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【詩】 ちぎりて千々に流せ

よるべもない岸辺に

月のない夜に

塔で立つ灯りがすべてを掻き消すかつてを

波のさざめきの煩さが

静寂と同義であったときの

山の黯さがかつて

走り抜けていく車のライトに切り裂かれていた

足の裏が何かぐにゃりとしたものを踏む

思い出す全てが明るい光が闇の影を浮き立たせて

沼と淵の境が消える

ぼうぼうと異国から殖えた蛙が鳴いて

知っているか

夜は

明け方がいちばんにさむい



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