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夜中の拒絶(私が)、吐き気の原因(私が)

娘、やや落ち着きのない状態が続いています。暴発しなければ基本的は放置です。食欲が昂進しているので生理前なのかもしれません。眠気もひどいようです。しばらくは昼夜逆転していました。土曜も日中に爆睡。しかし、日曜の日中はあまり寝ていませんでした。これで昼夜逆転が解消されることを願います。それでもダメならそろそろ睡眠薬の出番でしょうか。

昨夜、なかなか寝ない娘はそのままにして私のほうが先に寝ました。花粉のせいなのかなんなのか、日々眠くて眠くてたまらないのです。娘はトイレに何度も出てきて、そのたびにトイレの中で何事か切羽詰まった感じで喋っています。トイレの個室は他の目から遮断される感覚なのでしょうか。とにかくトイレの中では喋ります。家だけでなく出先でもそうです。外食ではいつも悩まされていました。今は外食には行かないので大丈夫と言えば大丈夫です。

深夜、娘のドスドスという足音で目が覚めました。トイレかな。違いました。私が寝ている娘の部屋の扉が乱暴に開けられました。

「なになに?」

娘が照明を点けます。眩しい。

「こっちで寝る」

娘は布団を抱えています。

「ヤダ」

断りました、私が。

「こっちで寝る」

「ヤダって」

「こっちで寝るからあっち行って」

「ヤダ」

「こっちで寝たいの」

「ヤダ」

「あっち行って」

「ヤダ」

いつもの娘と立場が逆転です。とにかく私が「ヤダ」と言い続けます。

「こっちで寝る」

「ヤダ」

娘が珍しく困った顔でこちらを見ています。

「ヤダ」

それでも容赦なくおことわりします。

娘は布団を抱えたまま無言で私を見下ろしています。

もう返事をする気も無くなった私はそのまま知らんふりで目を閉じました。

数分後、娘は照明を消してから出ていきました。

勝った気がします。娘にではなく、どこまでも娘に譲歩し続ける自分にです。やった、俺はやったぞ。

そのあと、すぐに寝ました。

早朝、娘の歌声で目が覚めました。また居間で歌ってるよ。まあでも暴れるより全然いいよ。

また寝てしまいました。

目覚ましに起こされます。ヤダ。起きたくない。

起きました。娘を起こします。

「うわああああ」

すごく驚いていました。寝ていたようです。(元)妻も起こすと常に腰を抜かすぐらい驚いていました。変なところばかり似てしまう。

薬を飲んでベッドに戻った娘はしばらくブツブツ喋っていましたが再び寝たようです。昼夜逆転、完全に解決してはいません。

出勤。寒いです。もう少し温かい服装で出るべきでした。仕事。退勤。

帰りにしゃぶしゃぶ用の豚肉や野菜を買いました。夕食は鍋にします。

帰宅。娘は真っ暗な室内でベッドに背中を丸めて腰掛け何事かぶつぶつ低い声で喋り続けています。

「晩ごはん、鍋にするけど食べる?」

「……なんの鍋?」

買ってきた豚肉を見せます。

「これ」

「……食べる」

「用意するね〜」

すき焼き用の鉄鍋を使うことにしました。気持ちだけでも鉄分補給ということで。

ところが、前回使った後に保存用に薄く塗った油がなにかこうおぞましい光を放っています。これはちょっとあやしい。

お湯を張って火にかけます。うわっ、なんか嫌な匂いの油汚れが浮かんできやがったよ。

お湯を捨ててスポンジでゴシゴシ洗ってまたお湯を沸かしてを三度繰り返します。ほとんど汚れが浮かんでこなくなりました。なんかでも大丈夫だろうか。野菜を切ったりなんだりしているうちにまた油汚れが浮いてきました。クッキングペーパーを使ってアク取りの要領で汚れを取り除きます。ほぼ無くなりました。匂いもしません。大丈夫かな。大丈夫っぽいな。

野菜と豆腐を入れて煮立ててからテーブルの上のカセットガスコンロに鍋を移動。野菜を先にポン酢で食べ始めます。おお、大丈夫だ。全然平気だ。肉も入れてしばらく火を通します。マロニーとスライス餅も。娘の器にどんどん乗せつつ食べていきます。寒い日なので温かいので正解だったな。娘もいい食べっぷりです。これぐらいの量だと私も食べられるな。

だいぶ食べたところで娘はもうお腹いっぱい。今日も風呂には入らないそうです。鍋に残った肉と野菜を食べ切らねば。

と、ここで急に油の匂いが気になり始めました。いや、これは豚肉の油かも。いや、でもやっぱり鍋の油汚れかも。

気になりだすと気になります。酸化した油汚れの匂いも味も苦手なのです。

いや、気にしすぎだな。大丈夫、大丈夫。

そう思いつつ、無理はしないことにしました。汁は飲まないことにします。

食べ終えてしばらく休憩。やっぱり大丈夫だったな。

ちょっと食べすぎたかな。あとで胃薬でも飲んでおくか。

急に来ました。

ものすごい吐き気です。胃が動いているのがわかります。これはまずい。

トイレで便器と正対して膝立ちで待機。胃が暴れています。これは、来る。来そう。来ないかも。来ない。

なんとか乗り切りました。

しばらくぐったり休みます。

そういえばこの鍋ですき焼きをした直後に今とほぼ同じ激しい吐き気に襲われて、その時はすっかり吐き出してしまったということがありました。もしかして、あれも悪い油汚れが原因だったのか。

でも不思議なんだよなあ、あの時は娘も(元)妻も全然平気でした。ふたりとも鈍いのか? それはありそう。今日も娘は全然平気でした。やっぱり鈍いのか?

食べ切ることの困難さで知られる有名ラーメン店で食べた直後にもほぼ同じ目にあったことがあります。あの時は特徴的な太麺が胃でグリングリンに蠢き今にもクチから奔流となって飛び出してきそうな激情に耐えながら身悶えしました。

あれは麺が原因だと思ってたけど、もしかして油だったのか。あの山盛りの豚肉? もしかして今日も豚肉の脂身? すき焼きは牛肉の脂?

今まで焼肉の脂にやられたということがありません。ですが、もしかすると自分で「脂は大丈夫」と思っていただけで、実際はそうでもなかったということなのでしょうか。

とりあえず、鍋はしっかり洗っておきました。

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このnoteの最初の日々が本になっています。びっくりするほど売れてません!

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