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発信を躊躇している人へ「最後のひと押し」

SNSでの発信を躊躇している人は、こんなことを考えています。

「『こんなことしか書けないのか』とバカにされそう」
「思考が浅いのがバレるのが恥ずかしい」
「頭がよくないと思われるのがイヤだ」

ぼくも「公開」ボタンを押す前によくそう思います。記事を読んで笑われたらどうしようって。

でも、そこでこう思い直すんです。

発表しなかったからといって、思考が磨かれていくわけでも、頭がよくなるわけでも、文章がうまくなるわけでもない。

考えてみれば当たり前のことです。

自分の思考、頭のよさ、自分が考えていることは、いま脳内に「厳然として存在」しています。それを公開しなかったからといって、それが勝手に磨かれていくわけではありません。

世の中に「バレる」のが先延ばしされるだけで、「放っておけば文章力が上がっていく」なんてことはない。

文章力を磨くためにはいろんな方法があると思いますが、伝わる文章・おもしろい文章を書く力を磨こうと思ったら、マーケットにさらすのがいちばん有効です。どんどん自分の思考を外に出していくことです。

「いいね」のつかない記事をいかに書くか

そのためにも、失敗を恐れずにどんどん書くことです。なかなか難しいことではありますが「いかに読まれないものを書くか」「いかに失敗するか」が重要なのです。

今年、ぼくの会社に最初の社員が入りました。彼女には力をつけてもらいたいなと思っていますが、そのためには「いかに失敗してもらうか」が重要なんだろうな、と思っています。

ついつい彼女のアウトプットを見ていると、おせっかいに「こうしたほうがいいよ」と言って、直そうとしてしまいます。でも、そういうのはやめないとな、と思っています。

やっぱり「いいね」がぜんぜんつかない体験をしないと、マーケット感覚は身についていかないんじゃないかと思うからです。

ぼくも出版社時代、売れない本をいろいろ作ってきました。もちろん「売れない本を作ろう」と思って作るわけではありません。

「めちゃくちゃ売れる本を作るぞ!!」と考え、タイトルを何十個も考えたり、何パターンものカバーデザインを試したりして、本に仕上げていく。それでも、発売から何日待てどなかなか売れていかないということはしばしばありました。こういうときは、本当に落ち込むものです。

ただ、力がつくのは、まさにこういうときなのです。

売れない本を作ってしまって、めちゃくちゃ悔しい。そのとき脳はフル回転します。「なんで売れなかったのか?」「なぜこれが受け入れられなかったのか??」 脳に汗をかいて、めちゃくちゃ考えることになります。

noteだって「たくさんの人に読んでほしい!」と思って渾身の一作を発表しても、ぜんぜんいいねがつかないことはあります。自信作が読まれないとひどく落ち込むものですが、そのときにいちばん力がつくんです。

だから本当は、もっと「読まれない文章」を書き、「売れない本」を作り、いろんな「失敗」をどんどんしたほうがいいのです。(失敗は意図的にやれるものではないのですが……。)

失敗は消え去り、経験だけが残る

ここで朗報があります。

それは、どれだけ失敗しても「失敗」は人々の記憶から消え去って、自分のなかに「経験」だけが残るということです。そして、世間的にはうまくいったもの、成功したものだけが記憶に、そして記録に残っていきます。

ぼくらは秋元康のヒット作を知っていますが、失敗したプロジェクトは知りません。ヒャダインさんが作ったヒット曲を知っていますが、売れなかった曲を知りません。ヒットした音楽、ヒットした映画、ヒットした本、多く読まれた文章、流行した言葉……そういうものだけが歴史に残っていく。

うまくいかなかったもの、失敗したものは消えていきます。(というか、そもそも知られない。)ここでわかることは「打率」なんかを気にしていても仕方ないということです。打率を気にするのは本人だけ。とにかく「数打つ」ことが戦略的には正しいのです。

大切な一作も読み手からすればワンオブゼム

自分の作品が大切なのは当たり前です。

本を作るときだって、企画段階の「0」から完成の「100」までをともにしているので、すごく大切な存在です。

でも、本屋さんのお客さんにとっては「ワンオブゼム」です。会社帰りにふらっと立ち寄ったお客さんにとっては、棚にある「何百冊ぶんの1」に過ぎない。スマホのコンテンツなどもあわせれば「何千分の1」の存在です。「何ヶ月もかけて書いた大切な本だろうから買ってあげよう」という人はなかなかいません。

こちらからすると大切ものなのに、相手からするとワンオブゼム。

この話をするとき、ぼくは病院を思い出します。何日も悩んで、ついに病院に行くことを決意し「先生、なんか病気かもしれないんですけど!」と訴えても「ああ、大したことないね」ですまされることがあります。そこで拍子抜けするわけですが、それはそうです。

こちらは何日も症状を気にして悩んでいるわけですが、病院の先生から見たら何百人何千人といる患者のうちの一人。自分より大変な状況の人をたくさん見ているでしょう。ぼくとしてはぼくの人生のことなので「一大事」なのですが、向こうから見たら大した問題ではないわけです。こういうことはよくあります。というか、それが社会というものです。

ちょっと話がそれた気がしますが、、

とにかく失敗を恐れずに、どんどん発信すればいいのです。スキーも実際に滑ってみて何度か転んでみないと上達しません。いくら頭で考えて、カッコよく滑っているところをイメージしても実際に滑らないと力はつかないのです。そして、失敗は消え、経験だけが残ります。経験は成功を生み出します。そして成功だけが歴史に残るのです。


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