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#38 【教員のための生成AI活用ガイド③】 未来の教育を刷新する!生成AIの力 ー教育効率化と創造性を支える「たたき台」の可能性ー

1 はじめに

 令和5年7月4日に、文部科学省から「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」が発表されました。

初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン (mext.go.jp)

 このガイドラインは、教育現場における生成AIの効果的な活用を促進し、同時にその適切な利用を確保するための基本的な指針が示されています。教員や教育関係者は、このガイドラインを参考にして生成AIを活用し、児童生徒の学びを支援することが期待されています。
 そこで今回は、生成AIの校務での具体的な活用方法を、例を挙げながら紹介したいと思います。

2 生成AIの校務での活用

 「生成AIの校務での活用」として、以下のような活用例が記載されています。

文部科学省(2023)「初等中等教育段階における 生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」、p11

児童⽣徒の指導にかかわる業務の⽀援

  • 教材のたたき台

  • 練習問題やテスト問題のたたき台

  • ⽣成AIを模擬授業相⼿とした授業準備

学校の運営にかかわる業務の⽀援

  • 報告書のたたき台

  • 授業時数の調整案のたたき台

  • 教員研修資料のたたき台

  • HP等広報⽤資料の構成・たたき台

  • 挨拶⽂や式辞等の原稿のたたき台

学校⾏事・部活動への⽀援

  • 校外学習等の⾏程作成のたたき台

  • 運動会の競技種⽬案のたたき台

  • 部活動等の⼤会・遠征にかかる経費の概算

  • 定型的な⽂書のたたき台

外部対応への⽀援

  • 保護者向けのお知らせ⽂書のたたき台

  • 外国籍の保護者へのお知らせ⽂書の翻訳のたたき台

 活用例を見ると、「たたき台」という言葉が目立ちます。この言葉が表している通り、生成AIはアイデアや計画をサポートするツールとして活用することができます。生成AIが提供する教材や文書の枠組みは、新しいアイデアやクリエイティビティを発展させるための出発点や基盤として役立ちます。

 教育現場や学校において、生成AIが提供する「たたき台」は、新たなアイデアや計画を考える際の参考資料やベースとして利用することができます。そして、これらの「たたき台」を元にして、独自の視点や専門知識を加えることで、より具体的でオリジナルな教材や文書を作成することができます。 

 ガイドラインにも記載がありますが、「⽣成AIはあくまで『たたき台』としての利⽤であり、最後は教職員⾃らがチェックし、推敲・完成させることが必要であることは⾔うまでもない。」ということです。つまり、生成AIはあくまで手助けで、最終的な教材や文書は先生方がしっかり確認して完成させる必要があるってことです。生成AIを使う時は、「たたき台」としての役割を忘れずに、教材作りに取り組みましょう。

3 生成AI活用事例

 以下は、AIとの対話です。前回ご紹介した通り、「プロンプト」を入力すると対話が始まります。プロンプトについては、下記の記事で解説しています。まだご覧になっていない方は、ぜひご覧ください。

プロンプト
#役割
・あなたは小学校の教員です。

#目的
・光村図書「まいごのかぎ」の単元計画を考えてください。

#条件
・7時間の単元計画を考えてください。
・「見方・考え方」を働かせた学習場面を設定してください。
・「広げ深める」場面を設定してください。
・ICTを効果的に活用する展開を設定してください。

 もちろんです!「まいごのかぎ」の単元計画を考えましょう。以下は、光村図書のワークシートや指導アイデアを参考にして、7時間の単元計画を提案します。

1時間目: 学習の流れをたしかめ、話し合うことを考える
目標: りいこの気持ちの変化を読み取り、感想を交流する。
学習計画:
1 学習の流れを確認し、話し合うポイントを考える。
2 不思議な出来事に注目して場面に分ける。
3 各場面ごとにりいこの気持ちを考える。
4 りいこの最初と最後の気持ちの変化を考える。
5 感想をまとめる。
6 友達と感想を交流して考えを深める。

