【受験ノート】千葉大学

 千葉大学の最寄り駅は、総武線の西千葉駅です。駅のすぐ傍にキャンパスはありますが、キャンパスそのものは広いので、駅から各施設までは、徒歩2~20分とかなり所要時間に差があります。構内移動用に置きチャリをする人が、多かったんですが、卒業後に置きっぱにする学生が多く、駐輪場の問題もあって、置きチャリは禁止になりました。

 千葉大は、出席も厳しく、試験の結果が悪ければ、単位は取れません。学校は真面目に来て、遅刻せずに授業に出席し、単位取りに必要な勉強を、コツコツとしなければいけません。上手に遊んで、キャンパスライフをenjoy し、ポイントを押さえて、如才なく試験勉強をすると云ったMARCHのような要領の良さは、求められてないし、それをやると、浮きます。試験期間中は、生協で「単位」の文字が切り抜かれた海苔を巻いた「単位おにぎり」が限定販売されます。まあ、一種の験(げん)かつぎなんでしょうが、験かつぎをしなければいけないくらい、単位取りは、それなりに厳しいと言えます。

 MARCHの要領の良さと、地方の国立大学の地道な真面白さと、企業がどちらをより評価するのかは、まあ、企業の職種にもよると思いますが、テンポの速い、生き馬の目を抜くようなspeedが求められている会社では、地道かつコツコツの真面目なタイプは、分が悪いと判断できます。

 以前に勤めた学校に、千葉大に進学したT くんと云う男の子がいました。明治と立教の法学部にも合格していました。

 「明治の法でいいじゃないか。なぜ、千葉まで行くんだ。通えなくはないが、遠いし、大変だぜ」
と忠告すると
 「都心部のそのわさわさ感が、嫌なんです。大学の寮に入るか、下宿してあっちで、のんびり暮らしたいです」
と、彼は返事をしました。
「あっちのテンポに慣れたら、都心部の会社には戻って来れないぞ」
「公務員を目指します。国家公務員とかには受からなくても、どっかの市役所くらいには、潜り込みます」
と言ってたTくんは、大学卒業後、東京に戻って来て、多摩地区の市役所に勤めています。

 そこらの国立大学(と云っても、千葉大はそこらの国立大と云うより、旧帝大クラスに近い立ち位置ですが)に行くくらいなら、都心部の有力私大の方が望ましいと、私は考えていますが、これはあくまでも文化系の話です。理系となると、話は違ってきます。まず、授業料が、私大の理系は、一気に高くなります。文系は、国公立は55万ぐらい、私大は90万くらいです。それほど、大きな差ではありません。国公立は理系もやはり55万円くらいですが、私大ですと、3倍くらいの金額になります。理系の場合、大学院(マスターコース)まで行くのが基本なので、6年間、授業料を払い続けなければいけません。そこらの国公立文系は、さほどpayしませんが、理系は明らかにお得です。研究施設も、千葉大レベルだと、それなりに整っています(が、難関国立大には、太刀打ちできませんが)。

 一浪して難関国立大を目指すのか、現役でそこらの国公立に行くのかは、まあ一般論を言えば、一浪して難関国立大を目指すのが、王道と云うか正解だと思いますが、ごくごく一部の英語・社会はさっぱりダメだけど、理系の世界に関しては、sharpなsenseを持っていると云う方は、千葉大なら、まず進学しておいて、大学院段階で、難関国立大なり、アメリカの有力な大学の大学院に行く方が、望ましいのかもしれません。が、理系の世界に関して、sharpなsenseを持っているかどうかの判別は、高校の進路のレベルでは、できません。

 ぶっちゃけた言い方をすると、難関国立大には、英語と社会の暗記が苦手なので進学できないとしても、その中に、スーパー理系の若者は確実にいます。東大が推薦入試をはじめたのも、英語や社会の暗記が苦手のスーパー理系の若者を、何とかgetしたいからです。

 千葉大は先進科学プログラムと云う飛び級入学を、もう20年も前から実施しています。本当は東京大学がコレをやるべきだと思いますが、東京大学には、いろいろとアンシャンレジームな部分があって、そう思い切った改革はできないんです。文科省も千葉大だったら「まあ、いいかあ」ってことで、飛び級制を認めたんだろうと想像できます。東大で失敗したら、権威に傷がつきますが、みたいなとこは、まあやっぱりあります。

 千葉大はSGU(Super Global University)に選ばれています。千葉大に留学している外国人の数も、千葉大から海外に出かけている留学生の数も、国公立大学の中では、一番、多く、SGUに選ばれるのは、納得できます。アジア地域からの留学生が多く、千葉大はさほど敷居が高くなくて、それでいて理系の水準は、それなりに高くほど良い留学先なんだろうと想像できます。

 千葉大から外国に出る留学生が多いのは、大学側がある程度、メニューを整えてあげているからです(進取の精神を発揮して、自力でプログラムを作り出し、積極的に海外に向かうと云ったタイプの学生は、千葉大にはいません)。たとえば、ASEANで教育体験をするツイン留学生派遣プログラムがあります。教育学部と他学部の研究科の学生がベアを組んで、ASEAN 諸国を訪問し、現地の小中高等学校で、先端科学研究や日本文化についての授業を実施するメニューです。日米欧でデザインを学ぶ、大陸間デザイン教育と云うプログラムも用意しています。これは、1年間の聞に、米国と欧州に留学して、各国の特徴あるデザインを学ぶプログラムです。植物環境デザイニングは、日本人と留学生がチームを組んで、問題解決を目指すプログラムです。ポストアーバンリビングイノベーションと云うメキシコやパナマの学生と、千葉大の学生が、中米の未来都市を考えるプログラムもあります。中国・韓国の大学と連携して、植物環境のイノーベーションを企画、提案するプログラムなども設置されています。

 松戸に園芸学部の畑があります。国立大学では、千葉大にのみ園芸学部があります。100年以上の歴史を持つ伝統のある学部です。園芸作物の栽培・育種・利用技術と造園に関わる技術から、生命科学(バイオテクノロジー)、環境科学、社会科学にいたるまで、幅広く考察し、人々のクオリティライフを実現し、地球環境を持続可能にする都市を、いかにして再設計するかど云った現代的な問題にも取り組んでいます。

 医療系の医学部・薬学部・看護学部の3つの学部は、亥鼻にキャンパスがあります。千葉駅からパスで15分ほどです。3つの学部の学生が、合同で学ぶIPE(Interprofessional Education)と云う必修科目を置いています。それぞれの専門が学部として対等の立場にあり、異なる専門職が、互いを尊重し合いながら、互いは学んで行くプログラムです。

 学校案内に看諮学部長の「人は言葉・表情・態度で対話します。人と人との対話を大切にして毎日を過ごすことが、看護に役立つと思います」と云うインタビーが掲載されています。こういう当たり前のことを当たり前に理解することが、まず最初の第一歩です。

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