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透明感のあるヒルが張り付いているような水ぶくれ

昨日の朝のことです。トイレの便座に血が滴り落ちていました。娘の生理、全然終わってないんじゃないのと思いつつ、起きてこない娘をわざわざ起こしてまでどうこう言うのも面倒でそのまま出勤しました。

娘の昼食はレトルトカレーです。いつもと違うのを買って、前日の夜のうちに「明日のお昼はこれ食べてね」と説明してあります。最近のレトルトはそのままレンジで温めるだけなのでお手軽です。面倒くさがりで不器用でなにもしたがらない娘もそれぐらいはやってくれます。いちおうサラダも用意しておきました。付け合せのハラペーニョスライスは無しで。辛いものを食べても大丈夫な時とあまり大丈夫で無い時があります。生理が終わっていないようなので、なんとなくカプサイシンは避けておきたい気分です。

暑い中、帰宅。暑くて何も考えられないなーとか思っていたら、娘が「火傷した」と言ってきました。

「やけど、した?」

娘の言っていることは分かりますが言っていることが分かりません。火傷? なんで?

「ほら」

娘が見せた右手の人差し指の第一関節に透明感のあるヒルが張り付いているような水ぶくれが。そこだけでなく、中指の第二関節のあたりにも、親指の第二関節のあたりにも。透き通ったグミのようにも見える見事な大きさの水ぶくれが張り付いています。

「え、なに、これ」

見えているのにわけがわからないというかなんというか、水ぶくれってこんなにでかいはずなくない?

「水ぶくれ?」

「火傷した」

「なんで?」

「カレー」

「カレー?」

「カレーがバッて」

「カレーが手にかかったの?」

「んあ」

「冷やした?」

「冷やした」

「え、それでこんなに膨れたの?」

「んあ」

「痛い?」

「痛くない」

レトルトカレーは大丈夫だと思ったんだけどなあ。まさかレンチンしたあとのカレーを手にかけて火傷するとは。しばらく電子レンジを使うレトルトを娘の食事用に置いておくのは止めておこう。

それにしても、娘はものすごく痛みに鈍感です。発達障害的な理由なのか病気の影響なのかわかりませんが、普通だったら痛くて眠れないような痛みでも平気だったりします。私の母がそうでした。普通だったら七転八倒みたいな痛みでも「あー、痛いー」ぐらいで眉間にシワを寄せるだけでやり過ごしたりします。傷の治りも人間というより爬虫類的な尋常でないほどの早さでした。私が思っているだけでなく、医者にも何度も言われていたようです。その影響で私も痛みにそこそこ強くて傷の治りも早いほうです。

娘の痛みの対する強さは母や私のそれとはまた別です。錯乱状態で怪我をしたりしたら落ち着いてから痛みを感じたりするはずですが、娘にはそれがありません。「ああ、」みたいな感じで言われて気がつくというか、そんな感じ。

今回の生理もそれに近いのかもしれません。生理が来ていることに自分では気がついていない状態。言われてもピンときていない状態。

「あ、そういえば、まだ生理終わってないんじゃないの。便座に血、ついてたよ」

「いつ?」

「今日の朝」

「んあ」

「そうだ、下着とパジャマ取り替えてよ。多分、血、付いてるから。それと、生理用のパンツ型のナプキン履いといてよ」

「わかった」

着替えた娘の下着とパジャマは思っていた以上の血まみれでした。全然生理終わってないじゃん。

「これ、手洗いしておくけど、その前に水ぶくれ、これ、潰れたら消毒しないといけないんだけど、パパがいない時に潰れたら消毒できる?」

返事はありません。できないと思っているようです。

「あのね、マキロン、消毒液ね、潰れたらこれで消毒して」

やはり返事なし。

「今、一回やってみるから。いい、水ぶくれが潰れたら、ここにこうやって消毒液かけてね。下に垂らしていいように洗面所でやってね。マキロンはここに置いておくから、パパがいない時に潰れたら必ず消毒してね」

「わかった」

それが昨日のことでした。

今日、定期入れを忘れたまま出勤した私は駅から歩きで帰宅。娘に夕食のチーズ牛丼玉子かけを食べさせた後、再び歩きで駅まで戻り、自転車に乗って帰ってきました。暑さでヘトヘトです。

「消毒したよ」

娘の話は脈絡がないです。なんのことかと思ったら水ぶくれが潰れたから消毒したとのことでした。

「ほら」

潰れた水ぶくれを見せつけるのに、なぜ自慢げなのか。全然わかりません。

「潰れたのひとつだけなんだ」

「んあ」

他にも水ぶくれは残っています。

「他のも潰れたら消毒してね」

「んあ」

わかっているのかいないのか、ちゃんとできるのかできないのか。疑いだしたらきりが無いので、出来るだろうということで妥協しておきます。多分、出来ると思います。


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