記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

酷評できない風潮がある作品ってあるよね…(「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」を見て思ったこと)

これまでの2022年度米映画賞レースは、「イニシェリン島の精霊」、「フェイブルマンズ」、そして、本作「エブリシング・エブリウェア、オール・アット・ワンス」の3本を中心に作品賞争いが繰り広げられてきた。

作風から言えば、賞レース向きなのは反戦のメッセージを込めたブラック・コメディ「イニシェリン島の精霊」といわゆるエンタメ業界ものである「フェイブルマンズ」だ。
 
ところがここに来て、本作「エブエブ」が最有力候補となってきている。監督組合賞、プロデューサー組合賞、俳優組合賞といったアカデミー賞と受賞結果が同じになるケースが目立つ賞での受賞が相次いでいるからだ。

そんなわけでかなりの期待感を持って本作の鑑賞に臨んだ。しかし、その期待は簡単に裏切られてしまった。

ぶっちゃけてしまうとつまらないの一言だ。それにずっと暗い画面が続いているから見ていると睡魔に襲われそうになる。

本作を面白いと言っている連中は、クスリでもキメた状態で見ているのではないかとしか思えない。少なくとも酒をかなり飲みハイになった状態で見ないと面白いと感じないのではないだろうか。

そうでなければ、これをつまらないと言うと、センスのない奴、エンタメに関する知識のない奴みたいに思われるので、映画ファンとかサブカル厨みたいな勢力が無理して絶賛しているのではないだろうか。日本でいえば「ギャラクシー街道」以前の三谷幸喜作品とか、アニメ「ポプテピピック」みたいな感じかな。

ミシェル・ヨーとキー・ホイ・クァンが夫婦役を演じる、しかも、カンフーを披露するということで期待していたんだけれど、カンフー・アクションのシーンは物足りなかった。言うほどカンフーのシーンはなかったし、ほとんど早送りだったしね。せっかく、カンフー・アクションができる人をキャスティングしたのに効果的ではなかったと思う。

この2人で興奮するのは多分、40〜50代くらいの映画ファンだと思う。まぁ、実年齢は9歳差の2人が夫婦役というのは驚きではあったけれどね。というか、キー・ホイって、自分と同じ年齢なのか。「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」や「グーニーズ」の頃は自分より年下に見えたけれど、今は完全に自分より老けて見えるね。そういえば、ミシェル・ヨーもキー・ホイも自分と同じ8月生まれだ。
それにしても、2人ともいかにもアジアのどこにでもいそうな(本作の舞台は米国だけれど)おばさん、おじさんって感じのダサい服装だったね…。

あと、本作以外にもアメコミ原作映画で多用されているマルチバース展開のストーリーってつまらないよね。というか、日本のアニメのパラレルワールドものは決してつまらなくないし、なろう系も食傷気味ではあるが、中には面白いものもある。でも、米国映画のマルチバースものって、なんでこんなにつまらないんだろうか?
最近のアメコミ映画のマルチバースもので面白かったのは、アニメーション映画の「スパイダーマン:スパイダーバース」と実写の「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」くらいしかないしね(どちらも「スパイダーマン」か…)。結局、つじつまが合わなくなったデタラメな展開をごまかすためにマルチバース設定を使っているだけにしか見えないんだよね。

そもそも、日本だと子ども向けテレビアニメの劇場版って普段と世界観を変えてスケールアップした作品が多く、それって一種のパラレルワールド、なろう系、マルチバースものだからね。特に「クレしん」なんてそうだ。

そういうのに子どもから見慣れている日本人からすると、最近の米国映画で多発されているマルチバースに目新しさなんて感じることはできないしね。

まぁ、本作が評価されている理由は分からないでもないんだけれどね。

中年世代がこれまでの自分の人生はこれで良かったのだろうかと思い直すというのが基本的なストーリーだから、アラフォー以上の人には共感できるところもあるしね。
それから、同性愛者である娘を受け入れられなかった主人公が最終的には娘を認める、つまり、多様性を理解するというストーリーはポリコレ脳に毒された現在の欧米エンタメ界では評価されやすい展開だと思うしね。要は共和党支持者の再教育(洗脳)に成功し、ポリコレ脳・民主党支持者にするみたいなことだからね。マルチバース世界で娘が悪役となっていたのは主人公が同性愛を悪と思っていたことのメタファーなんだろうしね。
余談だけれど、この娘役の女優、服装によってパッとしない娘にもアナーキーな娘にも可愛い娘にも見える。それだけ多彩な表情を見せるんだからアカデミー助演女優賞にノミネートされるのも当然か。

でも、全体としてはカット割りがはやい割には単調というかワンパターンな展開だし、内容がない割には尺が長いし、やっぱり、これってクスリでやっているか、酒をガバガバ飲んでいる連中がダラダラとキマった状態で見るためのものって感じにしか思えない。明らかにソーセージ指は下ネタ発想だしね。

あと、シーンによって画面サイズが変わるが、あれはサイズが異なるシーンは空想・夢想という意味なのかな?でも、一つの台詞を話している間でもコロコロとサイズが変わるから、そこまでこだわっているようには思えない。

結局、雰囲気映画なんだよね。

とてもではないが、アカデミー作品賞にノミネートされるような出来ではないと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?