絵本探求ゼミ第4期へ 再びダイブ

この8月末から始まったミッキー絵本探求ゼミ第4期。
一年の休眠を経て返り咲きました。
Noteも再開。

なぜ再び受講を決めたのか

一年の休眠で、このゼミ自体の”探求”というレベルが高くなっていて、果たしてついて行けるのか!?
そして、リアルゼミも含めた全日程、私はリアル受講できず、全て録画受講になるという悪条件。
他の学びも並行しているので、どこまで心血注げるか。
そんな不安もありつつも、受講を決めたのは、4期の学びのテーマでした。
~【絵本の絵を読む / 絵本翻訳研究】という二本柱です。
朗読畑の私はテクストを読む習慣は根付いていますが、絵をじっくり読むことの面白さや発見の喜びをもっと体感しかったのです。
そして何より!
”翻訳”絵本の世界について学べるのは、私にはミッキー先生以外に居ないからです。ただ直訳しているわけではなく、そこに絵本に向きあう本質があるのではないかという匂いがしたわけです。
諸般の不安はあれど、今しかないと、開講日に滑り込みました。

翻訳絵本を一冊選書して自己紹介する、という事前課題


◆翻訳絵本への関心はあるショックから

”翻訳絵本”と言われて一番先に思い出したのはレオ・レオニー『あおくんときいろちゃん』。英語版では『little blue and little yellow』
小樽の絵本・児童文学研究センターに通ていたころ、講座の中で、男の子は青、という日本の古き概念が、ジェンダーフリーであろうこのタイトルから日本流に英訳され、広く日本文化に馴染みベストセラー本となっていることを知り、とても衝撃を受けました。
英訳はただ字面を訳するだけではなく、その文化や国民の意識の違いが如実にこのようにでるものなのか、それが後世に語り継がれる影響や言葉の責任というものなのかを感じた最初でした。

◆自己紹介~翻訳絵本

事前課題であるここで私の自己紹介代わりにご紹介したい翻訳絵本は、
シェル・シルヴァスタイン作『おおきな木』です。

◾️ おおきな木/シェル・シルヴァスタイン作、村上春樹(翻訳)/あすなろ書房
◾️おおきな木/シェル・シルヴァスタイン作、ほんだ きんいちろう (翻訳)/篠崎書林

英語で読める『おおきな木』〈日本語訳付き〉
シェル・シルヴァスタイン作、村上春樹(翻訳)/あすなろ書房


巷に出回っているものは2010年に発刊されている村上春樹氏の訳。
村上春樹氏の小説は私の好物!
なのですが、
1976年に翻訳され今は絶版になっている本田錦一郎氏訳としばしば比較されることが多いようです。
原書ではタイトルが『The Giving Tree』
本に書かれてある木のあり方そのものを表しているタイトルそのものでした。これも衝撃の事実。

givingに対する訳は、giveへの国や人による意味合い、時代背景や作者の意図によって、訳が成り立っていることを強く感じます。
村上春樹氏は30年以上親しまれた本田氏訳のイメージをなるべく壊さないように配慮したのではないかと思われます。
が、それでも2人の訳者の比較としてよく取り上げられるのは、文中の[but not really]の部分。木田訳では「だけど それは ほんとかな。」と、相手に問いかける文体なのに対し、村上訳では「なんてなれませんよね。」という推測的断定の文体です。

本田訳の方が表現が柔らかくて日本人に馴染みやすいのでしょう。子どもに読ませるにはこちらの方がお薦めとする意見も多いところですが、原書では疑問系ではないので、賛否両論ある所以です。ここがこの本の肝のひとつであることから、比較論が沸騰するのも無理はありません。

giveの意味は西洋人にとっての愛であり、生き方そのものなのかな、と最近捉えることが出来るようになりました。自己犠牲!?とも思えるこのリンゴの木のあり方は、当初、私には痛すぎて切なさしか残りませんでしたが、この放り出されそうなラストの余韻こそ海外の本らしく、自分の人生すら達観するドライさと自己責任、罪深き人間の贖罪が根本にあるという背景を想像しています。それに対して日本人好みの最近の物語は、ハッピーエンドが多いと感じています。

このゼミ受講を機に私もこの2つの訳を原書と照らし合わせて、もう少し掘り下げて考えてみるのも面白そう!と思っています。
日本人の人生観、死生観の違いも浮き出て来るように思えています。
この絵本(そもそもこれを絵本とと呼べるのかしら?)のシンプルなイラストも最近気に入っています。背景などは描き込まず、語りたいもの、伝えたいものだけをシンプルに描く、というスタイル。
今の自分に欲しいスタイルです!



多趣味多動な私、今回の絵本ゼミはあちこち色気を出さず(笑)学びに集中!!目標宣言でした。常時追っかけ学習となりますが、リフレクションも頑張ろう、と初心に返り、決意を新たにしています。

このゼミで得たいもの=目標

私のライフワークは朗読中心ではありますが、今年になって”絵本読み聞かせ”講座のオファーが数件、光栄にもお仕事としてお話を頂くことが続きました。
絵本に関する学びをこちらで最新更新し、ゼミの皆さんとの共創からバージョンアップしたうえで、今後のお仕事に向かいたいと思っています。
また、読み聞かせのスキル・テクニックをお伝えする前に、どうしても聴き手の子どもファースト・絵本ファーストの精神を時間を割いて熱弁してしまいますが、そういった本質論から、探究する視点を養い、その思考回路と伝える技を身につけ、参加者が直に知りたい読み聞かせテクニックの土台にしたいと考えています。今までの指導内容の基礎部分を頑丈にし、肉付けしていくイメージです。
マインドと理論を持った読み聞かせをする大人たちを増やし、絵本を介して子どもたちの心と智に届け、人生を強く心豊かに、愉しんで過ごせますように。そんな幸せの種まき人になりたいです。



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