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技術系ポートフォリオで日本の就活文化を破壊したい

自己紹介

はじめまして。このようなキャッチーなタイトルの記事を開いて下さりありがとうございます。東京工業大学 機械系 修士2年の 櫻木嵩斗 と申します。

学部4年から現在に至るまで、研究室では「食品ロボットハンド」の研究をしていました。研究もまたキャッチーな分野ですね。

趣味でオリエンテーリングという森を爆走する競技をしています。こちらもまたキャッチーですね(笑)

それはさておき、この記事では私が東工大のスタートアップ支援で行っていた新規事業をプレゼン資料と共に紹介させていただきます。スタートアップ支援については別の記事で詳しく書きたいと思います。

概要

さて、日本の就活文化を破壊するために、私が現在開発しているサービスが「BusiCo」です。

BusiCoは就活に向けてガクチカを作っておきたいと考えている学部2年生~修士1年生向けの技術系・教育系イベントのポートフォリオサイトです。

参加イベントのポートフォリオを企業の採用担当が閲覧できる機能を持っています。

LabBaseやOfferBoxとは違って、参加イベントの具体的な成果物やチーム経験を書けるため、企業が学生の力を正確に見極めることができます。

なお、ここでは技術系・教育系イベントを次にように定義しています
技術系イベント:ハッカソン、アプリ開発コンテスト
教育系イベント:ビジネスコンテスト、アイデアソン、ピッチコンテスト

日本の「就活」の現状

みなさんご存知の通り、日本の就活解禁日は年々早まっています。21卒より就活ルールが廃止され、学生は早い段階から勉学と就活の両立を迫られることになりました。

内定を得るためにはインターンを経験し、早期選考を勝ち取る必要があります。
(本来、インターンは企業の雰囲気や仕事ぶりを理解するためのものですが、学生にとっては早期選考のための足掛かり、というイメージが一番強いのが現状です。)

そこで、インターンを受ける学生(学部3年・修士1年)は夏冬インターン用に大量のESを書く必要があります。夏インターンの場合、ESの締め切りは5月~6月です。

しかし、例えば理系の場合、修士1年の5,6月には研究も進んでおらず、ガクチカに書く内容がありません。多くの学生は部活動やバイトの経験を記載しているのが現状です。

私たちのミッションは、このような日本の就活文化の根底にある「2つの常識」を破壊することです。

1.「学生が自らの時間を消費して就活する」という常識を破壊

マイナビが公開している調査結果によれば、
インターンの平均応募数:「7.0社」 (2023卒,マイナビ調査)
本選考でのES提出数 文系:「19.3社」 理系:「13.0社」(2020卒,マイナビ調査)
となっています。

つまり、内定を得るために理系でさえ合計20個以上のESを書く必要があるわけです。

就職ジャーナルの調査によると、ES1枚あたりにかける時間の平均は3.8時間ですから、単純に計算すると学生はESを書くだけで76時間も消費しているということになります。明らかに異常ですよね、こんなの。

私たちの目標は、このESに割く時間をできる限り0に近づけることです。

2.「盛った者勝ち」就活から「頑張った者勝ち」就活へ

もう一つ、日本の就活においてよく言われるのが、ESや面接の際にガクチカを盛ったり嘘をつくのが横行しているということです。

キャリタス就活の調査によると、学生時代のエピソードに嘘を混ぜたことのある学生は33.9%にも上るそうです。

もちろん、「話を盛る」ことと「自信満々に話す」ことの線引きは難しいですし、採用側は大体の嘘を見破れるはずだから問題ないだろうという見方もあります。

とは言え、就活においては文字ベースのESと会話ベースの面接が学生の評価のほぼ100%を占めている現状はやはりおかしいと感じます。成果物をきちんと評価できる仕組みがないと、特に技術職では適切な採用ができないと私は考えます。

