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腰方形筋(Quadratus Lumborum)

今回は、骨盤の安定性だけでなく腰痛にも影響することも多い腰方形筋について。

腰部後方の組織との関係性も深い腰方形筋、この機会にしっかり整理していきましょう!

腰方形筋の起始停止

ファイル_000 (2)

(Visible bodyより引用)

起始:腸骨稜、胸腰筋膜
停止:第12肋骨、腰椎横突起
支配神経:腰神経叢の枝T12~L3
作用:両側では第12肋骨引き下げ
   片側では同側側屈
(基礎運動学第6版)
起始:腸骨稜
停止:第12肋骨、腰椎横突起
支配神経:腰神経叢T12~L3
作用:両側では腰椎を後ろに曲げる
   片側では同側側屈
(分担解剖学1総説・骨学・靱帯学・筋学)
下位付着:腸腰靱帯、腸骨稜後方、下位腰椎肋骨突起
上位付着:第12肋骨下縁内側1/2、上位腰椎の肋骨突起、第12胸椎の横突起
支配神経:第12胸神経と上位3または4の腰神経前枝
作用:両側では第12肋骨引き下げ、腰椎安定化
   片側では同側側屈
(オーチスのキネシオロジー第2版)

骨盤と肋骨を後方で支持している筋の1つで、両者の安定性に関与していると考えられています。

また、脊柱起立筋や大腰筋との関係性についても整理しておきましょう。

筋機能

胸郭と腸骨稜を横断する筋線維は大きな側屈のモーメントアームを有しており、側屈作用は疑いようがないと考えられています。

腰方形筋は腰椎肋骨突起と第12胸椎の横突起に付着しており、
多くの椎骨と交差連結する線維が確認されています。

そのため、腰椎の剪断力に対して安定性を与えています。

こちらは立位で両手に重りを持った姿勢で姿勢を保持する実験などでの
腰方形筋の筋活動からも支持されています。

また、腰方形筋は体幹伸展とともに弛緩しないことが報告されています。
他の脊柱起立筋は屈曲弛緩現象により弛緩していきますが、腰方形筋は収縮し続けます。

この腰方形筋の持続した活動は、腰椎を安定化させる役割が腰方形筋に存在することを示唆しています。

筋膜連結

画像2

筋膜連結では、ディープ・フロント・ライン(DFL)に含まれます。

(中略)⇒内転筋群⇒腸骨筋⇒腰方形筋⇒横隔膜⇒(中略)

と続く。

DFLについては過去にも解説しているので、そちらも参照ください。

腰方形筋の周辺組織

腰方形筋は非常に多くの周辺組織が関係しています。

まずは断面を見てみましょう。

ファイル_000 (3)

(Visible bodyから引用)

画像の最も下側、つまり後方にあるのが広背筋です。

その奥の青くなっているのが腰方形筋で、その内側には腸肋筋、最長筋と続き、前方には大腰筋があります。

そこから外側には胸腰筋膜として内腹斜筋と腹横筋の線維が回ってきています。

これらのことから、腹筋群の緊張は腰方形筋の緊張を作り、逆もまたしかりです。

さらに表層にある広背筋や前方にある大腰筋からも影響を受けやすい筋でもあります。

慢性腰痛患者では腰方形筋が硬くなり、マッサージを望む人も多いかと思います。

しかし、結果として硬くなっている腰方形筋をいくらマッサージしてもすぐに硬くなってしまう原因は、別の筋の硬さによって結果として腰方形筋が硬くなっているからかもしれません。


次は後方から見てみます。

ファイル_000 (4)

(Visible bodyから引用)

表層から見ると、実はほとんど見えません。

それだけ多くの筋に覆われているのです。

つまり直接触診することは極めて難しく、どこかしら筋を介して触れていると考えられます。

脊柱起立筋と腹筋群を丁寧に分けて触れることができれば触診も可能ですが、それなりのスキルを要します。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

名前はよく聞く腰方形筋ですが、しっかり整理できたでしょうか。

腰方形筋を単独でトレーニングしたり、施術対象にするというよりは、
他の筋や関節との関係性から考察を行うことが多いかもしれません。

それではまた来週!

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