鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師が解説【逆流性食道炎の原因と治療法:現代医学と東洋医学の視点】
逆流性食道炎という病気をご存知ですか?
胃酸や消化液が食道に逆流して炎症を引き起こす疾患です。
症状には胸やけや喉の違和感などがあります。
病院で処方された薬を飲みつつ、鍼灸・マッサージ・漢方などの東洋医学の力を頼る方も少なくありません。
私も接する機会があり、身近な病気であると感じています。
そこで、この記事では逆流性食道炎の
原因、一般的な治療方法
症状の改善、予防に必要なこと
病院で検査を受けた方が良い場合について
を解説いたします。
ただし、私は医師ではなく鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師であり、病気の診断をくだしてはいけません。
この記事で紹介する症状でお困りの場合、先ずは消化器内科を受診なさってください。
本題へ入る前に、私の自己紹介をしておきます。
現在は京都市内で鍼灸・マッサージ院を営んでいます。
では、本題へ進みましょう。
逆流性食道炎の成り立ち、症状について
現代医学では、逆流性食道炎は胃酸や十二指腸液などが食道に逆流することで引き起こされると考えられています。
一方、東洋医学では、「胃火上逆」と呼ばれ、胃の働きが過剰になる状態を指し、この熱が食道に逆流してしまい症状が現れるとされています。
主な症状は以下の5つです。
せき
胸やけ
吐き気
喉の違和感
口の中がすっぱい
続いて現代医学と東洋医学の両方の視点から、逆流性食道炎の原因と治療方法について解説します。
逆流性食道炎の原因と一般的な治療方法
現代医学的な視点(原因)
食道括約筋の働きの低下:脂肪分が多い食事、アルコール、喫煙
食道裂孔ヘルニア:生まれつきの食道の形態異常、体重が増える
その他:胃潰瘍、十二指腸潰瘍、糖尿病などの病気
東洋医学的な視点(原因)
胃が活動をし過ぎる:飲酒のし過ぎ、脂っこい食事のとり過ぎ
胃腸が弱る:早食い、冷たいモノを飲み過ぎる
精神的なストレス:イライラする、言いたいこと我慢し過ぎる
現代医学的な視点(治療法)
生活習慣の改善:肥満解消、禁煙、節酒、食生活の改善
薬物療法:プロトンポンプ阻害薬、H2ブロッカー、制酸薬
手術療法:薬物療法で改善しない重症例
東洋医学的な視点(治療法)
漢方薬:胃の働きを抑え、食道粘膜を保護する漢方薬を服用
鍼灸:胃腸の働きを調整し、ストレスを解消
食養生:体を温める食材を積極的に摂取し、消化に良いものを食べる
消化に良い食べ物がまとめられています⇩
逆流性食道炎の改善に向けて日常生活でできる方法を3つ紹介
逆流性食道炎は、食生活や生活習慣が大きく影響する病気です。
けれど、ちょっとした心がけで症状を改善したり、予防したりすることができます。
しかし仕事や私生活の兼ね合いで、提案させていただく内容の全てを実施するのは難しいでしょう…
どれかできそうなことを、取り組んでいただけると大変嬉しく思います。
1. 食生活の見直し
食べ過ぎ・早食いを控える:
1口30回以上噛んで、ゆっくり味わうように心がける
満腹感を感じたら、無理に食べないようにしましょう
刺激物を控える:
辛いもの、脂っこいもの、酸っぱいものなどは胃酸を刺激するので控えましょう
アルコールやカフェインもできるだけ控えるのがお勧めです
規則正しい食生活を送る:
朝食を抜いたり、夜遅くに食べたりするなど、不規則な食生活は胃腸の負担になります
できるだけ毎日同じ時間に食事するように心がけましょう
2. 生活習慣の見直し
適度な運動をする
運動は胃腸の動きを活発にし、胃酸の逆流を防ぎます
ウォーキング、自転車で移動、ラジオ体操を10分など、できそうなことから始めるのがお勧めです
運動を続けるコツやお勧めの運動をまとめた記事はコチラです⇩
睡眠をしっかりとる
睡眠不足はストレスの原因となり、胃腸の働きを低下させます
毎日7~8時間程度の睡眠をしっかりとるようにしましょう
3. その他
ズボンのベルトに注意する
お腹を圧迫するため、ベルトはしめすぎないように心がけましょうストレスを溜めない
休日は苦手な人に会ったり、連絡を取ったりしないようにするのがお勧めです食後すぐに横にならない
食後2~3時間は横にならず、体を起こしておくのが良いと思います
病院で検査を受けた方が良いことも…
逆流性食道炎のの症状を放置していると危険な病気を引き起こす(あるいは病気が隠れている)可能性があります。
症状が長引く場合、病院を受診されるのがお勧めです。
以下に危険な病気の種類と検査方法を示します。
①危険な病気の種類
1. バレット食道
食道粘膜が慢性的な炎症によって変化し、腸上皮化生(ピロリ菌が原因の1つ)と呼ばれる腸の細胞に似た細胞が増殖する病気です
バレット食道は、食道癌のリスクが高くなるといわれています
2. 食道癌
早期発見、早期治療が重要ですが、進行すると根本治療が難しくなる場合があります
逆流性食道炎の症状が長期間続く、声がかすれる、体重が減るなどの症状がある場合は、食道癌が疑われるそうです
3. 誤嚥性肺炎
胃酸や食物が誤って気道に入り、肺に炎症を起こす病気です
呼吸困難、発熱、痰などの症状が現れます
4. 喘息
逆流性食道炎が気道の炎症を悪化させるそうです
喘息の発作が頻繁に起こる、ゼイゼイするなどの症状がある場合は、逆流性食道炎が原因である可能性があります
②病気の検査方法
内視鏡検査: 食道粘膜の状態を直接観察することができます
組織検査: 内視鏡で採取した組織を顕微鏡で観察し、細胞の変化を調べます
ピロリ菌検査: ピロリ菌がバレット食道発生のリスクを高めることが分かっているそうです
PET検査: がん細胞の進行状況を画像で確認することができます
胸部X線(CT)検査: 肺に炎症や影がないかどうかを確認します
アレルギー検査: アレルギーが原因であるかどうかを確認できます
以上の検査を受けるには一先ず、内科・放射線科・呼吸器科のいずれかに相談されるのが良いでしょう。
最後のご挨拶【記事の内容がお役に立てば幸いです】
以上で逆流性食道炎の解説を終了させていただきます。
現在症状に困っている方だけではなく、症状の予防に取り組もうと考えている方にとっても記事の内容がお役に立てば嬉しいです。
引き続き皆さんの健康の向上に役立つような情報の発信に努めてまいります。
Xでも健康情報や鍼灸・マッサージに関わる内容を発信しているので、ご覧いただけると幸いです。
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