光の啓示「第1章 自然体」
第1章 裏か表かのつづき 自然体
美術館めぐりをした翌日はウブドのギャラリー巡り、
といっても当時はギャラリストが運営しているギャラリーは1.2軒ほどしかなく、そのほとんどが今でも沢山あるようなアーティストたちのスタジオ兼ショップだった。
伝統的なバリスタイルからモダンアートを制作するアーティストたちも徐々にふえてきた時代。
午後はそんなスタジオを回ってアーティストたちの制作を見学していた。
名前は思いだせないが、あるアーティストが抽象画を描いていた。
ちょうど黄色を塗っていたとき、黄色の絵の具が無くなった。
まだ黄色に塗る部分が半分以上残っている。
黄色の絵の具のストックを探したがなかったみたいだ。
黄色の絵の具を買にいくのかな?
そんなことを思いながらみていたら
なんと、
青色の絵の具を絞り出し、
何事もなかったように、その部分を塗り始めた。
え~っ!?
そんなのあり~!
そうきたか!!
私なら、この部分は黄色で塗ると決めて、絵具がなくなった場合は制作を一時中断して、画材ショップに行って黄色の絵の具を買ってきて、続きの部分を塗ることだろう。
しかし、彼は躊躇することなくそこにある色で塗り続けた。
それでいいのか?
作品が制作途中で変わっていってもぜんぜん気にせず
なにもなかったのように、
あまりにも自然に描いていたので驚いた。
私:黄色の絵の具を買にいかないの?
アーティスト:黄色、ひまになったらね。
私:そ、そうなんだ。
今度っていつ?と突っ込みをいれたいところだが、
もくもくと制作を続けているのでやめておこう。
私:えがいてる途中で色を変えることはよくあるの?
アーティスト:そういうときもあるよ。
私:作品が変わってもいいの?
アーティスト:それも流れだからね。
なるほど、流れに逆らわないのもありってことか。
なんか自由でいいな。
そういえばバリ島の人々は、
みんな、肩の力が抜けているというか、
無理してないというか、
自然体なのです。
日本はなんでも揃う豊かな国だ、
でも自然体で毎日楽しく過ごしている人は何人いるだろうか?
生まれてから今までの29年間は、あまり良くなかったな、
良くないなりにも一生懸命に生きてきた。
私は、なんのために生まれてきたのだろうか?
16歳でひとりぼっちになり
働きながら夜間高校へいき
その後も生きるためにいろんな仕事も経験した。
国内外も放浪し自分はなに者なのか、
なにがしたいのか、
どう生きていきたいのか、
必死になって探したけれど、
いままで見つけることができなかった・・・・。
あの光は、あの音(声は)この道にすすめという
神の啓示だったのか?
あのできごとから、この数日の急展開も
おみちびきということなのか?
そもそもアートが私にできるのか?
コイントスで、バリの神様は日本へもどれとでたけれど、
ほんとにだいじょうか?
このままウブドに残りたいな。
なんか弱気になってきた。
つづく
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