縦スクロール絵本と縦スクロール漫画は何がどう違うのか
8月6日は私のタテナガ記念日。
2015年8月、縦スクロールで読む絵本を初めて世に発表しました。
7年間創作を続けてこられたのはひとえに応援してくださった皆様のおかげ。ささやかなハグとキスをお受け取りください。
ぎゅーっ。チュッ(^_^)
7年前の夏を足早に振り返ってみます。
電子絵本は当時すでに世の中に出回っていました。
ただしそれらは皆タブレット向けの絵本。スマートフォンでもひらけますが鯨がメダカに見えたし、文字も読みづらかった。
私はスマホで楽しく読める絵本を作りたかったんです。
タブレットでなく、スマホで。
なぜスマホ絵本にこだわるか
なぜかというと、どんな家の子にも安く絵本を読ませてあげたかったから。
家計が苦しくて子供に絵本を買えない。そんな記事を当時どこかで読んでいました。日本はいつからこんな格差社会になったんだろう。
日々のやりくりで手一杯のママやパパもスマートフォンは持っています。インターネットで読める絵本を作れば、親のスマホで子供たちを喜ばせてあげられるかもしれない。
ネックだったのは画面の小ささ。
解決してくれたのは意外にも「縦スクロール」でした。
縦スクロール絵本は
電子絵本とどう違う?
横幅たった数センチのスマホ画面ですが、スクロールすれば縦方向へは何メートルにも伸ばせます。
従来の電子絵本はこうですが:
縦スクロール絵本ならこんな感じ:
縦ならスマホで大きく表現できますよね。
船室の小窓から大海原を覗くように、子供もおとなも絵本の世界に入ってきてくれそうです。
2015年8月6日。
記念すべき処女作『オータさん』を縦スクロールまんがサイトcomicoに投稿しました。
評判は上々。
こんなコメントが寄せられました:
子供と一緒に読みました
縦スクロールで
絵本が読めるのうれしい
読むというよりも
アニメを見ているみたい
読者の応援に背中を押されて、私はnoteでも絵本の発表を始めました。
毎日が手探りでしたが楽しかった!
あっというまの7年。
気づきもいろいろありました。
同じ縦スクロールでも
漫画と絵本はここが違う
縦スクロール漫画。
縦スクロール絵本。
似ているけれど決定的に違うところがあります。何かわかります?
音読です。
子供が声に出して読んだり。
おとなが読み聞かせたり。
絵本は音読の心地よさを内包した文芸作品なんです。漫画家の皆さんとは制作のアプローチも当然変わってきます。
私が心がけているのは:
●文字をやや大きめに
●読みやすいフォントで
●絵が文字を邪魔しない
●色にめりはりをつけ
●文章はできるだけシンプルに
●韻律を小まめに音読で確認
子供や孫を膝に乗せ、スマホ画面を見おろして、指で拡大しなくてもするする音読できる。そんな絵本を目指しています。
縦スクロール絵本作家に
向いている意外な職業
私の絵本は漫画のようなコマで区切られていません。
ゆるやかに場面が転換し、スクロールと同じ早さで時が流れます。
セリフの「間」や緩急も考えながらデザインしてあるので、音読が苦手なパパやママも読み聞かせ名人になれるかも。
そんな縦スクロール絵本の創作に向いているのはどんな職種の人たちでしょう。
漫画家?
イラストレーター?
いいえ。
俳優です。
手渡された台本を元に、彼らは言葉の緩急を操りながら物語の時空間を可視化していきます。また、そういう作業が根っから好きな人たちでもあります。
スクロールをデザインしていく作業ってちょっと役作りに似てるよね、と感じてもらえるはず。
同様に脚本家、演出家、映画監督、アニメーターなど演劇・映像関係者の皆さんも創作に向いていると思います。絵がうまくなくてもOK。味があればいいんです。ぜひ挑戦してみてください。
かくいう私も学生時代は演劇にどっぷりでした。
ある場面で王宮の門を表していた一枚の板が、次の場面では床に置かれて渡し舟になる。観客は文脈を瞬時に理解し、同じ景色を共有します。縦スクロール絵本が場面転換していくさまに似ています。
縦スクロール絵本
8年目の抱負
連載中の『日本人に必要な人脈』(更新が遅くてすみません!)と同時進行で、他からご依頼のあった絵本も書いたりしています。物語のアイデアはまだ無数に頭の中にあり、手が追いつきません。縦スクロール絵本のポテンシャルに興味ある人たちと一緒にビジネスにしていけたらと考えているところです。
これからもどうぞご期待ください。
応援ひきつづきよろしくお願いいたします。
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こんな縦スクロール絵本を
書いています
画像をクリックするとそれぞれの絵本ページへ飛べますよ。
『ぬんげん』
『オーレーンジッ』
『はにケンさん』 全20話
『カナシベリー』 全13話
『ノオトくん』 全70話
『行ってほしくない犬』
『つよいこ』
『望郷』
縦スクロール絵本の作り方①〜④
縦に長い年賀状
Merry Christmas (英語版)
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