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【詩】 無知の知

ソクラテスが


無知の知、と言うことを主張したと
そう聞いた時
幼かった私はそれを鼻で笑った

知らないことは知らないことであり
無知は無知であり
愚かなものは愚かなものなのであろうと

その頃の幼い私にとって
世界は半透明の
骨組みだけでできた
単純なジャングルジムのように見えていた

それから幾年も過ぎて
私は自分が如何に愚かしく無知であったかを思い知る
無論今でも何も知り得ぬ世界の深さを知り得ぬ
闇の深さを知り得ず光りの強さを知り得ぬ
だが
ひとつだけ違うとするなら
やはり
知らないと言うことそのものを
己が愚か者だと言うことを
知るようになった
それが違うのだろう

愚か者


知り得ぬことがあると言うことを知ること
それが如何に大切か思い知る


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