【トヨタマビメ】ホオリの子を産むために地上にやって来たのにホオリのせいで海に帰ってしまった話【日本神話】
どーも、たかしーのです。
今回は、日本の神話に登場する『トヨタマビメ』について、書いていきたいと思います!
前回の『ウミサチビコ』と『ヤマサチビコ』の続きから話は始まります。
トヨタマビメの出産
※今回も「古事記」をベースに書いていきます。
トヨタマビメ「できちゃったわ♡♡♡」
海の神ワタツミの娘であり、『ヤマサチビコ』ことホオリ(火遠理命)の妻であるトヨタマビメ(豊玉毘売)は、ある日、海の国から葦原中国(地上界)を訪ねて、こう言いました。
トヨタマビメ「私は、アナタの子供を身ごもっています。そして、もうそろそろ産まれそうです。また、天津神の子孫であるアナタ様の子供を海で産んではならないと考え、こうして地上までやってきた次第です。」(そりゃ結婚して海の国に3年間もいたらそうなるかー)
これを聞いた夫のホオリは、すぐさま 産屋を作るよう、命じます。古代日本では、出産は出血を伴うことから 穢れとされ、この穢れを避けるために、「産屋」と呼ばれる産婦を隔離する小屋を立てるといった風習がありました。
なお、この産屋に火をつけてから、命がけで出産を果たしたのが、ホオリの母であり、ニニギの妻でもあるコノハナノサクヤビメです。
↓ コノハナノサクヤビメの出産については、こちらをどうぞ。
トヨタマビメ「産まれそうだわ♡♡♡」
ホオリの命により、部下たちが浜辺に産屋を造り始めました。
産屋の屋根は、 茅ではなく、鵜の羽で 葺かれた(※)のですが、まだ全ての屋根が葺き終えないうちに、トヨタマビメが産気づいたため、未完成のまま、産屋に入ることになりました。
※ 葺く・・・屋根をおおう。
ちなみに、鵜の羽を葺いたのは、安産を祈願するための風習であり、古代日本では、鵜は安産の守り神であると考えられていたそうです。
トヨタマビメ「見るなよ!絶対に見るなよ!!!」
産屋に入る前、トヨタマビメはホオリにこう告げました。
トヨタマビメ「私の国では、お産のときに必ず生まれ育った国の姿になって、子供を産む風習があります。なので、私のその風習にならい、もとの姿に戻って産みたいと思います。だから…その姿を見るなよ!絶対に見るなよ!!!」
と、産屋を覗かないよう、念押しされてしまいました。
ですが、これを何かのフリだと思ったホオリは、産屋の隙間から出産の様子をひそかに覗くことにしました。(強く禁止されるとやってみたくなるタイプ…)
トヨタマビメ「見ーーーたーーーなーーー!!!」
すると、出産のときが近づくにつれ、たちまちトヨタマビメの姿が、 八尋和邇と呼ばれる「和邇」(※)に変わってしまったではありませんか。
※ 和邇・・・諸説あり、ワニザメか短い龍だと言われています。本記事では「短い龍」だと仮定して、話を進めます。
つまり、トヨタマビメの本来の姿は「和邇」だったのです!
そんな姿に戻ったトヨタマビメは、ホオリが覗いているのも知らず、出産の痛みから、激しく床を叩いては、のたうち回っていました。
この様子に恐れおののいたホオリは、あわてて逃亡。
そして、逃亡したことで、ホオリが覗いていたことに感づいたトヨタマビメは、とても恥ずかしくなってしまい…
トヨタマビメ「あれほど言ったのに、覗いてしまうなんて…。私は、この国(葦原中国)を行き来してアナタ様の子供を育てたいと思っていたのに、正体を見られてしまっては、もう恥ずかしすぎて、ここに居られません…。」
と嘆いて、産まれてきた子供を産屋にそっと置くと、葦原中国と海の国との境をぴったりと塞いでから、宮殿へと帰ってしまいました…。(ホオリ、やってしまったな…)
このような経緯があったので、産まれてきたホオリの子供は、
天津日高日子波限建鵜葺草葺不合命
(あまつひこひこなぎさたけうかやふきあへずのみこと)
と名付けられました。
※本記事では、名前が長いので「ウガヤフキアエズ」として書いていきます。
その後、宮殿へ戻られたトヨタマビメは、ホオリに産屋の中を覗かれたことを恨んでいましたが、産んだ子供のことが忘れられなかったので、子供を養育するという理由で、妹であるタマヨリビメ(玉依毘売)を遣わせることにしました。(国境をぴったり閉じてしまったという設定はどうした!?)
一方、ホオリは、トヨタマビメが去った後も、葦原中国を治め、580歳まで高千穂の宮で過ごしたそうです。そして、そのお墓は、高千穂の山の西にあるんだそうです。
おわりに
今回は、日本の神話に登場する『トヨタマビメ』について、書いていきました。
ちなみに、トヨタマビメは、のちに神武天皇となるイワレビコの父方の祖母にあたる女神となります。
なお、トヨタマビメは、葦原中国を去った後、夫であるホオリとは一切会わなくなってしまったわけですが、子供の養育のために遣わせた妹タマヨリビメにはホオリへの愛を綴った歌を持たせて向かわせているため、ホオリを嫌いになったわけではないようです。
また、ホオリもホオリで、この歌の返事として「トヨタマビメのことは永遠に忘れない」と詠んでいることから、きっとトヨタマビメの本来の姿を見てしまったことを、今も後悔しているのかもしれません。
他にも、歴史上の人物や神話などをベースに、記事を書いていく予定ですので、是非フォローなどしてもらえるとありがたいです!
それでは!
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