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人口3,500人の高山村ではじめる、はじめての子育て。 // 移住STORY3

群馬県高山村に移住した私、山中麻葉の連載。今回は第3回目となりました。「読んだよ〜」という感想をよく頂きます。皆さん楽しんで貰えてますか? 記事へのリクエスト、例えば「こんなことを書いて欲しい」「ここのところは実際どうなの?」などあれば、お気軽にご連絡ください。instagramからもどうぞ。移住STORY1と2をまだ読んでいない方は、こちらもチェックして下さいね。

新生児の赤ちゃんを連れて高山村へ

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お盆が過ぎ、夏の暑さもやわらいできた9月下旬。里帰り出産と産後の安静期間を終えて高山村に戻って来ました。東京の実家から車で2時間ほどの道のり。赤ちゃんにとって、はじめての長旅です。私は産後のホルモンバランスの乱れで、メンタルがいつもと違う事を自覚していました。私の場合は、赤ちゃんにとっての「はじめて体験」の一つ一つにやたらと感傷的になってしまうという症状でした。赤ちゃんの「はじめて体験」は、人生で一度だけ。「はじめての長旅」も「はじめての高山村」も「はじめての新居」も、一度きりでおしまいです。産まれたばかりだから何でも「はじめて」で当たり前なんですが、一つ一つの「はじめて」が終わるたびに、なんだか寂しく、切なくて泣きそうになっていました。

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新居には高山村の村内放送を流すスピーカーが付いています。朝6時と夕方5時(夏場は6時だったかしら?)に決まった音楽が流れるのですが、夕方の音楽を聴くたびに、特に寂しさが込み上げるようになっていました。

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しかし、このスピーカーから流れる放送は村の日常をありありと反映していて面白いです。火災や熊出没、泥棒などの緊急放送にはハラハラとするし、迷い犬や村のイベントなどのローカル情報にはホッコリします。人口3,500人というコンパクトな村だからこそ、流れてくる情報が身近で、リアルで、親近感があるんですね。

都会よりも便利!? スーパーへのお買い物事情

高山村での生活がスタートして最初の疑問。それは、「どこに食料品を買いに行けばいいの?」ということ。いくら農家さんから野菜を貰えたり、道の駅の直売所が充実していても、やっぱり日々の生活に食料品の購入は必要です。移住したての頃は、まずは最寄りの「ヤオコー」に通う日々が続きました。
ヤオコーは自宅から車で10分。高山村ではなく、お隣の中之条町に位置します。広い駐車場で、比較的新しい施設のようでピカピカと小綺麗。2階には100円均一のダイソーと薬局のマツモトキヨシが入っているので、生活必需品はここで大体揃える事ができます。
もう一度言いますが、自宅から車で10分で、スーパーと100均と薬局があるのです。すごくないですか? 里山に住んでるのに、予想外の便利な環境。最初はむしろ、戸惑いました(笑) 田舎暮らしをするからには、「不便さ」へのそれ相応の覚悟が必要のはず。私達も移住前にある程度の不便さを覚悟し、それを楽しもうと意気込んでいました。それが、この便利さ。ちょっと拍子抜けです。もっと不便でも良かったとすら思います。
東京の杉並区に住んでいた時、最寄りのスーパーまで歩いて10分くらいでした。車に乗るか歩くかの違いはあるものの、所要時間でいったら同じ10分。しかも、重い荷物を両手に持つ必要はなく車で運ぶので、こっちの買い物の方が楽! お米とか、牛乳パックとか、丸ごとキャベツとか、躊躇なく買える事がとっても新鮮に感じました。さらに、スーパーの通路がやたら広いです! 買い物カゴが人にぶつからないように注意する必要もないし、「密」にならないのでコロナ禍も安心して買い物ができます。

日々のお買い物スポットは月日が経つにつれてどんどん増えていきました。ヤオコーからさらに車で5分行ったところにある「Aコープ あがつま店」は、私達のお気に入り。海鮮類が安く、充実しています。みなかみ町の「Beisia(ベイシア)」、沼田市の「FRASSAY(フレッセイ)」も車で30分圏内でご用達です。移住してから半年。今は日々の食料品の買い出しについては、全くと行って不便がなく、むしろ快適で楽しいちょっとしたアクティビティとなっています。

みんなで育てた米を日本酒にして、みんなで飲むという粋な遊び

産後から1ヶ月が経過した頃、買い物に出かけるたびに田んぼの景色に魅了されるようになりました。そう。1年のうちに一度だけ、田んぼがゴールドに輝くこの時期。稲刈りシーズンが始まりました。
私達もお誘いをもらって、赤ちゃんと参加。まずは、お隣みなかみ町の友達の田んぼへ。稲穂が綺麗な黄金色です。

