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2020.5.12.(火) ライブの未来を考える

今日も暑い日だった。まだ5月だぜ?!

今日は、いろいろ考えた。
芸術家は、夢を見て、夢を創る仕事。
今はそのために、現実を観て、未来を図る。
楽観的になりすぎず、悲観的にもならず、調べ抜いて考える。

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韓国でクラブを再開したらクラスタ発生して101人感染、というニュース。
辛い。

最近「アフターコロナ」ではなく「WITHコロナ」という言葉をよく聞く。
つまり、しばらくは完全に抑え込むことができないので、長い付き合いになりそうだ、っていうこと。

たとえば、飛行機で社会的距離を保つためには単純計算で今までの13% の搭乗率で満席になってしまい、LCCは消滅の危機、エコノミークラスも値上がりし、空の旅は今までより贅沢なものになる可能性が高いという。

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では、ライブは? 
超満員のスタンディングライブは、しばらくの間望めない。
客席のある会場でも一席おきに座るとか?ステージからヴォーカリストの飛沫が飛ばないようにビニールシートを下げるとか?シンガロング(みんなで大合唱)は禁止とか? いやいや、そんなライブ、楽しいのかな?

*5/13追記 沖縄のコンサートホールのFBより。
コメント欄によると「総座席数の15%で満員になってしまう」とのこと。
https://www.facebook.com/garamanhall/photos/a.1424526604468464/2701632383424540/?type=3&theater

スクリーンショット 2020-05-13 16.14.06


まばらに陣取った野外ならOKじゃないの? という淡い期待も抱いてみたが、日本より早く感染のピークを過ぎたドイツで今こんなイベントが開かれているところから察するに、世界基準では野外イベントにもリスクが伴うということなのだろう。

*5/13追記 アジカン・Gotchのnoteより↓
電気自動車限定なら、新しい価値が生まれるかも。上の動画はアイドリングしてる車が多いみたいで、環境に優しくない。


*5/15追記:【 政府は14日、緊急事態宣言を39県で解除するのに合わせ、解除地域でのイベント開催に関し、屋外では200人以下、屋内では100人以下の規模は容認するとの基準を発表した。基準では、屋外について、「200人以下、かつ人と人との距離を十分に確保できること」を求め、具体的な距離は2メートルが望ましいとした。屋内は「100人以下、かつ収容定員の半分以下の参加人数にすること」を目安とした。】

屋内の収容定員半分ぎりぎり入れたとして(ホールの座席は1席おき?)社会的距離が保てるのだろうか?という疑問は残る。人数ではなく、客席の距離や会場の容積、換気などをガイドラインにしないと科学的根拠が薄いのでは? 再開した映画館などはどうしているのだろう?

*5/17追記:5/16の記事より『コンサートホールとしても利用されている府営の国際会議場『グランキューブ大阪』(約2800席)を引き合いに、「席幅が60cmで、2m空けると(利用できるのは)388席で14%。結局、採算をとって営業できない。『閉めてください』という方がいい」と訴えた。これに対し吉村洋文知事は会議のなかで、「(現時点で)劇場関係者には、ガイドラインの中身や方向性を正確に伝え、商売ベースで成り立つか、やるかやらないかを判断していただく」と、あくまでも事業者に委任する考えを明言。』
*5/20追記:【ライヴ・ネイションは 5/29, 30にニュージーランドでソーシャル・ディスタンスを目指したライヴ・イベントを2公演行うことを発表している。それぞれのイベントの観客数は375人が定員の会場で100人に制限される。感染の拡大を防止するためスタッフはマスクとグローヴを終始着用し、加えて観客には会場に入る際に体温測定が行われ、追跡が可能な連絡先を求められるとしている。】


今の所、順調に行けば9月にはイギリス研究チームのワクチンが実用化されるという。その後首尾よく世界中で量産が始まったとしても、まずは医療従事者などが優先されて、一般に行き渡るまでにはまだまだ時間が必要だと思われる。

