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結婚も出産もしない女の人生は淋しいのか?

こんにちは、産婦人科医の高尾美穂です。

今日もいただいたレターをご紹介させていただきます。

こんばんは、先生の存在をテレビを見ていて知りました。
先生の声のトーン、笑顔を見ていると安心感を得ます。
私はこの夏に45歳になります。

最近思うのですが、自分が選択した人生はこれで良かったのかなと。
結婚も出産もせず、母からは、「女として情けない。一人は淋しい。
骨を拾ってくれる人は産まないと」なんて言われます。

女の幸せって何なんでしょう?

周りの友達は結婚、出産と、私が経験していないことをしている。
生活感も違ってきたので付き合いも減りました。

私自身忙しい友達に遊ぼうと声もかけづらく、だんだんと一人で過ごすことが趣味に変わってきました。

時々思うのですが、一人は淋しいかな、淋しく見えるのかなとか思ってしまいます。

正直友達も少ないし、異性との付き合いもしてこなくて心の片隅でこれでよかったのかなと。

違う人生があったかも、なんて言い訳にはしたくないけど、16年前に弟を亡くしたことも大きな原因です。
人と比べることではないですが、私らしく生きて行くって何なんでしょうね。

ということで、45歳になられる女性が結婚していない、子供を産んでない、お母さんからは、子供を産むのが女性でしょ、というような、そういう言われ方をするケース、今の時代でも、まだあるのだろうと思います。

45歳の親世代ということで、70代、80代と考えると、当時は産めよ増やせよの時代、女性はそれこそ男の人の後ろについて三歩下がって歩くとか、三つ指をついて迎えるとか、ちょっと今では時代錯誤、甚だしいと思うようなことが、普通だった時代だと思います。

お母さんの考えをお嬢さんに話をすのは、親子関係としてはよくあることではありますが、お母さんがおっしゃったことをお嬢さんがそのまま真正面から受け止めなければならないかと言われると、それは、時代が変わってきている中で自分が選んだ人生と思えばいいのかなとまずは思いました。

そして、この結婚も出産もしない女の人生が淋しいのかというテーマで考える機会を持つ度に思うことですが、結婚をしていない、子供もいないという女性で、人生を謳歌している人もいると思いませんか?

”職業婦人”という表現が、これまた古い表現になりますけれども、私自身はずっと仕事を持って過ごしてきた女子ですので、自分の周りにも同じような人が多いわけです。

皆んなが皆んなそうではないかもしれませんが、自分と同じような生活リズムの方が周りに多いのではないかと思います。

お友達の生活が変わってきて、声をかけづらくなったと仰っている通りで、似たようなスタイルで生活している人同士の方が、コミュニケーションが取りやすい現実はあると思います。

簡単に言うと、子供を学校に送り出して家事をして子供の帰りまでの間に、例えばママ友とちょっと集まるというようなそんな時間帯に、私たち職業婦人は、その集まりには参加できないわけです。

逆にお子さんがいらっしゃる方達は、子供が家に帰ってきた夕方以降なんていうのは家から出られないぐらい忙しい時間帯になっている。

そしてそれぐらいの時間帯に、私たち職業婦人は仕事が終わって、今から集合とかできるわけです。

生活のリズムが違うということは確かなことで、そう考えると似たようなスタイルで生きている人たちとのコミュニケーションの方が多いのがごく当たり前だと思います。

だから結婚して出産をして子育てをしてというような同級生に声かけにくいというのは当たり前のことです。

子供が大きくなって手が離れたりすると、夜の時間も自由に使えるなど聞きますので、それぐらいまで時間が過ぎてしまえば、コミュニケーションが取りやすくなると思いますけれど、子育て真っ只中の人に、例えば、夜出てこいと言っても無理だよねというのが、一般的な判断ですから、お友達とちょっと疎遠になっていくっていうのは本当仕方ないことだと思っていいと思います。

きっと知りたい情報も違ってきますよね。

春であれば、ランドセルをどうするかとか、学校に持って行かせる雑巾などはどうするかとか、そういった話をしたいのと、その話をする必要がないというように、立場によってコミュニケーションを取りたいと思っている内容も違ってくるのが当然なので、状況の変化によって、お友達となんとなくコミュニケーションが取りづらくて疎になっている人間関係については、それはそうだよねと思ったらいいという事です。

