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採用担当者から見る、実務未経験エンジニア市場で起こっていること

iCAREでVPoEをしている安田と申します。
弊社のエンジニア採用は、以前は実務経験のある方に対象を絞っていましたが、数ヶ月前から実務未経験エンジニアも積極的に採用するようになりました。

そして、実務未経験エンジニアを対象として、かなりの数の書類選考、カジュアル面談、面接をしてきました。その結果、多くのことがわかってきたのですが、今日はこの実務未経験エンジニア採用まわりの知見について、過去のツイートも参照しながら、まとめてみたいと思います。

採用担当者は「そっくりな」応募者情報の山の中で疲弊している

自分は実務未経験エンジニアの採用活動について、折に触れてツイートしているのですが、このトピックで、はじめてある程度の注目を集めたのが、以下のツイートです。

こちらのツイートは正直、特に注目を集めたくてツイートしたのではなく、実務未経験エンジニアとのカジュアル面談、書類選考が、金太郎飴のように、どの人と会っても、どの書類を見ても、非常に似通っていて、ほとほと疲れて、半ば事態に憤慨して、そのやりきれない思いを「つい」つぶやいてしまったものです。

こういう書き方をすると、とても不遜に思われるかもしれません。しかし、私も普通の忍耐力しか持たない一介の弱い人間、特に私は人事出身でもなんでもなく、つい最近まで20年近く普通にプログラムコードを書いていたエンジニア(今は、業務範囲がもっと広いVPoEですが)。なので、この間違い探しかと錯覚するほどに似通っている応募者情報、githubやqiita等の技術情報の山の中から、非常に希少な情報を探し出すのは、とても消耗する作業なのです。

なので、逆をいえば、この類似の情報の山の中から、キラリと光るポートフォリオや、機知あるれるプログラムコード、意欲や個性あふれる面談に出会うと、飛び上がるほどに嬉しいのです。なので、実務未経験エンジニアの応募者の方々には、ぜひ、そういう採用担当者の置かれている立場を考慮に入れて採用活動をしていただくのが良いかと思います。

転職活動ノウハウは採用担当にとっては敵のようなもの

よく「面接のコツ」とか「採用されるための技術選定」といったノウハウ情報発信をしている方々がたくさんいらっしゃり、自分もそうしたノウハウ情報を折に触れて見聞きしますが、多くの情報は、採用担当者の立場が考慮されておらず、実態から外れているように見えます

それを象徴しているのが以下のツイートの話です。

ツイートの中では触れていませんが、正直、これが起こったタイミングから丸一日は、ずーっと心の中がもやもやしていました。何が起こったのかさっぱりわからない中に自分が置かれていて、「自分がおかしいのか?」それとも「相手がおかしいのか?」あるいは「相手の背後に何者かがいて、その何者かが私をせせら笑っているのか?」
いろんな考えが頭の中を交錯し、その日と翌日は、心が非常に動揺した状態で過ごしました。

ただ、時間の経過とともに冷静になってきて

上記のように、正気を取り戻しました(笑)
そうなんです。応募者も日々いろいろなことに心を動揺させながら大変な思いをしていると思うのですが、実は採用側も日々心を動揺させながら大変な思いをしているのです。

さて、上記事象については、上のツイートの返答の中で記載したとおり、今はこのようなことが起こったのではないかと推定しています(実際のところは知るべくもないのですが)。

こうしたノウハウを発信している人たちは、応募者の「自分の情報を正しく伝えたいけれども、それを整理して伝える自信がない」という悩みに、言わば「弱みにつけ込む」形で、採用という場の実態に合わない、実情を知らない人には「それっぽく見える」解決法を売りつけるわけです。あるいはこうしたノウハウの発信者も悪気はないのかもしれませんが、いずれにしても厄介な話です。

転職活動の知恵は有料コンテンツに隠されてはいない

さて、ここまでお話をしてきて、ぼんやりとおわかりいただけたかと思うのですが、転職活動において大切なことは、面接ノウハウを使って「自分のことを正確に伝える」とか、インフルエンサーが教えるプロフィールの書き方で「自分をよく見せる」ことにあるのではなく、それ以前に「同様の立場の人も含めて、自分の置かれている立場を想像する」とか「相手の立場を想像する」といった、よく言及されるような当たり前の知恵を使うことなのです。つまり、そうした知恵は、有料のエンジニアサロンの中に隠されているわけでもなく、有名なYoutuberが発信する情報の中にあるわけでもなく、もっと身近によく言われていることでしかないのです。そして、その当たり前の知恵を、他人の頭を使ってではなく、自分の頭を使って適用しようとすることが大切なのだと思います。

このスキルは、転職後にも有効なスキルでもあります。「同様の立場の人も含めて、自分の置かれている立場を想像する」ことは、競合他社と戦う上で必要なスキルです。「相手の立場を想像する」ことは、顧客ニーズに応えるサービスを作る上で重要なスキルとなります。

つまり、転職活動は、すでに転職後の仕事の助走をしていることになります。なので、転職活動をされている方は、言わばすでに転職に成功しているつもりで、その先での活躍も視野に入れて活動すればするほどに、転職活動も成功すると思われます。結局、多くの転職希望者の中から抜け出ることは、競合他社と戦うことと一緒ですし、採用担当者にピックアップされることは、顧客ニーズに応えることと変わりません。転職活動もビジネスも、薄っぺらいノウハウの適用で成功しないのは一緒です。小手先の、安っぽいノウハウで転職という「ただの機会」を、最短で効率的に「通過」しようとしても、大抵は失敗すると想像されます。むしろ、その機会を利用して、転職という機会の向こう側にある、さらなる挑戦に立ち向かってほしいと思います。

転職うんぬんじゃなく、「価値」を届ければ、自ずと成功もついてくる

とはいえ、今の状況すらよくわからないのに、転職後の先のことなんてもっとわからないじゃないか、と思われるかもしれません。しかし、私はそんなことはないと思います。

なぜなら顧客はあなたの身近に必ずいるからです。そしてその顧客が、あなたの作ったサービスを使ってくれるのであれば、その時は基本的に、競合に打ち勝ったことになるでしょうし、顧客ニーズにも応えたことになるからです。(もちろん実際のビジネスでは、マネタイズという一番難しい話が待ってますが・・・)

人生は有限で、その一刻一刻はとてもとても貴重です。転職という人生の一瞬にしか使えない、つまらないノウハウを身につけるのはもったいなさ過ぎます。そうしたつまらないノウハウに踊らされるのではなく、たった一人の人でも良い(あるいは、自分だけでも良い)ので、その人が心から喜ぶようなサービスを作って、エンジニアリングを心から楽しんでください。そして、その世界に一つしかない素晴らしいアイデアを、その素晴らしいソリューションを、その大きな喜びを、採用担当者に伝えてください。

そうすれば、そこには応募者にとっても、採用担当者にとっても、心から楽しめる書類選考と面談の時間があり、その先の採用もあるのではないでしょうか。

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最後に

以上、実務未経験エンジニア市場で起こっていることについて考えていることを書いてみました。この記事が、転職活動中の実務未経験のエンジニアや採用担当者の方々にとって有益な情報であれば幸いです。

なお、弊社ではこんな感じで採用活動をしております。ご興味ございましたら、ご一読ください。

また、弊社では、健康管理システムCarelyを開発・運営・提供しております。ご興味ございましたら、こちらからお問い合わせください。

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