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散文詩

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そのまま。もうちょっと若いころ(十数年前)書き散らした散文詩です。短歌の収納は今後考えます…。
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2021年3月の記事一覧

【詩】 十二進法の謎

ひとつ ふたつ みっつ よっつ いつつ むっつ ななつ やっつ ここのつ とお じゅういちとじ…

高梨 蓮
3年前
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春霞も彼方に遠く

晴嵐 晴れた日の 山にかかる霞 晴れた日に 吹き渡る山風 今日は黄砂が良く飛ぶと 予報…

高梨 蓮
3年前
9

【詩】 果てまでも迸る

迸る なにかが 届け 荒野の果てまでも 嘆きの壁も鉄の門扉も何もかも貫いて 砕け 貫け …

高梨 蓮
3年前
5

【詩】 数えることができない

そいつは 大きな数を数える ことができない 両手以上の数を そして 右と 左を 間違え…

高梨 蓮
3年前
12

【詩】 悪い夜の夢の住人

ほとほとと 遠く闇を歩く何者かの足音がする 沓音か 足音か いずれ それがまともな地を…

高梨 蓮
3年前
10

【詩】 あばらやの桜

春の淡い桜の色と 萌え出ずるこれからのもみじの新緑 抜けるような青空の元で ただ輝いてい…

高梨 蓮
3年前
9

【詩】 大切なことばは秘密にするものだ

俺は ふと見かけた その一言を ひどく 大事にしているのだが それもまたおそらく 大切なひみつのうちだ お前も 君も たやすく心を明け渡すな 愛した相手にも言うな 自分の大切なひとことを こころを かたすみを こっそりと 秘めろ

【詩】 正義のありか

たまさかに よわいものは いつでも つよいものに しいたげられるとか こえのおおきなものが…

高梨 蓮
3年前
10

【詩】 錆びついたすべてのもの

錆びついた 自転車 錆びついた 車輪 錆びついた 扉の鍵 錆びついた 塔の鐘 錆びついた 投光…

高梨 蓮
3年前
8

【詩】 泥細工の神殿

神殿伝説 世界でも 比類のない 比肩する者のないと言われた その人の 建築した その神殿も …

高梨 蓮
3年前
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【詩】 過去形の 少年少女へ

例えば 大人は信用出来ない とか 大人のくせに と言われるとする 否が応でも 君たちは …

高梨 蓮
3年前
12

【詩】 ちぎりて千々に流せ

よるべもない岸辺に 月のない夜に 塔で立つ灯りがすべてを掻き消すかつてを 波のさざめきの…

高梨 蓮
3年前
10

【詩】 無知の知

ソクラテスが 無知の知、と言うことを主張したと そう聞いた時 幼かった私はそれを鼻で笑っ…

高梨 蓮
3年前
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【詩】 琥珀色の悪癖

TORIS 安価 そして 御用達 危険信号 昔ならスキットルに入れた安酒 今は垢抜けた女がソーダで割る バス停に 電子の画面で表示された 繰り返す楽しげな広告が映るたびに 焼き付いた俺より前の 焼け野原の時代を生きた人々の 風が吹き抜けるあばら家での 俺の知らぬ時代の名残を思い出す 虎だ虎になるんだと テレビ画面の向こうで歌ったり 殴り合うしかすべのない少年が ロープの中でやはり殴りあったりしていた そんな時代さえ知らないけれど 琥珀色は