パクリタキセルによる神経障害を減らせる薬が現れるか?
私の努めている薬局にくる患者さんでも神経障害に悩んでたのを思い出しました。
シロスタゾールが神経障害に効果があるのか?気になったので読んでみることにしました。
Effect of Cilostazol on Preventing Paclitaxel-Induced Neuropathy in Patients with Breast Cancer: A Randomized Controlled Trial
pmid:37199288
背景 パクリタキセルによる末梢神経障害は、患者のQoL(生活の質)を著しく低下させる臨床上の重要な問題である。前臨床試験において、cilostazolの末梢神経障害に対する予防効果に関するエビデンスが得られている。しかし、この仮説はまだ臨床的に検討されていません。この概念実証研究では、非転移性乳がん患者を対象に、パクリタキセルによる末梢神経障害の発生率に対するcilostazolの効果を評価した。
方法 本試験は、並行ランダム化プラセボ対照試験である。パクリタキセル175mg/m2を隔週で投与する予定の乳がん患者(n=69)を、シロスタゾール錠100mgをBID投与するシロスタゾール群と、代わりにプラセボを投与する対照群のいずれかに無作為に割り付けた。主要評価項目は、有害事象共通用語基準(NCI-CTCAE)バージョン4で評価したパクリタキセル誘発性神経障害の発生率であった。副次的評価項目は、Functional Assessment of Cancer Therapy/Gynecologic Oncology Group-Neurotoxicity (FACT-GOG-NTx) サブスケールによる患者のQoL評価でした。また、バイオマーカーである神経成長因子(NGF)、ニューロフィラメント軽鎖(NfL)の血清レベルの変化などを探索的アウトカム指標とした。
結果は以下の通り: グレード2、3の末梢神経障害の発生率は、対照群(86.7%)に比べ、シロスタゾール群(40%)で有意に低かった(P < 0.001).神経障害に関連するQoLの臨床的に有意な悪化の発生率は、シロスタゾール群と比較して対照群で高かった(P = 0.001)。血清NGFのベースラインからの増加率は、シロスタゾール群で高かった(P = 0.043)。NfLの循環レベルは、試験終了時に両群間で同等とみなされた(P = 0.593)。
結論 シロスタゾールの併用は、パクリタキセルによる末梢神経障害の発生を抑制し、患者のQoLを改善する新しい選択肢として考慮されるかもしれない。これらの知見を確認するために、今後の大規模な臨床試験が必要である。
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PECOで整理してみます。
P(どんな患者に?)
69人の乳がん患者(パクリタキセルを投与する予定)
E(どんな介入を?)
シロスタゾール100mg 1日2回服用
C(何と比較して?)
プラセボ
O(どのように評価した?)
パクリタキセル誘発性神経障害の発生率
論文のチェックポイントは?
☑ランダム化は?
されている
☑盲検化は?
記載なし
☑解析方法は?
記載なし(本文読めないため不明)
☑追跡期間は?
記載なし(本文読めないため不明)
☑真のアウトカム?
真のアウトカムといえる
【どう感じたか?】
アブストラクトのみなので結果の解釈には注意を払う必要があるが、
シロスタゾールを投与された群では神経障害の発生率が低かった。
神経障害については、漢方薬、デュロキセチンなどいろんな薬剤にエビデンスが存在するが、決定的な一打にはなっていない印象。
シロスタゾールは果たしてどうなのか?もう少し大規模な研究があったら期待したいところです。
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