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【鍼灸師の仕事が嫌いになる前に】勤務する際に注意すべき職場3選

2月後半から3月上旬にかけて、Xのタイムラインには国家試験関連の投稿が多く流れてきました。
改めて皆様、国家試験お疲れ様でした。

国家試験に合格した方は現場に出て、患者さんを診るわけですよね。
それに伴い、予想外の困難やトラブルに直面することもあるでしょう。

そこで今回は、国家試験合格後の就職・転職で避けるべき職場3選をご紹介します。

本題に入る前に、自己紹介をさせていただきます。

現在は京都で鍼灸・マッサージ院を営んでおります。

では本題へ進みましょう


はじめに:鍼灸師の働き口

鍼灸師が免許を取得した後に勤務する場所を以下に示します。

  1. 病院

  2. 鍼灸院

  3. デイサービス

  4. 鍼灸整骨院

  5. 訪問鍼灸(マッサージ)

  6. 整体院、リラクゼーションサロン

運良く鍼灸院(店舗)や病院(鍼灸がおこなえる環境)に勤務できれば、鍼灸師として成長しやすいでしょう。
また、機能訓練指導員としてデイサービスで勤務するのも良い選択です。
仕事は夕方に終わる職場が多いと思われるので、夜に勉強をしたりレンタルサロンを借りたりして、鍼灸の経験を積むことができます。

しかし、大多数の方が訪問鍼灸、鍼灸整骨院、整体院(リラクゼーションサロンを含む)に就職するのではないでしょうか。
実際、これらの求人が多いため、就職する人が多いのは自然な流れです。

ただ、これらの職場には「鍼灸師の仕事が嫌いになる要素」があるため、注意が必要です。

以下に1つずつ解説するので、今後の職場選びの参考にしていただければ幸いです。

①鍼灸接骨院

鍼灸師としてやりがいを見失う可能性が高い鍼灸整骨院の特徴を3つ解説します。

以下、ネガティブな内容が続きますが接骨院で勤務して良かったこともあるので、気になる場合こちらをご覧ください。

①施術スタッフに柔道整復師しかいない

鍼灸接骨院だからといって、鍼灸師が在中しているとは限りません。
(オーナーが鍼灸師の免許を持っているけど現場に出ていない場合、売上を確保するために鍼灸師を雇っている可能性があるため)

したがって、現場に柔道整復師しかいないと鍼灸がどのような症状に合うのか知らないため、鍼灸の患者が回ってこない恐れがあります。
また、東洋医学的な言葉が通じずにストレスを感じる可能性も懸念されます。

「売り上げのためだ」と張り切ってくれる柔道整復師なら患者を回してくれるため、鍼を打つ経験は積めるでしょう。
反対に、「鍼灸の売上が出たところで自分の給料は変わらないし…」という考えの人だと患者を回してくれません。

鍼灸整骨院に勤務する際には、面接の段階で以下の点を確認しておくことが重要です。

  1. 現場の鍼灸師の数

  2. 月に鍼灸の売上がどれくらいあるのか

  3. 鍼灸を受ける患者はどれくらいいるのか

これらを把握しておくと、スムーズな職場選びができるでしょう。

➁施術内容が完全マニュアル化されている

保険で鍼灸施術を受ける患者が多く、メインの売上が柔整(保険)で鍼灸はオプション的な施術所の場合、施術内容はマニュアル化される傾向があります。
鍼灸整骨院でおこなう鍼灸施術については、以下の記事で詳しく説明しています。


実際、私が勤務した鍼灸整骨院の施術は以下の内容でした。

  • 施術する鍼の本数は全患者同じ

  • 問診⇒鍼を打つ⇒パルスを流すを10分以内でおこなう

  • 四診合参などの東洋医学的なアプローチはほとんどなし

  • 「電気はイヤ」という要望がなければ、全患者にパルスを流す

これらのルールは悪いとは思いませんが、面白みはありませんね。

③患者が安い施術しか求めていない

売上の柱が柔整の保険施術の場合、残念ながら体に対する意識が低い患者さんが多くなると予想されます。
(もちろん、全ての患者さんではない)

具体的には、

  • 安くて近いから利用している

  • 手軽にマッサージを受けられる

  • ワンコインでコーヒーを飲む感覚で接骨院へ来る

という患者さんも少なくありません。

そのような患者さんが大半を占めると、鍼灸の施術に1,500円払うだけでも抵抗感を持たれ、「高いな!」と文句を言われることもあります。

そもそも1時間の施術に6,000円前後支払う方は、質やプライベート空間を求めているから、鍼灸専門の所へ行かれるんです。

鍼灸整骨院で自費の鍼灸施術の経験を積みたいのであれば、柔整の施術を明確に保険と自費で分けている場所で働くことをお勧めします。

➁訪問鍼灸(マッサージ)