ただ、自分と似たような状況の人で、趣味や、新しく始めた取り組み、社会の中で動いてる物事などで、新しく知り合う人がいてもいいとは思います。

これが、ボランティアでもいいでしょうし、仕事絡みでもありでしょう。

今まで出会った人間関係がだんだん先細りしていく、それが自分と相手の生活リズムが違ってきたから。
これは確かに仕方ないという理解でいいと思いますが、逆にまた新しく生まれてくる人間関係というものが、年を重ねるごとにあってもおかしくないのではないかという考えは持った方がいいのではないかと思います。

今回くださったレターのイメージだと、もともと友達はいたけれどもそれが先細りしていく、そして新しい人間関係が生まれるというイメージがレターからは全然読み取れなかったので、この先どんどん先細りの人生になっていってしまうことが淋しいかなと思います。

まず妊娠出産などという話ではなく、それ以前に人間関係の面で淋しくなっていっているみたいな、そこがちょっと私は気になりました。

もうすぐ45歳という年齢が、人生の中ですごく下り坂かと言うと、全然そんなことはないからです。

まだまだ花って言ってもいいぐらいの年代なので、人間関係ももっと大きく広がるという状態であったとしてもおかしくない年代です。

なので、これからなんて自分次第で全然変えられる。というのが答えです。

シンプルに言って、もちろん今の時点で結婚・妊娠・出産をしていないということであれば、妊娠出産という点に関しては、ご自身でということはこれから先可能性が低くなるだろうと思うのは、冷静にそう思って頂いたらいいと思います。

しかし、結婚をするかどうか、これは何歳でもできます。
さらに、子育てをするかどうか、これもまた、例えば里親になれば子育てもできるわけで、もっと言えば、仲良い友達から子供を産んだから手伝ってというようなことだってあり得るわけです。

そう考えると、今の時点では、淋しいと思っているのはご本人ということになるのではないかと思います。

もちろん、それがお母さんからの影響も大きいのかもしれないですね。

女はこうであるのが幸せというイメージが、育てられてくる過程で小さい頃から染み込んでいるような方なんだろうと思います。

もちろん、そんなことないと抗おうとする気持ちもあるのだろうと思いますが、その影響は大きいのだろうと思います。

弟さんを亡くされた経験も原因と書いてくださっていますが、おそらくそうなのではないかと思います。

自分がこれから人生を楽しんでいこうというまさにそれぐらいの年代で、おそらく大事な弟さんを亡くされたという経験が、例えば心を閉ざしてしまう、そこから先の人生全体をなんとなく狭いものに、小さいところで収めていくというようなそういう選択になってしまった、この20年とか25年間なのかもしれません。

なので、影響は親御さんのみならず今までの生育歴にもあった可能性は大きいとは思います。

そして残りのあと40年、このまま過ごしていくことも、もちろんできると思います。

先細りの人生だけど、お仕事もしていて、例えばだんだんと体が弱くなって誰かに面倒を見てもらうという時が来たりしますから、その時には自治体に頼ったり、お金を払ってお仕事としてお願いをしたりという形でも全然いいわけです。

子供に無理に面倒をみてもらうということを、子供に対して悪いと思う親御さんもいたり、逆に親子だけど仲悪いという親子だっているでしょう。

親はみてほしいと思っているけど子供は無理と思っていたり、それぞれの思惑がずれると、親子だからといってその先がすごい幸せかと言われたら、そうでもない場合もあると思います。

そう考えると、シンプルに自分の遺伝子を引き継いでる子供はいないけれど、別にそこから先、そこだけに頼るわけではないぐらいの前向きな開き直りはいいのだと思います。

その上で、レターに書いてくださってるように、自分自身がなんとなく淋しい人生になっちゃったなと思うのであれば、やはり、自分から心の扉を開いて自分のことを知ってもらい、お友達になりそうな人と出会う取り組みはした方が、これからの人生は楽しいと思います。 

今のままでも幸せな部分もあると思いますし、すごく困ってるわけでもないと思います。

ただ、ふと考えた時に何となく淋しいと感じたり、お母さんに具体的に言葉で言われるとグサッとくる、そういう感じなのだろうと思います。

けれども、言ってしまえば、人はいずれは亡くなっていきますよね、おそらくは年齢が上の方から。

お母さん世代もいつかは亡くなるわけですね。

書いてくださっている以外の人間関係は分かりませんが、これから頼りになるのは、家族、それからしっかりとコミュニケーションが取れている他人や友達となると思います。大事なのは、ここですね。

