第二十五回:バーベル戦略で行こう!
では、どうやって話題を作ればいいのか? —— セール以外で。
前回は、463のゲッツーくらい綺麗な流れで話を振っていただきました。セールもなし。炎上もなし。それで話題を作る方法?
いいでしょう。本来は3万6800円の限定セミナーだけで教えている内容ですが、今回はこっそりその方法をお教えします。本当に貴重な内容なので、心の石板に刻んでおいてください。
○○を、話題になるまで続けること。
○○にはどんな施策・ノウハウを当てはめてくださっても構いません。ある意味で、万能の方法論です。どんな方法でも、話題になるまで続ければ、必ず話題になります。
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というわけで、「絶対に成功する雨乞い」のアレンジで冗談を書きましたが、これは半分冗談で、半分冗談ではありません。
冗談というのは、人はつながっていて、言い換えればネットワークを組成していて、その振る舞いは基本的には予想できないからです。何が話題になるのかを事前に予測することはできません。
ネットワークのハブとなる人間、いわゆるインフルエンサーに働きかければ、話題増大の期待値を多少なりともあげることはできるでしょうが、絶対的な結果を保証することは無理です。それをやろうとすれば、いわゆるステルスマーケティングにならざるを得ません。
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ネットワークの振る舞いが予想できないことを前提すれば、ほとんどの成功は「たまたま」だということになります。よって、この分野で語られる「勝利の方程式」はたいてい眉唾です。
「たまたま」成功を手にした人は、そうでない人よりも注目される度合いが高いので、その人が語る方法論が成功する確率は多少高くなる──基本的にはそれだけです。
サイコロで6の目が3連続で出る確率が216分の1しかなくても、500人くらいがサイコロを振れば、それを達成する人は出てきます。その人がどんなサイコロの振り方をしているかはまったく関係ありません。
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だったら、打つ手はないのかというと、むしろ話はまったく逆です。サイコロを、振り続ければよいのです。
前回鷹野さんが名前を挙げられた「ブラック・スワン」を提唱したナシーム・ニコラス・タレブは、その後に続く著作『反脆弱性』の中で、面白いことを書いています。
簡単に言えば、状況がどうなるかの予想などせず、リスクが小さくリターンが大きい行動を選択し続けること。これを「バーベル」戦略と呼んで、不確実な世界に対峙するための方法として提唱しています。
リスクが小さくリターンが大きいものは、もちろんめったに成功しません。しかし、そのリスクがほとんどゼロに近ければどうでしょうか。
何が成功するのかなど予測する必要などまったくありません。極論すれば、リスクの小さい「失敗」や「間違い」をひたすら繰り返し、その中で生まれる「たまたま」の成功を掴まえれば良いのです。
もちろん、その成功は「たまたま」によるものなので、ネズミ講的にノウハウを売るビジネスには使えないやり方ですが、セルフパブリッシャーにはあまり関係のない話ですね。
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では、セルフパブリッシャーの「バーベル」戦略はどうなるでしょうか。
どうしても必要なのはインターネットです。インターネットは、オプション性(リスクとリターンが非対称なもの)に満ち溢れています。これを利用しない手はありません。
極端なことを言えば、自分の著作情報をツイートすることも、たいへんオプション性がある行為です。金銭的リスクは小さく、しかしバズれば大きな効果が得られます。タレブが言っているのは、そういうことをたくさんやれば、どれかが「成功」を連れてきてくれるだろうし、そうならなくても自分には負担がほぼない、という話です。
わりと身も蓋もない話ですが、そんなに単純なことばかりでもありません。たとえば、ツイートがバズッたとしても、そこに書名が含まれているか、あるいは販売サイトへのURLが含まれているかによって、トータルの販売数はかなり変わってくるはずです。最終的な結果を制御することはできなくても、やり方に工夫を入れる余地があります。
たとえば、脈絡なく宣伝ツイートを放り込むのではなく、そのとき話題のテーマに絡めてツイートしてみる。それだけでも気にしてもらえる可能性はわずかにアップします。そうした小さい事柄が、数を積み重ねたときには効いてきます。
また、これは以前にも書きましたが、新作を出すこと自体が一つの大きな宣伝となります。新作そのものの周知に加えて、過去作品への動線をも生んでくれるのです。ここでは、二重にベネフィットが発生しています。実に素晴らしいことです。
とりあえず、自分のWebサイト、よく使われているSNSのアカウント、大きなプラットフォームでのお店(アカウント)あたりは持っておきたいところです。
そこに、ちょこちょこ情報を投下していくことがスタートになるでしょう。もちろん、何が成功するかは考えずに、いろいろ試すことが肝心です。
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まとめておきましょう。
・何が成功する方法なのかは気にしない
・小さな間違いをいっぱい繰り返せるようにする
これを維持するためには、「退場」しないことがもっとも大切になります。書き続けること、試し続けること。それが、たった一つの、あまり冴えていないやり方です。
くれぐれも、絶対の「成功」を求めるあまり、作られた成功に手を出さないようにしましょう。最悪一発退場もありえます。
もう一つ、話題作りに関しては、「コラボ」も有効だと思うのですが、鷹野さんいかがでしょうか。
(鷹野さんの原稿に続く)
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