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一年をかけた、キュレーターが存在しない「自主企画」という実践。

【Practice_01 : 線を引く】
久保田智広・畑山太志・三瓶玲奈

多摩美術大学で同窓だった畑山さんと三瓶さん。
東京藝術大学大学院でいっしょだった久保田さんと三瓶さん。
三人は同い年で、扇の要は三瓶さんということになる。

学部時代、ある展示で畑山さんと三瓶さんの作品が並んだことがあったという。その印象を忘れずに三瓶さんが畑山さんにいつか展示をやろうと話していたということだ。
三瓶さんと院で知り合った久保田さんは、いつか彼女と展示したいと思っていたところ、畑山さんと三瓶さんの2人の思惑を知って仲間に加わった。
そして一年をかけて話し合ってきた。
それがこの自主企画「Practice_01 : 線を引く」だ。
(タイトルの紆余曲折についても語られたが割愛)

アーティストトークは、吉村真さんをオブザーバーに迎えて行われた。
まず吉村さんからのミニ・レクチャー。
「プラクティスとは?」
「ソーシャリー・エンゲイジド・アートとソーシャル・プラクティス」
「テオリアとポイエーシス、そしてプラクシス」(アリストテレスにおける人間の知的な営みの三分類)
「日本の文脈におけるプラクシス/プラクティス」
といったトピックスについて説明があった。

そして三人が自らの作品を通して、
この展示に向かってどんなことを考えてきたのか。
それぞれプラクティスや線をどう捉えているのかといった話が始まった。

コメントで記憶に残った言葉たち。
久保田さん:グーグルドライブ・フォルダの編集権限を販売するという作品が印象的。
「絵画に擬態している。作品は流動的で、永遠性は否定したい。僕の場合、作品は態度、姿勢としてそこにある。対症療法的に作品をつくる側面がある」



畑山さん:風景を書いた上に白をペインティングしていく作品の内面性が気になった。
「プラクティスという位置づけによって、自分を解放できる。見えるものと見えないものの境界がある。引かれてしまう線をどう乗り越えるか」


三瓶さん:横須賀、六本木と拝見してきて今回三度目の鑑賞。光に対する通底した興味が伺える。
「プラクティスでは、優先順位の低いものもトライする。なぜ存在しない線が引けるのか。視界として風景を捉える」


三者が何を言わんとしているのか、
断片的な言葉たちだけではまるでわからないと思うし、
私もわかったとは言えない。
彼らはこのプラクティスをどうしていくのか。
コマーシャルギャラリーで自主企画を行ったこと自体が
プラクティスなんじゃないか。
そんな意見もある中で、
メンバーを変えて(加えて)続けるという可能性も。

次いつ、どのようなカタチで出合えるのかわからない
貴重な自主展示とトークだった。


EUKARYOTE
東京都渋谷区神宮前3-41-3
2019年6月30日まで。


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