訪問鍼灸業界でありがちな「えっ...?」ということを2つ紹介します。

①接触鍼や電子温灸器具しか使わない

先に断っておきますが、接触鍼や電子温灸器が悪いと言いたいわけではありません。
話を進める前に、訪問鍼灸の療養費をご覧いただきましょう。
spotlog様のページを添付させていただきます。

1件施術するごとに発生する療養費とご自身の給料を考え、1日に何件の施術が必要かを逆算すれば、1人に対して施術にかけられる時間に限りあることは容易に想像できますよね。

そのため、訪問鍼灸の現場では(特に介護施設の往診が多い場合)、患者に次のような施術をおこなうことがあります。

  • 機能訓練後に皮内鍼を貼る

  • 電子温灸器を一瞬だけ当てる

  • ローラー鍼を3分程度おこなう

    免許取得のために勉強した知識や技術を提供できないのは、なんだか歯がゆいですね…

➁マッサージ業務しかおこなわない

鍼灸の同意書をもらったにもかかわらず、患者が鍼灸ではなくマッサージを希望する場合、鍼灸師がマッサージをおこなっていると聞いたことがあります。

また、あん摩マッサージ指圧師と鍼灸師が在籍している環境で、あん摩マッサージ指圧の同意書が取れているにもかかわらず、鍼灸師のみの免許所有者がマッサージをおこない、保険を請求する事例もあります。

これらの問題はグレーとされていますが、(いや、完全にブラックやろと個人的には思います)問題ありと考えます。

③整体院(リラクゼーションサロン)

保険に頼らずに自費施術の経験ができるのは魅力的です。
また、鍼灸整体院(鍼灸エステ)などの店舗もあるので、鍼灸と手技療法どちらの経験を積むこともできます。

しかし、以下の職場には注意が必要です。

①売上至上主義

あなたのお給料は施術所の売上から支払われます。
したがって、数字を意識する必要があります。

しかし、知人の話を聞いたり、SNSでの投稿を見たりしていると、

  • 病院へ委ねた方が良い症状や病態の患者をかかえこむ

  • 異常がない箇所を異常があると言い、患者に危機感を煽る

  • 3回前後の施術で症状が寛解しそうな症状に長期の回数券を売る

などをおこない、事業を継続している施術所も少なくないようです。

自費で施術を提供するということは、保険で集患(集客)するよりハードルは高いです。
それ故、売上を確保するのも容易ではありません。

しかし、人としての正義や倫理観は失いたくないですよね。
入職するまではどのような職場か分からないと思います。

面接の時点で企業のKPI(重要業績評価指標)を確認し、自分に合いそうなのかを見極めるのが良いでしょう。

➁専門用語が通じない

リラクゼーションサロンで働く場合、現場の施術者が国家資格を持っているのかは確認した方が良いでしょう。

私が無資格者のリラクゼーションサロンで勤務していた頃の話ですが、施術者は次のような特徴がありました。

  • 病気の知識がない

  • 単に揉んでいるだけ

  • 筋肉の名前を知らない

柔道整復師の免許を持っていたので、お客さんに体の状態を説明したり、希望される方にセルフケアの方法を伝えたりしたら、あとで他のスタッフに「余計なことを言わないでください」と叱られた経験もあります。

言うまでもなく、人体の基本的な構造や仕組みを知らない人ばかりが集まる環境だと、四診合参をすることもありません。

もちろん、施術をしてお客さんとコミュニケーションを取っていれば技術も対話力も磨かれるでしょう。
けど、せっかくなら勉強したことを活かすことができて、お客さんに喜んでもらいたいですよね。

個人的にリラクゼーションと治療を融合した、てもみんグループは面白そうだと思います。

鍼灸師の仕事を嫌いになる人が増えませんように



以上、鍼灸師が鍼灸を嫌いなる職場の特徴を御紹介しました。

鍼灸師って人に喜んでもらうことで対価を得る、素敵な仕事です。
(まあ、全ての職種がそうですが…)

強い志や希望を持って、この世界に飛び込んだ方もおられるでしょう。
馬鹿な経営者に仕えることで、あなたの純粋な想いが打ち砕かれないことを願っております。

Xでも業界に関することや転職について投稿をしているので、ご覧いただけると幸いです。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。



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