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自#011|ストレートな真実が、絵本の中になければ、子供たちはついて来てくれない(自由note)

 新聞に高校を卒業した息子から、現代文の教科書をもらって、楽しみなが読んでいるお母さんのエッセーが掲載されていました。石田衣良さん、又吉直樹さん、さくらももこさんなどの人気作家のエッセーから、詩・短歌・俳句と云った韻文系の有名作品も読めて、「山月記」「星の王子さま」と云った古典作品にも再会できます。章末の「問い」や「考察」は、当然ですが、sakuっと、スルーできます。

 このお母さんの気持ちは解ります。私も、ゴミ置き場に捨ててある古い現国の教科書を、拾って来て、ちょいちょい読んでいました。一つ一つの作品が、そう長くないので、ちょっとした隙間に一作品、読めてしまいます。

 中学時代に、まともに教科書を広げて読んだのは、中3の1学期です。授業で井上靖さんの「あすなろ物語」を取り上げていました。教科書を読むと、面白くて、市立図書館に行って、「あすなろ物語」を借りて来て、一気に読みました。その後、「しろばんば」「夏草冬濤」「北の海」と云った井上靖さんの自伝モノをいくつか読みました。私と同年齢の方は、中3の教科書に掲載されていた「あすなろ物語」から、日本の文学に入って行った方が、結構、多いと思います。

 萩原朔太郎の「竹」の詩も斬新でした。散文と詩との違いを、萩原朔太郎の作品を通して、はっきりと認識しました。

 高校生になっても、現国の教科書は、授業とは無関係に、最初から最後まで読んでいました。現国の教科書には、外れの作品が一個もないんです。高校時代になると、新聞や雑誌も読んでいましたが、ジャーナリズムと云うかマスコミは、やっぱり玉石混交です。

 現代国語の教科書は、こんなに面白いのに、国語の試験は、何故、こんなにツマラナイんだろうと、ずっと思っていました。文章は、ただ、自由に楽しみながら読めば、それで充分です。問題を作って、点数をつけること自体が、そもそも無理じゃないかと云う気がします。

 私は小さい頃から本を読んでいて、高校生の頃は、毎日、文章を書いていました。国語力はある方だと、自覚していました。が、模試の現国とか、案外とできてないんです。英語、世界史、古文・漢文の点数は、まあまあ、安定しているんですが(英語はたまに不調の波が来ました)現国は、最後まで(入試本番まで)不安定でした。当時は、何故だか解らなかったんですが、受験が終了して、はっきりと理由が解りました。つまり、私は最大公約数的な考え方を、あまりしない人間なんです。最大公約数とマイナーとの選択肢があれば、マイナーの方を、選んでしまいます。だから、自分が答えだと思っている方の反対を選ぶと、正解なんです。本を読んでいる人で、現国が伸び悩んでいる生徒は、まあ、こっちじゃないなと思う方を選んでおけば、正解できます。センター試験は、終了しましたが、センターの過去問を10年分くらいこなせば、最大公約数の見つけ方は会得できます。出口さんの沢山出ている参考書は、最大公約数のオンパレードです。6冊セットとかで、出版されていますが、2冊くらいきっちりやれば、現国の設問の仕組みが会得できます。

 絵本作家の五味太郎さんが、「休校はチャンスだぞ」と云うタイトルで、インタビューに答えています。
「急に学校が閉められて先の見通しも立たず、大人も子供も心が不安定になっていると感じます」とインタビューする人が切り出すと
「それじゃ、逆に聞くけど、コロナの前は安定してた? 居心地はよかった?」と、五味さんは、切り返します。
「子供にとって、教育は権利だと憲法に書いてあるのに、6歳になったら、必ず小学校に行き、しかも学校も先生もほぼ選べない。おれの娘は、2人とも途中で学校に行くのをやめたけど、学校に向いてる子と向いてない子、あるいはどっちでもいい子がいる」と、五味さんは、はっきり真実を述べています。建て前では、絵本は描けません。ストレートな真実が、絵本の中になければ、子供たちはついて来てくれません。
「グローバルと言っても、心でグローバルしてたんじゃなくてお金がグルーバルしてただけなんだなとしみじみ思うよね」と云う発言には、苦笑してしまいました。

 今日の朝刊の一面に、世界恐慌以来、最悪の不況だと云うIMFが発表した記事が掲載されていました。2020年の経済成長率は、前年度と較べるとマイナス5.9パーセントだそうです。で、今年の前期(つまり6月末まで)に感染の山場を越すと、2021の成長率は、5.8パーセント増まで伸びるそうです。つまり、一番底で金融商品を買っておけば、一気に暴騰して、巨大な利益を得ることになります。アラブのオイルマネーと、WASPの賢い人たちのコラボで、ぬれ手であわを掴み取るんだろうと、高校の社会科の非常勤講師の私でさえ、容易に想像できます。結構、いろいろ操作されているんだろうなとも思ってしまいます。司令塔がどのあたりなのかと云うとこまでは、解りませんが。
「在宅勤務で口げんかばかり」「外出せず話題ない。苦痛」「避けたいコロナ離婚」と云う社会面の記事のタイトルもリアルです。「外出せず話題ない」は、本当にそうです。ネットを見ている人は、話題があるのかもしれませんが、私はネットデビューを一応、果たしたのに、基本、ネットは自分では見ません。見るとすれば、ネットの画面をプリントアウトして見ます。前の前の学校にいた時、2ちゃんのスレを、紙ベースの本にしたものを、結構、読んでいました。「電車男」の本を読んでから、しばらく2ちゃんにはまっていました。パソコンの画面を見ると云う作法を、身につけることが、なかなか難しいです。紙ならいくらでも読めます。

 毎朝、You Tubeの収録をしています。You Tubeの画面を出すと、毎朝、お勧めのYou Tubeが、2つ出ています。これが、毎日、違っているんです。一度として、同じ画面が出てきたことはありません。ネットの天文学的な情報の多さは、容易に推測できます。

 朝日新聞に「未来をつくる学びテスト」のお知らせが出ています。何回も何回も繰り返し、同じお知らせです。日時は7月5日。参加対象者は小学3年生限定で、無料です。主催は朝日新聞、後援は日本私立中学高等学校連合会、朝日学生新聞社、協力は日能研です。参加者全員に、天声人語書き写しノートなどプレゼントと書いてあります。天声人語は、特殊な名文です。天声人語限定の、一種の美文です。それを小学生が書き写すって、「どうよ」とは、まあちょっとは思います。

 まあしかし、この広告、もう何回も出したし、もうさすがに浸透しています。と、云うか、7月5日に実施できるかどうかも、本当は、結構、危ういような気がします。

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