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自#087|監視社会(自由note)

 2000年にスコットランドヤード(ロンドン警視庁)が、ロンドンに監視カメラを300万台、配置した時、コールドプレイが、「スパイ」と云う曲を作りました。私は、この曲を聞いて、監視社会が、いよいよ本格的にstartしたことを知りました。

 朝日新聞のGLOBEが「監視」をテーマに、特集記事を載せています。監視カメラが最も多く設置されているのは中国です。2億台以上の監視カメラが、設置されていて、市民生活を完膚なきまでに監視しています。ネット通販やスマホ決済の利用履歴を収集して、膨大な個人データーを分析し、国民一人一人の格付けも行っています。この格付けによって、個人の信用のレベルは客観的に測定できて、銀行の個人貸し付けなどが、簡便にシステマティックに実施できるようになったようです。プライバシーを犠牲にして、行政や金融などのサービスを、より便利で、効率的に受けられる社会に、すでに移行してしまっています。一党独裁の国家だからこそ、ここまで監視し、管理する国家体制を整えることができると言えます。

 中国は、この監視社会のシステムを、他国に輸出しています。輸出することによって、中国は、利益を上げることができます。システムを導入した国は、犯罪の少ない安全な社会を築き上げることができます。ある意味、win-winの関係だとも言えます。

 コンピューターで世界を支配しようと、最初に考えたのは、アメリカですが、アメリカの覇権を奪い取ろうと、中国がデジタル世界で、イニシアチブを取ろうとしています。中国の習近平国家主席が、世界のデジタル覇権を制するために、力を入れている政策が「デジタルシルクロード」です。かつて、世界各地に絹を輸出したように、「監視社会システム」と云うお買い得なセット商品を、輸出しようとしています。当然ですが、治安の悪い国にセット商品を売り込みます。最大のマーケットはアフリカ。地球を歩く本などを熟読し(オーストラリア版などの欧米のヒッピーたちの情報を集めた本を読む必要があります。もちろん英文です)ネットで情報を収集し、対策をしたとしても、アフリカを自由に歩くことは、リスクだらけです。

 ケニアのナイロビには、デジタルシルクロードは、辿り着いています。街中に監視カメラが、設置されていて、信号無視したら顔認証カメラで人物が特定され、交差点の画面に顔写真がさらされる・・・と云う中国の大都市のレベルには、達してませんが、監視カメラは、そこら中にあって、警察の指令センターに直結しています。何かあれば、端末(特別なスマホ)で映像を確認し、警察官が即座に現場に駈けつけます。街全体を監視するカメラとは別に、車監視用のストロボ付きのカメラも設置されていて、ナンバープレート、車種を識別し、車内の人物を撮影します。誰が、いつどこを通過したか、すべて調べることができます。カメラには「HUAWEI」のロゴが入っています。つまり中国の通信機器大手の華為技術の製品です。

 その昔、イギリスの作家のジョージオーエルが、「1984」を書いて、監視社会の到来を予測したんですが、予測通り、監視し、常に見られている社会が出現したと言えます。記者がケニアで取材すると
「カメラのお陰で安全になった」「映像で証拠が残るから、犯罪者を捜しあてることができる」「通信システムのお陰で、数十秒で警察が事件を認識し、数時間で解決することができる」などなど、監視カメラを歓迎する意見を、次々に聞いたそうです。治安を良くするために、監視カメラを導入する、簡単な公式のように見えます。

 学校では、時々、盗難が多発する事件が起こったりします。これは、偏差値の高い、低いとは、まったく無関係です。上位佼でも、下位校でも起こります。日本の学校は、盗難が当たり前だと云った風な、無秩序な社会ではありません。同級生のお金を盗んだことがバレると、まず学校にはいられなくなります。非常にリスクの高い、payしない危険な行為です。盗むことが、習慣と云うか、もう一種の病気になってしまっているような生徒も、ごくたまにいます。回数が少ないと、バレないケースもあります。多いと、薄々、誰なのか解ってしまいます。

 盗難が多発すると、監視カメラを導入したらどうかと云う意見が、一度は、必ず出て来ます。が、学校のこういった高度な政策決定と云うか、運営には、平教員は、もう関われない仕組みです。監視カメラの導入を決定するのは教委です。今のとこ、監視カメラは、まだ導入されていません。監視カメラが導入されて、監視社会になってしまうと、生徒と教師のあり方の根本が、もしかしたら違って来てしまうのかもしれません。どうなって行くのかは、解りませんし、将来的には監視カメラ導入と云う方向に、進んで行くのかもしれません。

 監視カメラと云う言葉を使ってはいけないと思いますが、福祉の現場でも、介護される人を見守るシステムが導入されつつあります。国内屈指の介護事業者のSOMPOケアは、介護付きホーム18000室のすべてに、医療・介護用ベッド国内トップのパラマウントベッド社製の「眠りSCAN」を導入すると発表しました。この製品は、マットの下に設置されたセンサーで、寝ている人の体動を検出して、データーを送り、「睡眠」「覚醒」「起き上がり」「離床」と云った状況、心拍や呼吸の数を携帯端末やパソコンのモニターに、リアルタイムで表示します。呼吸や心拍に異常があれば、アラートを送り、室内に設置したカメラで、病室内の様子も確認できます。このシステムの導入によって、夜勤職員の負担は、大幅に軽減されたようです。センサーやカメラを活用して接触は、必要な時だけする「非接触介護」と云う言葉も、使われているようです。

 私は、自分の母親の介護を、3ヶ月でリタイアして、病院に入れてしまいました。介護について、語る資格は、まったくありません。ただ、自分自身は、こういうシステムのお世話にはならないつもりです。そのために、運動をして、自己の身体を鍛えているんです。

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