意外なことに「情報共有」という点で弱さを持っていると感じることがある。もちろん、校務における会議をはじめとして最近ではslackなどの共有ツールなどを活用し、情報は共有されている。決して、情報が蔑ろにされているということではない。「じゃあ、何でこんなことを言うのか?情報共有はしっかりやっているよ」こうした声も聞こえてきそうだ。

情報は何のために?誰のために?

学内情報は校務の円滑化のため、そして生徒情報は生徒との円滑なコミュニケーションを図るために不可欠である。そこには明確な目的が必要であり、単に情報を出せば良いというものではない。自分は情報を発信する側に立つことが多いので「この情報、いらなかったかな?」「この情報はもっと早く伝えるべきだったな」と反省することも少なくない。要は、現状において、どのような情報が、どのようなタイミングで必要とされるのかを判断することが重要となるということだ。これが実は結構難しい!情報に対する感度を双方向に高めていくことが必要になる

生徒情報はどのように共有される?

様々な情報の中で自分が関心を持っているのが、生徒情報をいかに共有していくかということだ。3年間あるいは中高一貫校ならば6年間に及んで生徒と関わることになるが、学年団のメンバー全員が必ずしも持ち上がっていく訳ではない。また、一般的には毎年のようにクラス替えがある。その際に、1年間、面談などを通じて蓄積した貴重な担任の情報は共有されているだろうか?もちろん、面談記録などの形で残している訳だが、果たして、それが十分に生かされているかどうかは少なからず疑問が残る。当然ながら、教師にも様々なタイプの人がいて、情報の取捨選択や選別も異なる。それは当たり前のことであるし、それ自体が問題だとは思わない。ただし、生徒を引き継いだ時、やはり一定の共通情報というものは必要になるはずだ。そのあたりは良くも悪くもバラバラなことが多いように思う。

チーム医療の考え方

これは横浜創英の工藤勇一先生や新渡戸文化学園の山本崇雄先生の著書やSNSで拝見することが多いことだが、生徒をチームとして支える、いわゆるチーム医療の考え方を学校に活用していこうとするものだ。医療現場では、カルテは電子化され、全ての医療スタッフに共有される。仮に担当する医師や看護師などが変わったとしても、患者情報は継続的に共有される。つまり誰もが同一情報に基づいて医療を提供することができるということだ。これを学校に置き換えるならば、誰が担任になったとしても、一定の情報が共有され、生徒とのコミュニケーションが図りやすくなる。医療現場にせよ教育現場にせよ、情報に基づいて新たな気付きや方向性を決めていくことは必要になるが、前提として、それまでどのような学校生活を送ってきたのか(病院で言うならば治療経過を辿ったのか)については不可欠な情報となる

生徒カルテを作りたい!

既にそうしたものを運用している方々からすれば、特段珍しいことではないと思うが、病院のカルテのように一定のフォーマットを有した生徒カルテを構築することはできないだろうかと考えている。フォーマットが必要であるというのは、情報の標準化が求められると思うからだ。あくまでも共有する情報という前提に立った時、書いた人だけしか理解できないものであっては困ってしまう。どのようなキャリアを持つ先生(初任者でもベテランでも)が見ても、生徒に対して最低ラインの理解を得ることができる情報システムでなければ意味がない。そのラインを維持することができれば、付加情報は各先生の判断で追記していけばよいと思う。標準化された情報であれば、キャリアが浅く、情報判断力が不十分であっても、ベテランの先生方にヒアリングしたり、アドバイスを得ることもできるし、情報理解度を上げることもできるだろうy。もちろん生徒に関してはセンシティブな情報もあり、取り扱いに細心の注意を払う必要があるものも存在し、そこはきちんと各学校でのルール構築が必要だ。ただ、情報を扱う上ではルールの存在は当たり前のことだろう。生徒の立場から考えれば、誰が担任になったとしても、自分について最低限の情報を共有されているなら安心感も生まれるように思う。「生徒は他の人(新たな担任)には知って欲しくない情報だってある」という指摘もあるが、(注)なり(!)なり取り扱い注意をマーキングして情報の位置関係を明確にすれば良いことのように思う。生徒情報は「共有したから終わり」ではないわけだから。こうしたシステムは教師-生徒間だけでなくて、教師-教師間でも有効に機能すると思っている。少しの間、慣れが必要であったり、それを記載する手間のようなものもあるかも知れないが、単年で考えるのではなく、長期的な視点で考えた時に、寧ろ教師側の業務効率化の一助になるのではないかと思う。色々とクリアするべき問題はあるだろうが生徒カルテをはじめとして、「チーム」という感覚をいかにシステム化していくかについて少しでも多くの先生方と考えて、そのアイディアを形にできたらと思う。


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