【読書メモ】経済で読み解く日本史 明治時代

一気に改革、近代化が進んだ時代。

急激な変化により生じた軋轢も多かった印象。

◾️読んだ本
経済で読み解く日本史 明治時代
◼️要点
1. 金本位制
2. 国際的に認められるようになった日本
3. 国内での不満

1. 金本位制

金本位制は、通貨の裏付けとして金(gold)を使う方法のことです。現在は、管理通貨制といって政府/中央銀行が通貨の価値を保証しています。管理通貨制では、政府が通貨の流通量を決められます。そのため極論を言えば幾らでもお金が刷れる。(そんなことは実際しないと思いますが)

ところが金本位制だと、金(gold)がある分だけしかお金が発行できません。基本的に、金本位制だと金の埋蔵量に限りがあるため、いつかは金が足りなくなってお金を増やすことができなくなってお金が足りなくなる現象が起きます。本書では、金本位制はデフレレジームと紹介されています。明治時代では、この制度による悪影響があまり見られませんでしたが、大正時代以降で露見することになりそうです。

2. 国際的に認められるようになった日本

当時イギリスが世界経済の中心で、貨幣制度には金本位制を採用していました。こうした当時の一流国と貿易など取引をするため日本も金本位制を採用。
当時は日清戦争や日露戦争の軍費の調達のために、国債を発行し欧米から多額のお金を何回も借りています。本書では、これらの取引を高橋是清が都合の良い条件でまとめていた様子が描かれています。これらの戦争を経て日本も国際的に認められるようになったわけですが、ただ軍が頑張ったから勝てたという話ではなく、金銭的な準備が欠かせなかったことが理解できました。もし諸外国からお金を融資してもらえなかった場合は、そもそも十分な軍事品の準備、戦地への物資の供給ができなかったからです。そういった意味でも、日本は金本位制にして諸外国と取引を円滑に行えるようにする必要がありました。

3. 国内での不満

大きな変化は、士族の待遇の変化でした。四民平等や、秩禄の廃止により多くの士族は政府に反感を持ったでしょう。また、国債の返済のため、国民の生活は苦しくなり、士族はより不満を持つようになったと思います。国際的には成功しつつある一方で、国内ではこうした火種がくすぶっていたのではないかと思います。本書では、そうした世論の不満が後々に軍事政権傾いていく切っ掛けとなったのではないかと仄めかされています。お金の恨みは怖いですね。

出典
上念司. 経済で読み解く日本史 明治時代. 株式会社 飛鳥新社. Kindle 版.

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