見出し画像

上手に喜べない。

私はサプライズが苦手。

サプライズをする方ではなくて、される方。(いや、どちらも苦手なんだけど、今日はされる方で。)

突然、プレゼントなんて貰っても上手に喜ぶことができない。

「ああ、。ありがとう。」

ポカンとした顔で、あっけない挨拶を口にする。

本来の私であれば、ほぼ間違いなく、そういう反応を示す。


しかし、私は自分が苦手なくせに相手に不意打ちでそういったことをしたことがある。(なんとなく、期待されているような気がしたから。)

だから、する方の、「喜んで貰えるのかな。」という不安な気持ちも分かっているつもりだ。

そんな気持ちが頭の中にあるせいで、「あ、くるな。」と思うと私は緊張状態になる。サプライズのはずなのに、それがくる少し前に何かを察知する。
ハッピーになることを望まれて、ナーバスになってしまう。

ジャジャ~~ン!という風なことが起きると、私はとりあえず大きな声を上げる。

「え~~!どうしよ~~!うれしい~~!(驚)」

もちろん口から出まかせである。

せっかくのプレゼントなのに、自分の大袈裟な反応のせいで心から喜ぶことができない。むしろ、心の中は罪悪感ばかりである。私のためにしてくれたことで、どうして喜ぶことができないの?

一度、旦那からサプライズプレゼントを貰ったことがある。

結婚して初めてくる私の誕生日だった。

並ばないと買えないような人気のチョコレート屋さんでバースデーケーキを買ってきてくれていた。大きな箱に入ったシャンパンも一緒に。

雪の降る日だった。

私は、寒い中並んで買ったであろうケーキと、オレンジ色の可愛らしい箱に入ったシャンパンを受け取って、喜ぶどころか、旦那に腹を立て、怒ってしまった。

どうしてかというと、私はケーキが苦手だったのだ。それは普段から旦那にも言っていた。
大きなシャンパンを人から貰ったこともあった。その時は旦那と二人で、「こんなに大きいのを二人で飲むのは大変だ。」と笑い合いながら、ベロンベロンになるまで飲んだ。

そのプレゼントを見たとき、「この人は、私のことをなにも見てくれてない。」という気持ちでいっぱいになった。

それ以外のことはなにも頭にはよぎらなかった。


もうサプライズは懲りたらしい旦那に、昨年はお花をねだって買ってきてもらった。

深い赤色の薔薇の花束だった。(タキシード仮面が差し込んでくるような薔薇だった。)

「うわっ!今時、こんなベタな花束!」と思いながらも、とびきりの笑顔で喜んだフリをした。

旦那からの一度目のプレゼントには腹を立て、頼んで買ってきて貰ったプレゼントには驚きちょっと引いてしまった。

うちの旦那はとてもとても、サプライズプレゼントなんかとは縁遠い人間なのに。きっと考えに考えて考え抜いた結果の贈り物だったはずなのに。


その後、どうしてケーキを買ってきたかについて聞いてみると、私がいつも「チョコ食べたい。」と言っているのでチョコレートケーキにしたそうだ。

シャンパンはお酒が好きな私のため。濃い目のチョコレートに合うと思ったのかな。ケーキが苦手なんてこと、頭から抜け落ちるくらい考え込んだ模様。

花束に関しては、デパートのお花屋さんで相談したようだ。薔薇にすると決めたあとも、「赤以外の色も入れた方が良いかな。」と悩んだけど、店員さんにキッパリ、「赤一色が良い!」と言われて決めたらしい。

そんな話を聞けば聞くほど、喜んであげられない自分がどうしようもなく酷い人間に思えてきた。

喜ぶどころか怒るってどうよ。

私ならとてつもなくショックで落ち込むだろうな。「雪の中、並んだんだぞ!」って逆切れするかもしれない。だけど、旦那は何も言わなくて、ちょっと悲しそうな顔をしていた。

私は、本当に申し訳ないことをしてしまった。

でも、こんな背景があったことを旦那に聞いて、改めて考えてみると、旦那に済まないことをしてしまったという気持ちとは別に、なんとも言えない嬉しいような、だけど涙が出てきそうな、そんな気持ちが胸の中に込みあがってきた。不器用な旦那が一生懸命考えてくれたことを、物凄く愛おしく感じた。

突然の出来事には反応できない仕様になっているけれど、あとからしっかり考えれば、私にも、喜びを感じることができるのかもしれない。

でも相手には物凄く申し訳ないから、あらかじめ説明が必要だなぁ。

ここまで読んでくださって、 ありがとうございます。 mai〓