読書感想文:恍惚の人/有吉佐和子
読書日記。「恍惚の人。」
…。
突然恍惚の人か、こいつ(2003年ころの自答)。
いや結構面白い。
さすが一世を風靡しただけある、現在の介護医療の地位の向上はこの本に負うところが大きいというのも頷ける本だ。
冒頭は祖母の死で始まる。
祖母が死んだ時には、誰も気付かないうちに祖父が呆け始めていた…、と言う恐怖。
主婦の昭子さんの苦労は並大抵ではなく、日本の男はこうだよなあ、家庭の主婦は大変だよなあ、と、逐一納得の描写ばかり。
現代に老いを抱えて生きるのは辛いことなのだろうか、その家族はどうか。
寿命は延びている、今現在、20代30代の若い世代でも、あっという間に老人になる。20代が、自分が現在老人と認定している世代になるまでにたったの40年弱しかないのだ、それを考えれば何もかも他人事ではないけれどね。
日本の介護行政が、と言って非難すれば済むことでもないけれど、各家庭の努力に任されて終われる問題でもないよなあ、となかなか複雑な気分になる本だった。
(これを読んだのは2003年ごろである。まさかその数年後に介護問題が浮上して自分が当事者になるとは思ってもいなかった時期のメモ)
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