大陸を超えた「ル・コルビュジエ」の世界遺産
日本には「トランス・バウンダリー・サイト」と呼ばれる世界遺産が1つだけあります。
【トランス・バウンダリー・サイト】
国境を越えて世界遺産として登録されているもの。人為的につくられた国境線にとらわれず、多国間の協力の下、遺産を保護・保全すること。
また、日本では初めての「トランス・バウンダリー・サイト」であるとともに世界初の「トランス・コンチネンタル・サイト」になりました。
【トランス・コンチネンタル・サイト】
構成資産が複数の大陸にまたがる遺産のこと。
それが東京・上野にある「国立西洋美術館」。
「東京に世界遺産があるだなんて意外!」と思った方もいるかもしれません。
この世界遺産はル・コルビュジエの建築作品として登録されています。
ル・コルビュジエとは
ル・コルビュジエは20世紀にフランス・パリで活躍した建築家。ル・コルビュジエの建築作品を1つの世界遺産として登録しています。
作品はヨーロッパだけでなく、大陸をまたぎ世界中に広がりました。
フランス、ドイツ、ベルギー、スイス、アルゼンチン、インド、日本の7か国に点在します。
ル・コルビュジエってそんなに凄いの??どんなものを建てたの??
そう思う方もたくさんいると思います。
ル・コルビュジエは、1887年スイスのラ・ショー・ド・フォンで生まれました。このラ・ショー・ド・フォンは時計製造の都市としても有名で、世界遺産としても登録されているほどの「時計の街」。親の家業が時計製造であったル・コルビュジエは、家業を継ぐために彫金や彫刻を学びました。
しかしと彼は視力が弱かったそうで、精密な加工を必要とする職人になるには視力が弱いことはは致命的でした。
将来どうするか迷っていた時に美術学校の校長先生がル・コルビュジエの才能にいち早く気づきました。校長先生が建築について学ぶことを勧めたのがきっかけで、彼は建築家としての人生を歩みはじめたのです。
ル・コルビュジエの凄さ
世界には様々な建築家がいる中でル・コルビュジエはどんな功績を残したのか。
彼は合理的で機能的なデザインを追求し、近代建築や都市計画に影響を与えました。これまであった、伝統的な建築との決別を図ったのです。
伝統的な建築との決別。
これができそうで、なかなかできないことですよね。
今までと同じじゃ変わらないと思ったル・コルビュジエは発想を転換し、新しい建築をたくさんつくりあげます!
なかでも凄いのは彼が生み出した「近代建築の5原則」。
この記事では5原則のひとつ、「ピロティ」を紹介します。ピロティはフランス語で「杭」という意味。
これまで西洋建築は「壁」で建物を支えていました。しかし彼は「柱」をつかって床面を支える建築構造を推進したのです!
柱にすることで壁の面積を減らし空間を広げ軽やかな印象にさせました。
画像引用:LINEトラベルjp https://www.travel.co.jp/guide/article/33427/
写真はル・コルビュジエの世界遺産である、フランスのサヴォワ邸。
「近代建築の5原則」の集大成ともいわれています。
こういう建物見たことあったけど意識することなかったな~。柱で支える建物ができたのって割と最近なんですね!
日本にある国立西洋美術館でもこの「ピロティ」を見ることができます。
無限に成長する国立西洋美術館
上野にあるル・コルビュジエの建築作品「国立西洋美術館」。
画像引用:国土交通省 関東地方整備局 https://www.ktr.mlit.go.jp/eizen/shihon/eizen_shihon00000082.html
日本にも美術館はたくさんありますが、世界遺産となっているのはこの国立西洋美術館のみ。
私も3年前行きました。絵ではなく、ル・コルビュジエの建物目当てで。(笑)
当時、世界遺産検定2級の勉強中で「上野ならいける!」と思って行きました。地方だと中々いけないので、東京にあると知った時はすぐに行きました(^^)
美術館って絵画や彫刻など、「作品」を見ることを目的としているのに、美術館そのもの、「建物」に注目しないですよね(笑)
演劇を観に劇場に行った時、「この劇場の建築技術は~」ってならないですもん。私も世界遺産の勉強をしていなかったら、作品しか見ていないと思うんですよね~。(笑)
この美術館は「無限成長美術館」という概念のもと、設計されました。
訪れたお客さんが中心から渦巻状に移動しながら鑑賞できるだけでなく、今後作品が増えた際、螺旋状に展示室を外側に増設できるよう設計されました。
将来までも見据えてくれる、ル・コルビジェの凄さよ...!(´;ω;`)
他にも、美術館では珍しい自然光を取り入れたギャラリーもあります。
美術館で作品を見ることもできるし世界遺産も見ることができる、一石二鳥な場所なので、是非いってみてくださいね!
さいごに
今回の記事は「ル・コルビジェ」についての記事でした。
構成資産は17つもあるので今回はご紹介できなかったものもたくさんあります!フランスだけで10資産もあるんですよ!
今は当たり前になってきているものも当時は本当に凄い発明だったんですね!
そういえばスマホも当たり前になってきているけれど、当時は「なにこれ凄い!ほしい!」ってなりましたもん。(笑)
また、国立西洋美術館のように、本来は作品をみるための場所ですが、建築の概念や世界遺産だということを知ると、違った楽しみ方ができますよね!
#物事を違う角度から見てみると新しい発見があるかも
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