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こんなカラオケあったらな♪|10月17日の種

 カラオケはお好きですか。

 私は苦手です。
 でもカラオケ以外で歌うのは好き。

 合唱団の友人も言ってました。
「カラオケ好き派と嫌い派がいるよ」
 歌好きのカラオケ嫌い、意外と多いのかも。

 なぜ苦手?

 たぶん窮屈だから。
 あらかじめ録音された演奏に自分をはめこんで歌うのが苦手。

 昔、知人に連れられてピアノバーに行ったことがあります。私の気ままな歌声にピアニストが寄り添うように生伴奏してくれて最高に気持ち良かった。歌い手と伴奏者が同じ時空間で共同作業する、そこまでひっくるめて「歌う」なんじゃないかとしみじみ思いました。

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 というわけで、未来のカラオケはもっと共同作業型になってほしい。

 人が100%機械に合わせるんじゃなく、AIがピアノ奏者やギター弾きのように歌い手に寄り添ってくれるカラオケ。たとえばイントロで歌い出すタイミングを逃したら何度もリフしながら待ってくれる。癖に合わせてさりげなく微調整してくれる。そして歌い終わったら小粋な一言をくれる。

 「サビの部分、情感たっぷりデシタ♪」
 「めっちゃ渋くていい声ッスネ♪」

 機械に合わせて行儀良く歌えた人だけが高得点をもらえるようなカラオケは、そろそろ終わりにしてほしいな。

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 カラオケ苦手な私ですが、そこに集う人たちは好きなんです。ふだんと違う顔が見られるし、人生が垣間見えるから。

 忘れられない思い出がひとつあります。

 30年前。場所は出張先のロサンジェルス。
 ある夜、上司や同僚たちと向かったのは100人以上収容できそうなゆったりしたカラオケクラブで、他のテーブルにはアメリカ人も大勢すわって騒いでいました。

 上司に背中を押されて私も仕方なくステージへ。ベン・E・キングの『スタンド・バイ・ミー』を選曲したのは短くて歌いやすそうだったから。つるっと歌い終えて温かい拍手の中を席へ戻ろうとした時、予想外のことが起こりました。

 50代くらいのサラリーマン風日本人男性が大股で歩いてきて、いきなり両手で握手してきたんです。

「いや〜良かった。感動した。日本人もやればできるんだな」

 握った両手をぶんぶん振りながら、おじさんは顔を上気させながら言いました。私は超能力者なので手を握られると相手の思念が流れこんできます。彼はこんなことを考えているようでした。

   アメリカ赴任で
   毎日苦労の連続

   英語もよく分からんし
   部下たちは生意気だ

   だが この若造を見ろ
   拙い英語でも悪びれず
   最後まで歌い上げたぞ

   よし オレもがんばろう

 異国の地で知らないおじさんと握りあった手は妙に温かかったです。

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 あさって10月17日はカラオケ文化の日。
 あなたもカラオケの思い出を語ってみませんか。




Two Nymphs Singing, Another Playing a Lyre | Thomas Rowlandson, CC0


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