2時間目: 不思議な出来事に注目して場面に分ける
・場面ごとにりいこの気持ちを読み取り、感情の変化を探求する。
・場所・時間・人物(かぎ)に着目して場面を分ける。

3時間目: 場面ごとのりいこの気持ちを考える
・各場面ごとにりいこの気持ちを詳しく考えます。例えば、帰り道、大きな桜の木、緑色のベンチ、魚の開き、バスの時刻表などの場面でりいこの気持ちを分析します。

4時間目: りいこの最初と最後の気持ちの変化を考える
・最初と最後の気持ちの変化を読み取るポイントを確認し、りいこの気持ちがどのように変わったかを考えます。
・学習課題を作成し、学習計画を立てる際にも最初と最後の気持ちの変化に着目します。

5時間目: 感想をまとめるまいごのかぎの感想をまとめます。
・生徒たちが物語を通じて感じたことや考えたことを共有しましょう。

6時間目: 友達と感想を交流して考えを深める
・友達同士で感想を交流し、さらに考えを深めます。

7時間目: ICTを効果的に活用する展開
・ICTを活用して、物語の要素を視覚的に理解する活動やディスカッションを行います。

Microsoft Copilot(コパイロット)による回答


 「7時間目: ICTを効果的に活用する展開」について、具体的なICT活用例を教えてください。

 もちろんです!ICTを効果的に活用する展開の具体的な活用例を以下に示します。

デジタルストーリーテリング:
 生徒たちに物語の一部をデジタルで再現させることができます。例えば、りいこの気持ちの変化をアニメーションやビデオで表現するプロジェクトを行います。生徒たちはキャラクターの動きや表情を考え、ストーリーボードを作成し、アプリやオンラインツールを使ってアニメーションを制作します。

オンラインディスカッション:
 生徒たちに物語の場面や登場人物についてオンラインディスカッションを行わせます。例えば、りいこが魚の開きでどのような気持ちを抱いたかについて、生徒たちが意見を交換する場を提供します。オンラインツールや掲示板を活用して、生徒同士のコミュニケーションを促進します。

デジタルマッピング:
 物語の舞台や重要な場所をデジタルマップ上に表示させる活動を行います。生徒たちはGoogle マップや地図作成ツールを使って、物語の場所をピンで示し、その場所に関連する情報や感想を記入します。これにより、物語の背景や環境をより具体的に理解できます。

オンラインリサーチとプレゼンテーション:
 物語に登場する要素(例: 桜の木、バスの時刻表)について、生徒たちにオンラインでリサーチさせます。その後、プレゼンテーションを作成し、クラスで共有します。生徒たちは情報収集とプレゼンテーションスキルを向上させることができます。

Microsoft Copilot(コパイロット)による回答


 りいこの気持ちの変化をイラストで生成してください。

 もちろんです!りいこの気持ちの変化をイラストで表現します。お待ちください。

Microsoft Copilot(コパイロット)による回答
Microsoft Copilot(コパイロット)による画像生成

4 おわりに

 いかがでしたか?本来、単元計画は身に付けさせる資質・能力や目的、学級の実態等に応じて作成するものです。しかし、今回紹介したかったのは、「たたき台」をここまで簡単に作成できるということです。さらに、AIはイラストまで生成できるんです。「すごい時代が来たな!」と感じますよね。

 でも、どんなに便利なツールがあっても、使い方を知らなければ宝の持ち腐れです。我々の働き方をサポートし、また、これからの子供たちを指導するためにも、教員である私たち自身がこれらの情報活用能力を身に付けることが重要です。

 今後も、授業改善や働き方改革に向けて、効果的な活用方法を模索していきたいと考えています。
 子どもたちの深い学びの実現、教員の働き方改革の推進に向けて、ともに頑張りましょう。

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