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(↑赤ちゃんは参加者の中でも最年少でしたが、ちびっ子お姉ちゃん達に可愛がってもらえました。)
機械を使って刈っていきますが、機械が入れない四隅などは手刈りです。

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みなかみ町では、大学の頃の友人が「田んぼの会」というのを結成しています。みんなでお米を作って、そのお米を日本酒の蔵におさめ、お酒に加工してもらって、出来上がった新酒をみんなで飲む、という粋な活動をしているのです。なんて贅沢な大人の遊びでしょう。こういう活動も、土地がたくさんあって、作物を育てるノウハウや道具が蓄積されている田舎ならではの事ですよね。

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約1ヶ月後、蔵が加工してくれた日本酒をみんなで飲み、羽釜で炊いた新米を食べました。自分の手で刈ったお米、そしてお酒をみんなで食すーー。これを、「収穫祭」というらしいです。収穫祭は、何百年も前から続けられてきた日本人の営みの基本。それを37歳にしてやっと体験しました……感想は、なんて楽しいのだろう!!一年に一度きりの楽しみだから、あと50回くらいは楽しめるのかもしれないけど、それでも、足りないと思ってしまうくらいです。

子どもが立派な戦力。まるでアーミッシュな高山村っ子

そしてもちろん、高山村で開催された稲刈り、そして収穫祭にも参加しました。

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高山村の稲刈りで驚きだった事、それは、子どもが大きな戦力である事です。近所の小学生兄弟が参加していたのですが、テキパキと作業をこなし、コンバインまで操っているではないですか。

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子どもが大活躍のこの光景には、はじめ目を疑いました。慣れた手つきで大きな機械を操縦し、テキパキと稲を干していく兄弟。稲刈り初心者の参加者に作業方法を説明してくれたり、稲の育て方について教えてくれたり……イキイキと、堂々としています。

この子達の姿を見ていると、私の研究対象にしている民族・アーミッシュの子ども達の事を思い出します。アーミッシュの子ども達は小さい時から家庭で親のお手伝いをしながら育ちます。農作業や家畜の世話などはお手の物。木材の加工や馬の調教などの特殊なスキルも身につけます。そして、大人に指示されなくともテキパキと動きます。

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(↑畑の作業をお手伝いするアーミッシュ子ども達)

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(↑馬の調教のお手伝いをするアーミッシュの少女)

高山村の兄弟は、まさにこのアーミッシュの子ども達のような働きっぷりでした。私は常日頃から、「アーミッシュのように子どもを育てるには、どうすれば良いのだろう?」と考えています。それなので、この兄弟に出逢えた事は大きな希望となりました。もしかしたら高山村という環境は、アーミッシュのように子育てをしたい私にとって、最適な地なのかもしれない、と。

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(↑かっこいい。そして、たくましい高山村っ子)

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これからここ、高山村でどんなふうに育っていくのか。楽しみな我が子。
生まれたばかりのこの子に会いに、お友達も遊びに来てくれましたよ。

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次回は高山村で開催された収穫祭のお話。稲刈り、そして収穫祭を体験した私たちは、ついに自らも作物を育てる事にしました。その経緯や、何を育てるかについて語らせて頂きます!

それでは、またすぐ。

<写真について>
高山村の稲刈りの写真:丸山えり

山中麻葉 Maha Yamanaka
1984年生まれ。30歳を機にサラリーマン生活に終止符を打ち、ワンピースのオーダーメードのお店を起業。2021年夏、群馬県高山村に、夫と娘と移住。夢は、小さなアーミッシュ村をつくること。
Down to Earth アーミッシュワンピースのお店
> instagram @shop_down_to_earth
> 著書「アーミッシュカントリーの美しい暮らし」

【お知らせ】
2022年は全国でアーミッシュワンピースの展示販売会を開催します。ワンピースを試着して、その場でオーダーが可能です。ぜひご来場ください。
● 東京都国分寺市
5月13日(金)~15日(日) 東京都国分寺市「カフェスロー」
 各日程11:00~17:00
● 宮城県仙台市
6月18日(土)、19日(日)宮城県仙台市「ブランチ仙台」
● 大阪
10月5日(水)~10日(月)大阪府大阪市「阪急うめだ本店」
● 熊本県南阿蘇村
10月熊本県南阿蘇村 詳細は決まり次第アップデート
● 福岡県福岡市
10月福岡県福岡市 詳細は決まり次第アップデート

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