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日本の「周回遅れ」は致命的?

 オウンドメディアに対する理解はまだまだだ。それも仕方ないだろう。日本のメディア環境は欧米のそれからおよそ2,3周遅れているのだ。

 さて、ここで私の多用してきた「1周遅れ」「2周遅れ」という言葉の意味について改めて解説したい。まず、1周は4年であり、その根拠は米国大統領選ごとに更新ということにしている。

 なぜ、大統領選挙ごとに一周と数えるかというと、インターネットの産みの国であり、世界のテクノロジーを牽引している米国のイノベーションは、大統領選ごとに急速に進化するからである。

 4年に1回、事実上の世界のリーダーを決める大統領選挙では、各陣営とも優秀なスピンドクターを置いて、強大なメディア戦略チームを作り上げる。過去、そうしたチームはいくつものテック上の発明をし、結果、世界のIT・デジタル化の発展に寄与してきた。

 つまり、米国の大統領選、およびその直後の米国社会を見ていると、次にどのようなメディアがやってくるかわかるのだ。具体的に振り返ってみよう。

 2004年の大統領選挙でのYOUTUBE/CNNの融合は、米国メディア界における放送と通信の融合を確固たるものにした。一方、日本にその波がやってきたのは、約2周遅れの2011年7月の地上デジタル放送であり、しかも、融合まではさらに長い年月を待たねばならなかった(いまだ米国レベルまで達成されていない)。

 2008年、前々年(2006年)に誕生したFacebookやTwitterを、その選挙戦に活用したオバマ陣営のSNS戦略が日本に到達したのは、2013年夏の参院選のことだった。しかし、法的には可能になったものの、あくまで選挙戦のみで可能になったというだけで、政治献金などの包括的な活用は難しいままだ。スピン戦略も、広告代理店経由の旧態依然とした前近代的メディア戦略にとどまった。

 いまやスピンコントロールは世界を舞台に繰り広げられているというのに、日本では文言すら認識されていない。ましてやその意味を理解できている者は皆無だ。そうこうしているうちに、世界ではオウンドメディアの時代が到来し、個人も企業も、新しいPR体制を採用し始めている。

 マーケティングの分野でもペイドメディアからアーンドメディア、そしてオウンドメディアと新しいフェーズに入っている。果たして日本は大丈夫か?またしても2周、いや3周遅れになるのだろうか?

 次回は、世界中の企業が採用し始めたオウンドメディアとは何か?そのメリットは?という観点から報告したい(5につづく)

 

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