BusiCoでのユーザー体験

BusiCoを使用するとどのようなユーザー体験が生まれ、先ほど紹介したミッションが達成されるのかについて、具体的な例を用いて紹介します。

ユーザー体験①:メーカー志望の理系学生

まず理系学生の例として、Aさんを取り上げます。

Aさんは学部4年生。ドローンの研究室に配属して10ヶ月になります。将来はメーカーに就職して新規事業の開発リーダーになりたいと考えています。

5月ごろには志望企業のインターンが始まりますが、インターンのESのガクチカ欄に書く内容がなく困っています。

ガクチカに書ける内容がなく困っていたところ、研究室の先輩から「BusiCo」というサービスを勧められました。早速使ってみると、イベントがたくさん掲載されています。

その中に初心者向けのハッカソンがあると分かったAさん。参加者の8割近くが初心者であることも分かり、安心して申し込むことができました。

イベントで自身の技術力をいかんなく発揮したAさんは、優秀賞を受賞することができました。

イベント終了後、Aさんは早速チームのみんなでポートフォリオを書きました。特にプロトタイプの実装を担当したAさんは、利用した技術やテストの結果をしっかりと書きました。

数日後、ふとスマホを開くと、複数の大手メーカーからインターンのオファーが届きました。なんとAさんはESを1枚も出すことなく、インターンに参加することができました。

ポートフォリオ作成に要した時間は2時間。ES1枚分の労力で複数の企業にアピールができました。

ユーザー体験②:コンサル志望の文系学生

次に文系学生の例として、Bさんを紹介します。

Bさんは学部3年生。私立の経済学部に通っています。将来はコンサルに就職してプロジェクトリーダーとしてキャリアを積みたいと考えています。

年明けの3月ごろから志望企業の本採用が始まりますが、コンサル業界はどこも就職難易度が高め。本採用のESを通過させるために、他の学生にないガクチカが欲しいと考えています。

Aさん同様、ガクチカに書ける内容がなく困っていたところ、友人から「BusiCo」というサービスを勧められました。早速使ってみると、イベントがたくさん掲載されています。

その中に単日開催のビジコンがあると分かったBさん。必要なスキル等もなく、グループワークでのチームマネジメントに自信のあったBさんは「自分でもやれる」と思い申し込みました。

イベントでBさんはうまくチームをまとめ、発表でも高い評価を得ました。イベントから帰った後、Bさんは早速チームのみんなでポートフォリオを書きました。チームメンバーの相互コメントでは、Bさんのチームマネジメント力を高く評価する声がたくさん書かれていました。

BさんはBusiCo上で第一志望の企業に応募したところ、無事面接に進み、最終的に内定を勝ち取ることができました。後日人事担当に聞いたところ、「ポートフォリオを見て、チームをまとめる能力が非常に高いと分かった」と言われました。

BusiCoの強み

採用側が利用するメリット

BusiCoを利用することで、企業の採用担当は以下の学生の4つの力を一度に確認することができます。

チームへの協調能力:チームをまとめ、一つの目標に向かってチャレンジする力
困難への対処方法:技術的な問題やチーム内でのトラブルがあった時にどのようにどのように対処するか
技術力・開発力:ハード・ソフトの開発能力および技術知識
情報発信力:成果物を適切に他者に説明する能力

また、書き手の本人確認が取れるのもBusiCo固有のメリットです。

BusiCoではイベント参加登録システムを活用することで、参加したイベントのみ、ポートフォリオを書くことができます。そのため書き手を捏造したり、参加イベントを盛ることができません。

同じような記事作成サービス(Zenn,Qiita,note)で学生が成果物を書くこと自体は可能です。しかし学生にとってこのようなサービスで実名で記事を書くことはかなりハードルが高いのが事実です。

BusiCoは初めから「就活向け」であると明示しているため、学生が実名で記事を作成します。

運営者が利用するメリット

次に運営者がBusiCoを利用するメリットについて説明します。

まず、運営者はBusiCoに無料でイベントを掲載することが可能です。掲載されたイベントはBusiCoの公式Twitter、LINE、Instagramで広報されるため、多くの集客が期待できます。

