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第二十七回:つなぐ、つなぐ

倉下さんの、私以外との「コラボ」はどんな感じですか?

と、前回鷹野さんに話を振っていただきました。

最初に断っておきますと、2018年は私にとってコラボ強化月間、いや年間です。これまでのセルフパブリッシングは、そのほとんどを「ひとりっきり」でやってきましたが、「かーそる」の活動が存外に面白かったこともあり、今年以降はそうした活動も増やしていこうと考えています。

そもそも私は、長年コンビニの店長をやっていたので、個人プレイよりも事実はチームプレイの──マネジメントの──方が得意だったりするんですよね。自分でもうっかり忘れることが多いのですが。

ともかく、そんなこんなで鷹野さんとのコラボ連載以外に、このnoteでもうひとつ同じ形式の連載を持っています。

こちらは主に仕事術・セルフマネジメント系のお話です。ぜんぜん分野が違いますね。

で、どんな感じかといえば、やはり勝手は異なります。雰囲気が違うと言い換えてもよいでしょう。でもって、だからこその面白さがあります。

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よく囲碁とか将棋の漫画で、盤面(試合)は二人で、つまり自分と対戦相手で作っていくものだ、という表現がありますが、コラボ連載はまさにそんなところがあります。

こちらが打つ、相手が打ち返す、再びこちらが打つ。そんなことの繰り返しで原稿は進行していきますが、なにぶん相手がいるわけですから、自分の思うとおりにはいきません。でもって、思う通りにはいかないからこそ「思う以上」のものに至れる可能性を秘めています。

たとえば、インタビューでも、相手から質問されたことによって、自分が考えていたことが芋づる式にボロボロと出てくることは少なくありませんし、書籍企画でも編集者さんからツッコミを入れられて、「これはこういうことなんです」とフィットする説明が口をつくこともあります。

つまり、自分の頭の中にあることって、自分で自由自在に取り出せるわけではないのです。相手が触媒になってくれて、はじめてズルズルと引き出される(エイリアンが内蔵を引き出しているシーンをイメージしてください)アイデアというものがあります。

で、私という存在は同一でも、他の人は一人ひとり違った存在なわけですから、相手を変えれば、返ってくる反応もまた違ってきます。ストレートのスマッシュが多い人、ひたすらにコーナーを付いてくる人。いろいろです。それによって、原稿の展開もまた変わってきます。

ただし、こちらがテニスをしようと思っているのに、相手がサッカーをしようと思っているならば、これはもう噛み合いません。だから、最低限の共通点は必要でしょう。

本連載であれば、私と鷹野さんは生粋のブロガーであり、ネット親和性が高く、セルフパブリッシングというものを肯定的に捉えている、という共通点があります。あと、二人ともデータが大好きですが、私はあまり自分の原稿には出さずニヤニヤ数字を眺めていることが多いのですが、鷹野さんは原稿の確度を上げるためにしっかりと数字を用いられます。この辺は共通点でもあり、違いでもあるところです。

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という話は、前回図解してくださったことの別の仕方での説明です。同じ対象でも、このくらい違った説明ができるのが面白いところですね。

で、今回取り上げたいのは、コラボのもう一つの効能、つまり「組むことで新しいコンテンツが得られる」こと以外のメリットです。

一体それはなんでしょうか。

ネットワークの共振です。

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ごく単純に考えましょう。私という書き手がいて、その書き手に注目してくれている人が何人かいます(何人かはいると思います)。でもって、鷹野さんにもいらっしゃるでしょう(たくさんおられると思います)。

この二つの環は重なる部分はあるにせよ、まったく同じではありません。ということは、二人が一緒にコンテンツを作れば、環が広がることになります。

たとえばですが、今この原稿を読んでくださっている方の中には、この連載を読み始めるまでは、鷹野さんことは知っていたけれども、私のことはぜんぜん知らなかったという方がいらっしゃるかと思います。でもって、その逆のパターンもあるでしょう。つまりそれが、この話の実例です。

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よほどトリッキーなことをしない限り、注目してくれる人の数を爆発的に増やすことはできません。でもって、自分がする自分の宣伝的活動は、その環の中にしか(基本的には)広がらないものです。

だとすれば、それまでよりも広いリーチを獲得したければ、自分の「領域外」に出かけなければいけません。でもって、コラボ企画はまさにその最初の一歩なわけです。

この点から言って、注目してくれる人(フォロワーと呼びましょう)がほとんど重なる人とコラボしても、たいした成果は期待できません。言い換えれば、同質のクラスタ内でのコラボの効果は限定的です。

かといって、まったく異質な人と組んでも、どちらかのフォロワーにとっては面白いが、そうでないフォロワーにとってはまったく面白くないコンテンツが生まれるだけでしょう。やはり成果は限定的です。

というわけで、結局ここでも、ちょうど良い重なり(ゴルディロックス・オーバーラップとでも名付けましょう)を目指すことになります。つまり、前回の図解とまったく同じ結論です。

◇ ◇ ◇

ここまでの話は、わりとわかりやすい話ですし、よくある話かもしれません。しかし、私が目指しているのはもう一歩先です。

先ほども書いたように、私はこのnoteでもう一つのコラボ連載を持っています。ということは、私をハブにして、この連載からもう一つの連載に興味を持たれた方がいるかもしれません。その場合、ノードが一つ離れた接続が生まれたことになります。

ではもし、私がこのようなコラボ企画を増やしていき、また私とコラボしている人が別の人とのコラボ企画を増やしていったらどうなるでしょうか。そこで生まれるネットワークはどんな形になるでしょうか。

おそらくそれが、弱々しい個人でもなく、かといって大型プラットフォームでもない、小さなリンクネットワークによる生存戦略の要となってくるでしょう。そういう予感があります。

というところで、いったん鷹野さんにバトンを渡しましょう。とりあえず拡げられるだけ風呂敷は拡げてみました。

(鷹野さんの原稿に続く)

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