5/15追記:4/23の記事より【こうした状況に鑑みれば、治療薬が開発され、死亡者数の増加を招くことなく国民の60~70%が抗体を持てるような状況になるまでは、たとえ感染者数が減少に転じても、少なくとも年内は「3密」を避ける生活を続ける必要がありそうだ。】


特に、いち早く感染の温床の象徴になってしまった「ライブハウス」の名誉挽回には時間がかかる。キャパの大きいホールやドームに人が集まるのは更にリスクが大きい。今までの経緯から想像すると、おそらく年内いっぱいは、残念ながら満席の会場でライブを開くのは難しいだろう。悲観的にすぎると思われる方もいるかも知れないが、情報を精査してみるとそう覚悟しておいたほうが良いと今は思える。本当に、悔しいし、困るし、残念極まりないのだが。

*5/13追記 案の定、こんな会見が.....
*5/22追記:東京都 休業要請の段階的緩和に向けたロードマップを発表=小池都知事 / 「休業養成緩和のステップ」の第三段階でも「ライブハウス・カラオケ・ジムは自粛」とある .....

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ここまでの状況から考えると、特に緊急事態宣言が解除されない地域を中心に、しばらくは「リハビリ」的に配信を続けざるを得ないだろう。無観客、もしくは限られた数の観客に十分距離を置いて観てもらう形で。「新生音楽(シンライブ)」vol.1みたいな、ライブ配信の概念からはみ出したアイデアも、もっといろいろ出てくるはず。


ちなみに最近良く目にするメンバー全員在宅でのセッション動画の多くは、実際はライブのように同時に音を出しているわけではなく、ガイドになる演奏に合わせてそれぞれが収録した動画と音声を録音して、最後にエンジニアが編集してまとめてつくったものがほとんど。雑談から演奏になだれ込んでいたりして「せーの」でやってるように見えても、編集で作られた演出だったりする。現状リモートでの映像付きライブ配信は、まだほとんど始まっていない。なぜなら技術的に難しいから。

例えばZOOMは会話ならほとんど違和感なくできるが、映像と音声が届くまでに実際にはわずかな(0.3秒前後?)の遅れがある。音楽にとってその0.3秒のズレはとても大きく、プレイヤーは演奏に集中できなくなってしまい、結果、アンサンブルはガタガタになってしまう。

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音の遅れを最小限に高音質で遠隔セッションできる「NETDUETTO」というソフトがある。先週J-WAVEでオンエアされた「TRUME TIME AND TIDE」は、普段歌入れに使っているマイクとオーディオインターフェースを使って、NETDUETTOを介してのリモートゲスト出演だった。オンエア上はリモート感ゼロ。トーク内容も充実した。タイミングが合うのは会話でも大事。

NETDUETTOはまだβ版だが、6月には「SYNCROOM」という名前で正式にリリースされる模様。プレスリリースによると推奨環境がmacOS 10.15以上、有線LAN必須などまだまだハードルは高いけれど、秋頃までにはかなり普及するだろう。何しろミュージシャンは今、合奏に飢えている。そして、もしかして海外ともリアルタイムでセッションできるなら、それは新しい時代の幕開けだ。

*下の記事はとても参考になります。

まだまだ長丁場。ライブができないのは色々もどかしい。
再会の日まで、みんなで知恵を出し合って情報を交換して、新しい配信や表現の方法を模索していけたら。

ミュージシャンはそろそろ大きな音も出したいと思っている。ライブハウスはしばらくの間、大きな音を出すための、配信の拠点としてサヴァイヴしていくのかもしれない。

「新生音楽(シンライブ)」の第三段も少しずつ動き始めているところ。詳しいことが決まったらまた。


 *5/17追記:『渋谷エンターテイメントプロジェクトを通じ、全国のライブイベントへ活動支援を拡大』
ライブ配信とマネタイズと感染防止をトータルで考える取り組み。

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*All pics by H. Takano.


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