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自#025|アフターコロナの時代を見てみたい(自由note)

 近所のイナゲ屋の2階にあるキャンドゥーが、4月中旬から臨時休業してしまいました。「ブルータス、お前もか」って感じで「キャンドゥー、お前もか」と言いたくなります。ただ、キャンドゥーは、結構、お客さんがいました。スーパーだって、業務用スーパーとかOKとかは、結構、混雑しているそうです。そうすると、どうしたって三密になります。キャンドゥーは、お客さんが多すぎて、店を閉めたとも考えられます。

 週に二回、武蔵境駅南口のS書店と云う地味な書店兼文具屋に足を運んでいます。お客さんは、ほとんどいません。駅から、ちょっと離れていて不便なんです。近所の学校の教科書などを取り扱っています。前の学校の近くにあったJ書店と同じです。J書店同様、マンションの1階に店があって、おそらくマンションのオーナーです。客は、ほとんどいないのに、店員さんは常に3人います(多分、2人はオーナーの家族、一人はパート)。だいたいの雑誌を揃えています。ウチの近所のイナゲ屋の書籍コーナーは、私が選べそうな雑誌は、週刊文春と週刊新潮、ラジオ深夜便の三つだけ。一番、近いコンビニは週刊プレイボーイと週刊現代、週刊ポストの三択。が、S書店には、プレジデント、エコノミスト、東洋経済、アエラ、ニューズウィーク(さすがにタイムは置いてません)などなど、普通の読書人が読みそうな雑誌は、すべて用意してあります。たいして、売れてません。やって来た荷物の荷ほどきをし、それを陳列し、一週間後に、段ボールに詰めて返品する、まあそういうことを、きっと地道にやっています。ちゃんと必要な雑誌を揃えておくことが、本屋のあるべき姿だと云う、まっとうな書店の哲学を貫いているわけです。立派です。が、マンションのオーナーだからこそできる、一種のボランティア仕事だと言えます。

 月曜日にこの店で、アエラと週刊プレイボーイ(週プレ)を買いました。びっくりしたんですが、プレイボーイがビニールに包まれていました。80'sにビニ本と云う言葉がありました。過剰なまでにHな雑誌は、ビニールに包んであったんです。私は、4月に入ってから、毎週、週プレを買っていますが、ヤバそうなグラビアとか、一切、掲載してません。水着姿だったりはしますが、胸を露出している写真とか、一枚もありません。が、S書店では、週プレはビニ本扱いなんです。今どき、Hが目的で、高い雑誌を若者が買ったりする筈はないと、普通に思っています。ネットに行けば、Hな画像など、いくらでも転がっています。

 吉祥寺のJunk堂は、コピスの中にあるので、営業してません。武蔵境以上に繁華な街に行くつもりはないので(となると出かけられるのは、東小金井くらいになってしまいますが)S書店で、本を注文しました。注文したのは、4月27日でしたが、連休だし、当分、入荷しませんからと、きっぱり言われました。S書店の昭和時代のようなゆるゆるしたテンポは、正直、心地良い感じです。

 週プレに、神戸大学の岩田先生のインタビュー記事が掲載されています。岩田先生は、ダイヤモンドプリンセス号に乗り込んで「感染対策が満足に行われていない」と動画サイトで、警告を発した感染症の専門家です。岩田先生は「東京は、ハッピーエンディングにもなっていなければ、バッドエンドにもなっていないという中途半端な状態です」と仰っています。

 中国や台湾は、感染症の広がりを抑え込みました。が、政治のあり方が違います。二月中旬くらいに緊急事態宣言を出しておけば、今頃は、終息していたのかもしれませんが、2月中旬頃は、正直、政府も国民も、そこまで危機感は持ってませんでした。「クルーズ船大変だよね」みたいな、割と他人事でした。3月上旬の時点で、私は、間違いなく4月7日に、学校は再開すると思っていました。先をきちんと見通せる、リーダーシップを発揮してくれる優秀なリーダーが、いなかったから、まあ、こうなってしまったと言えます。

 3月中旬に、私は新宿TOHOで、「地獄の黙示録」を見ましたが、映画館は、超満員でした。私だけじゃなく、みんなふわふわで、ゆるかったんです。4月8日まで、私は、まさにこれぞ三密って感じの中央線に乗って通勤していました。危機感のない日々、過ごしていました。4日9日から、基本、ずっと家にいます。さすがに、もう危機感は持ってます。「5月7日の朝、中央線に乗るのは、ちょっと怖いかも」とも、思っています。

 週プレにロフトの平野悠さんのインタビュー記事もありました。平野さんが、ロフトのオーナーで、熱かったのは、70'sの終わりから80'sです。新宿ロフトから、ボーイがデビューした頃、私は教師になりました。80'sの半ば過ぎくらいだったか、スターリンの解散ライブをロフトで見ました。ロフトは、その後、西口から東口に移りました。その後のロフトのことは知りませんし、ロフトが熱かったのは、ボーイが登場する前ですから、どっちにしても、ロフトの全盛期は知りません。平野悠さんは、もうlegendの中の人だと思っていました。突然、週刊誌に写真入りで登場して、驚きました。平野さん自身は「僕自身は、もう75歳なので心残りはない」と仰っています。この気持ち、解ります。私は、平野さんよりも十歳年下の65歳ですが、正直、もう自分の人生にさして心残りはないです。やるべきことは、もうそれなりに、やったと思っています。

 平野さんは、「オンライン配信はやりたくない」「政府や行政に金を出せ、休業補償しろとは言いたくない。権力に頼るなんて、ロックじゃない」とも言っています。75歳のライブハウスのlegendの方ですから、オンライン配信をやりたくないと云う気持ちは、解ります。が、さすがにもう時代が違います。歌舞伎町のキャバ嬢さんたちだって、Zoomを使って「オンキャバ」やってます(1セッ60分4000円、指名料2000円、延長30分2000円は、オンラインにしては高いかもと思ってしまいます。まあしかしこういう世界の相場を知らないので、本当は、何とも言えません)。後半の発言は、本当に平野さんの仰る通りです。権力に頼ったら、ロックだとは言えません。が、ロックって、一体何だ? ロック音楽が、日本に存在するのか? と云うそもそもの問題は、まああります。

 平野さんは「僕は終息まで2年はかかると見ています。それまでロフトがしのいでいけるかどうかはわからないけど、アフターコロナの時代を見てみたい」と仰っています。ライブハウスの被害が少ない内に、いったん撤収した方が、望ましいような気がします。ロフトグループは、全部で、12店舗もあるそうです。12店舗だと、大きな企業です。平野さんは、おそらく経営には、一切、関わってないと推測できます。後、2年間も、毎月、莫大な金額の家賃を払い続ける余裕は、さすがにない筈です。

 ずっと親しくして来た吉祥寺のGBの姉妹店も、4、5店舗あります。おそらく、今は、大変な時期だろうと想像しています。ライブは、今後、手軽にオンライン化して行くとは、予測できるますが、三密(密集・密接・密閉)のライブハウスは、将来に渡って、存続し続けると確信しています。今は、とにかく被害を最小限度にする工夫、努力をするしか方途はないと思います。

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