なぜ今「経営者の言葉」が重要なのか?
最近増えている仕事が、経営者の隣に「編集者」としてついて、経営者の考えを言語化して整理し、コンテンツにする仕事です。
この仕事をやるなかで、今「経営者の言葉」がかつてないほど求められていることをひしひしと感じています。
今日は「なぜ今経営者の言葉が重要なのか?」というテーマでお話ししたいと思います。
「船長の指針」が必要だから
ひとつめは、今が「先の見えない時代」だからです。
先の見えている時代であれば、経営者は「前年比◯%増を目指そう!」みたいな感じで、売上の目標さえ提示していればうまくいっていました。
でも今の時代は、そもそも先が見えないため「ベクトルの長さ」だけ示していてもうまくいかないのです。長さではなく「ベクトルの方向性」を示さなければいけない。
そのとき、会社の「船長」である経営者が「こっちにいくよ!」ときちんと言葉にして示す必要があります。
最近「パーパスブランディング」という言葉もよく聞きます。パーパス、つまり「目的」がブランディングにおいてすごく重要になってきている、ということです。
会社が目指す世界はどういうものなのか?
どういう思想で経営をしているのか?
その考え方・哲学が会社のブランディングにすごく重要になってきている。
……というか、あたりまえのことなのですが「そもそもなぜ経営をしているのか?」という本質に立ち返る必要があるのが、今という時代なのかもしれません。
会社を「好き」になってもらう必要があるから
2つめは、高品質の商品やサービスが増えてきて、どんどん「差別化」が難しくなっていく中で「その会社を好きになってもらう」必要性が増してきているからです。
高機能のスマホ、気の利いたサービス、おいしくてオシャレなお店など「品質が高い」というのは、すでに今の日本のビジネスでは「前提」になってきています。
もう「品質やデザイン」での差別化は難しい。
ここで「選ばれる」ためには「その会社が好き」とか「この会社を応援したい」という気持ちを持ってもらうことが大切になってきます。
そこでもちろん広報の力も重要だと思いますが、いちばん強力なのが「経営者の言葉」です。経営者が自分の言葉で生の声を発信することで、消費者・ユーザーはその熱を受け取って、その会社に「好き」という感情を抱くようになります。
「好き」という感情は最強です。
好きという感情が獲得できれば、機能や品質、デザインを超えて、その会社を選んでくれるようになります。
「優秀な人材」を獲得するため
3つめは優秀な人材の確保が大変になってきているからです。
会社を強くしようと思うなら、大切なのは「人」です。あたりまえのことですが、やはり最終的には優秀な人を抱えた会社が強い。
人材獲得競争は今後どんどん激しくなるはずです。
そこでどうやって選ばれる会社になるか?
そのときに「経営者の言葉」が効くと思うのです。
優秀な人ほど、会社の理念や哲学に共感して集まってくるはずです。給料や福利厚生も重要でしょうが「高額のオファーだけ」ではなびかない。「経営者が何を考えているのか」がわからなければ、優秀な人は振り向いてくれないのではないかと思います。
船長がどういう人なのかがわからないのに、その船に乗り込む人はいないでしょう。その船がどちらに進むのかがわからないのに、その船で航海したい人はいないでしょう。
経営者がきちんと考えをまとめて、発信する。きちんと思いを伝えることで、優秀な人に刺さって会社に参画してくれるわけです。
繰り返しますが、この荒波の中で必要なのは「船長の言葉」です。経営者がきちんと言葉を発信することが、これからの時代すごく大切なのではないかなと思います。
社員の「帰属意識」を高める必要があるから
4つめは、会社への帰属意識を高める必要があるからです。
日本は終身雇用がまだまだ一般的なので「帰属意識」というよりも「従属意識」が強いと言われています。イヤになったらどんどん転職するような欧米の企業のほうが、むしろ会社への帰属意識・エンゲージメントは高いそうです。
しかも今はリモートワークが増えてきており、物理的に社員を囲っておくことも難しい。リモートで会議に顔を出していても、頭の中は副業のことでいっぱいかもしれません。
ただ「従属」する社員ではなく、自ら「帰属」したいと考える社員を増やす。エンゲージメントの高い社員を増やすためにも、社長の言葉は欠かせません。
SNSをナメてはいけない
経営者の言葉が大切な理由をつらつらと述べてきました。
では、具体的にどう伝えればいいのか? 経営者が言葉を伝えるうえで欠かせないのが、やはり「SNS」です。
社長がSNSをやっていると、一昔前までは「遊んでる」ように見えたかもしれません。でも、SNSの力をなめてはいけません。
SNSはあくまでツールです。
うまく利用すればインターネット空間上に「人格」を生みだし、まわりの人の「好き」という感情につながります。それは現実に染み出していき、じわじわと世界を変えていくはずです。
ポイントはきちんと「伝わる言葉」で発信することです。
よく経営者があらたまって発信しようとすると
昨今の業界における逆風に立ち向かうべく我が社は顧客の満足度を高め日々邁進していかねばなりません。
みたいになりがちなのですが、これだとそもそも見てもらえません。
これをSNSや会社のサイト、社内報などに載せても、誰も読まないし、読んだとしてもすぐに忘れられてしまいます。
もっと「心からの言葉」「体重を乗せた言葉」が必要です。どういう発信の仕方をすればいいかは、また別のnoteにまとめたいと思います。
経営者の脳内は、最高の「事業開発室」
最後にこんな質問をしてみたいと思います。
企業における最強の「事業開発室」はどこでしょうか?
ぼくは「経営者の頭の中」ではないかと考えます。
経営者が思想を言葉にして、考えを整理することで、ふと新しいアイデアが浮かんでくることがあります。それは立派な「事業開発」です。
これは、経営者が言葉を整理することによる「副産物」のように思えますが、実は「経営の根幹」ではないかと思うんです。
ぼくらも経営者の考えを整理したり、発想のサポートをさせていただくなかで、新しいアイデアのきっかけになったり会社の事業開発の一翼を担えたりしたらうれしいな、と思っています。
よろしければこちらのnoteもオススメです!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?