第二十六回:混ぜるな危険
前回の倉下さんからは、3万6800円の限定セミナーで語られている内容の一端をご紹介いただきました――っと、これは「半分冗談」とのことなので、たぶん1万8400円なのでしょう。はい、これも冗談です。
こちらの直球を素直に打ち返していただいたので、こちらも「コラボ」という直球を素直に打ち返すことにしましょう。そもそもこの企画が「コラボしようぜ」で始まっていますからね。
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さて、一般的にコラボというのは、第二回でも書いたように、1+1が2より大なりの結果に繋がることを期待して行われるものでしょう。あるいはもっと軽いノリで、「この人と組むと、なんか面白そうだ」くらいの期待度でも、行われたりします。
その影響が小さいか大きいかは別として、「コラボする」行為そのものが「話題を作る」方法の一つであるのは間違いありません。この「コラボ」によって生まれる効果を、ざっくり概念図にしてみました。重なっている部分は、互いの似ているところというイメージです。
このままでは1+1が2より小なりになってしまいます。ところが、重なっているところ、重なっていないところがさまざまな刺激を受けて、波及効果が生まれます。理想的なコラボは、このような状態になるでしょう。たぶん。
このように「要素間の局所的な相互作用が全体に影響を与え、その全体が個々の要素に影響を与えることによって、新たな秩序が形成される現象(小学館デジタル大辞泉:コトバンク)」のことを、「創発」と言います。
ちなみに、私が理事長をやっている団体が企画運営している「NovelJam」というイベントは、チームで創作することによってこの「創発」を引き起こすことを目的の一つとしています。
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では、とてもよく似た二人がコラボするとどうなるでしょう?
世の中にまったく同じ姿で、思考や行動まで同じという人は、恐らく存在しません。もしいたら、それはドッペルゲンガーといって、幻か生き霊の類いです。出会ったら死んでしまうので注意しましょう。
それは冗談としても、恐らく思考や行動が非常に似通った人というのは、あまり刺激を受けないため、波及効果が小さいと思うのです。では、ほとんど似ていない人がコラボするとどうなるでしょう?
恐らく、重なる部分が多すぎる場合と逆に、重なる部分が小さすぎるため、これまたあまり刺激を受けずに終わるのではないでしょうか。組んでみたはいいけど、あとから「なんであいつとコラボしようと思ったんだ?」と疑問に思ってしまうパターン。「音楽性の違い」というやつです。
あるいは、すさまじい化学反応が起きるかもしれません。ただ、その波及効果が、プラスに働くとは限らないのが難しいところ。おもいっきりマイナス方向へ振れるかもしれません。「混ぜるな危険」というやつです。
超新星が生まれると、爆発によって周囲にあったものは消し飛びます。そして、恒星の中心にあった重い物質や、超新星爆発によって新たに生まれたさまざまな物質が、周囲にまき散らさます。その後は中性子星かブラックホールに……こわい、こわい。まあ、超新星爆発なんて、めったに起きないわけですが。
なお、まったく重なる部分のない人たちは、コラボしようと思わないでしょう。なにせ、接点がないわけですから。
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倉下さんの、私以外との「コラボ」はどんな感じですか?
(倉下さんの原稿に続く)
最後までお読みいただきありがとうございました。