遠くの親戚より近くの他人と言うように、いま自分がこの人との関係性は大事にしようと思えるような人を、ちゃんと自分の中で持って置くということ、これはすごく大事だと思います。

友達関係も、お互いに50:50で思いやっているなんてことも、なかなかないのでどちらかが6割ぐらい強く思っていても、相手は4割ぐらいの気持ちで友達と思ってるぐらいの、押し引きみたいなものはあって当然だと思います。

全く同じ気持ちで思いやってる人間関係なんてほとんどないと思わないといけないぐらいなので、そのくらいこの人とお友達でいたいという気持ちを持っている人とまずは出会う。

そしてその上で、お友達関係が続く努力をする、こういうことがもしかすると結婚してない子供も産んでない子育てもしてない人生だけれども、結構楽しいという風になっていくのではないかと私はいつも思っています。

これが仕事関係であってもいいですし、仕事とは全く関係のない取り組みであってもいいと思いますが、バリバリ働いてる人の中には結婚しない子供産んでないという女性はたくさんいて、「仕事と結婚しました」とさらっと言える人も世の中にはいます。

そういう方というのは、仕事はいつまでも続けられるわけではないかもしれないと思っていたとしても、いつまでも続けられる努力をするはずです。

今は仕事と結婚したと言えるぐらい、楽しかったり、大好きだったりするからだと思うので、それはそれで幸せですよね。

そういう幸せな仕事の仕方の中で出会った人達とコミュニケーションを持っているから、実際のところそんなに困っていない、家に帰れば一人かもしれないし、例えば、誕生日、お盆、年末年始などの家族で集まるような機会には淋しい思いをする人もいるかもしれません。

しかし、人生トータルでみると、結構幸せという人は、多くいると思います。

しかし、そうなるか、先細りの人間関係にしてしまうかというその大きな違いは、結局その人自身がこれから先どうやって生きていきたいと思っているか、その違いに過ぎないということです。

楽しい人生にしていこうと思えば、楽しい人生にしていくことができる。

何がきっかけになるかは分かりません。

例えば、ペットを飼うのが、きっかけになることもあると思います。

それが保護猫、保護犬の活動をしているところに探しに行くなんてこともあると思います。

そしてこういう活動っていいなと共感してお仕事の合間でそういう活動をやり始めてみたりすると、またそこで人間関係生まれるわけです。

そしてその取り組みが割と大事な取り組みになってきたりして、その方達とのコミュニケーションを持ったりなんてこともあるでしょう。
自分の家に猫ちゃんやワンちゃんが家族として来てくれたりしたら、もう全然違う人生になって、なんてこともあると思います。

他にも、畑を持ってみるとか。

自分でなんとかファームと名前をつけたりして、そこで採れた野菜をインスタにあげたり、料理にしたり、すごく楽しそうですよね。

本当に心から楽しいのかどうかは別として、結構楽しそうに見える人生ぐらいにはなると思います。

なのでぜひ自分で自分の人生を楽しいものにしていく、そういう意志は、ぜひどこかに持っておいていただきたいなって思います。

もちろん結婚、妊娠、出産、子育てこれが女性の人生のライフイベントだという言われ方をしていた時代はありましたし、そう思っている方もいらっしゃるでしょう。

それが100%間違っているとは言いません。

だけど、そうでなかった時に、別に女性の人生それだけじゃないと言えるそういう生き方もあると私は思っています。

もし何かやってみたいと思うことや、ビビッとくるものがあれば、とっととやってみる、これがおすすめです。

そうするだけで、不思議と何かが変わってきます。

何かが変わると毎日が変わってきます。

楽しくなってくるというより、なんとなくそれが気になってくるという感じです。

例えば、ネットで検索する内容も変わってきます。

今までネットに漂っていただけの情報が、これってどういうことなんだろうと調べるような時間になっていたりもするはずです。

それこそが、ある意味主体的な人生といえるのではないかと思うので、そんな女性が増えることを願っています。

結婚してなかろうが、妊娠出産を経験してなかろうが、子育てを経験してなかろうが、それでも私たち女性が自分らしく、こういう人生を生きたいと思える人生を過ごしていくためには、やっぱり自分が動かなきゃ!ここが一番だと思っています。

厳しいのかもしれない、なかなか難しいことなのかもしれません。

でも、やってみて良かったと思える部分が絶対あるはずです。

だから応援しています。


皆さんからの温かいサポートはすべて「保護ねこ活動の支援」に使わせて頂きます。 いつもご声援有難うございます。