また、イベント運営で悩みがある場合、有料で運営を伴走するオプションもついています。

「イベントのコンテンツを考えてほしい」「協賛企業を獲得したい」「スタッフ・メンター・審査員を集めたい」「特定の大学生を集めたい」といった要望に答えます。

学生が利用するメリット

最後に学生目線でのメリットを紹介します。

ポートフォリオ就活のメリットとしてESを書く時間が大幅に削減されるというのは先ほど紹介しましたが他にも2つのメリットがあります。

まず、自分に合ったイベントに参加できるという点。

イベント参加経験がある程度豊富なユーザーのヒアリングでは、「イベントサイトの検索のしづらさが悩み」というがありました。BusiCoではタグや開催形態、開催地などで高度な検索を行うことができます。

また、イベントページでは参加者の属性の比率を見ることができます。
例えば「初心者80% 経験者20%」「東工大30% 慶応20% 早稲田15%」
といった具合に参加者のデータをもとにグラフを作成します。

これはヒアリング調査で得た「初心者が本当に参加してよいかわからない」といった声をもとにしています。これにより参加者はアウェー感のあるイベントに間違えて参加する不安がなくなります。

また、知り合いをフォローしておくことで、その人が参加したイベントを自動で通知する機能も持たせることで、「一緒に参加する」モチベーションを高めることができます。

もう一点がメッセージ機能で採用担当以外とも交流できる点。

他人のポートフォリオは採用担当者以外でも閲覧することができるため、一緒に参加してくれる人を探したり、運営が直接参加者を募ることもできます。

競合サービスとの比較

競合サービスとの比較を行いました。横軸は具体的な成果物を記載できるかどうか、縦軸は就活に利用できるかどうかを示しています。

図の通り、BusiCoは今までにない「具体的な成果物を記載できる」「就活サービス」であることが分かります。

例えば筆者も就活時期に大変お世話になったLabBase研究内容を登録しておくことで企業が学生のページを見てオファーを出す就活サービスです。

将来研究職に就きたい理系学生にとっては素晴らしいサービスですが、研究室に所属していない学生は利用できません。また、文字ベースの内容しか登録できないため、エンジニア志望の学生は成果物を提出できず、企業も学生の技術スキルを正確に評価することができません。

IT系の会社の場合、ES提出時にGitHubアカウント記入欄を設ける場合があります。しかし、これだけではどのような目的でその開発を行ったのか、どのような開発過程を経たのかなどは全く分かりません。

BusiCoの場合、これらのサービスを利用するのに比べてより詳細に学生の力を評価することができます。また、研究室に所属していない学生やコーディングが得意でない学生も成果物を提出することができます。

ビジネスモデル

ビジネスモデルは上図の通りです。

イベント運営者はイベント情報を掲載することで学生参加者を獲得することができます。掲載手数料を貰うマネタイズ方法もありますが、基本的には無料で利用いただくことを想定しています。(競合サービスのPeatixやconnpassも基本無料なため)
自力での運営に不安がある場合は有料オプションでBusiCoスタッフが運営を伴走します。

学生ユーザーは好みのイベントに参加した後、ポートフォリオを作成します。学生ユーザーの利用も無料です。ただし、学生から企業にポートフォリオを「みてね」する機能などは有料化できるかもしれません。

企業の採用担当者は学生が作成したポートフォリオを閲覧することができます。ここに関してはサブスクリプション方式でマネタイズすることを想定しています。

プロジェクトの進捗

まず、イベント掲載サービスについてはすでにデモ版を公開しています。

こちらのサイトでこれまで110件以上のイベントを掲載しました。
サイトの平均訪問者は350人/月、登録ユーザーは50名となっています。

ポートフォリオサービスについては現在Figmaにて開発中です。

こちらで随時公開しています


おわりに

掲載イベント数・ユーザー数からも分かる通り、BusiCoはまだまだMVPを達成していないサービスですが、今後も開発を続けていきます。現在東工大の4名のメンバーで開発を行っています。

チームで開発していく上では、どうしても資金が必要です。そこで、BusiCoに出資していただける方を探しています。

このnoteを読んでBusiCoのサービスに少しでも興味を持ったり、面白いと感じた方がいらっしゃればぜひ一度お話させていただきたいと考えています。

下記メールアドレスまたはTwitterのDMまで、ご連絡いつでもお待ちしております。

メール

service@busico.net

Twitter

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