1995ドラマ

最初で最後の連続ドラマ出演: 「Sorrow & Smile」の日々(1995①)

*2019.12.23.加筆修正しました。
*このエッセイはページ単体で¥200でも読めますが、¥3000でマガジン「ずっと、音だけを追いかけてきた」を購入していただくと、連載の全ての記事(全42話・¥4800相当)を読むことが出来るのでおすすめです。
*1995年の出来事:1月17日・阪神・淡路大震災 / 3月20日・地下鉄サリン事件発生 / Amazon.comがサービスを開始 / マイクロソフトがWindows 95を発売 / 第二次世界大戦終戦50年 / ビートルズが25年ぶりに全世界同時新曲"Free As A Bird"発表 / ダウンジャケットやロングブーツが大流行 / コギャルが出現する


坂本龍一ワールドツアーが終わったその夜にパリで聞いた「連続ドラマの準主役に抜擢」という寝耳に水のオファー。ツアーの余韻を味わう間もなく、僕は帰りの飛行機の中で企画書に目を通していた。

企画書に記してあったのは「揺れる想い」というドラマタイトルと、あらすじ、キャスティングだけ。主演は別所哲也さんと南野陽子さん。準主役として故・佐藤慶さん、故・梅宮辰夫さん、荻野目慶子さん、当時高校生だった小沢真珠さん。そんなキャストに混じって僕が準主役として候補に挙がっていた。悪役だが最後にはいい人に変わる「美味しい役」だというざっくりとした説明だけで、台本はまだなかった。

画像1

帰国したその日にドラマのプロデューサーとのミーティングがセッティングされていて、夜にTBSに向かう段取りになっていた。とりあえず話を聞いてみて、多分断ることになるだろうと自分では思っていた。

運悪く乗り換え空港のトラブルなどあって、成田への到着が大幅に遅延。レコード会社のディレクターと宣伝担当は空港で2時間近く待っていて、業を煮やしていた。到着した頃には打ち合わせの予定時刻はとうに過ぎていて、スタッフはあからさまに苛立っていた。おまけにトラブルの余波でスーツケースが別便に載ってしまって、まだ成田に届いていなかった。

結局荷物のピックアップはスタッフに任せて、家にも帰れずに成田からワゴン車でTBSに直行することに。焦るこんな時に限って高速が渋滞していて、幕張辺りで降り、JR→有楽町線→千代田線と乗り継いでTBSへ。なんという慌ただしさ。

ここから先は

4,892字 / 4画像
この記事のみ ¥ 200

この「サポート」は、いわゆる「投げ銭」です。 高野寛のnoteや音楽を気に入ってくれた方、よろしければ。 沢山のサポート、いつもありがとうございます。