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adyn -避妊ピルを安心・安全・簡単に-

スタートアップ名 adyn (アディン)

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※adynのサイト。まだサービスは展開しておらず、Early Access(早期アクセス)のみ可能。

Early Access: この早期アクセススタイルもよくシードレベルのスタートアップがやる手法です。正式公開前の段階での登録人数をユーザー獲得予測数として資金調達を狙います。ちなみにadynは、最近250万ドル(約2.5億円)の資金調達をしました。ちなみにWiki情報によると元々はコンピュターゲーム開発の資金調達方法としてはじまったらしい。へえええー

何をやってるの? 家で簡単にできるキットでホルモン、DNAなどの検査をして、個人に最適な避妊ピルを選べる・処方できるサービス

カテゴリー  DNA検査および、サブスク(定期購読)サービス

業種 薬剤・ヘルスケア

サイズ シード

シードって何?って方は、私の最初のブログをお読みください↓ 

取り組んでいる課題解決

避妊ピル”をみなさんご存知でしょうか?

あまりご存知ない方は、「避妊できる薬」ぐらいの認識かもしれませんが、実は避妊以外にも様々な効能があり、月経時の腹痛や体の不調を抑え、月経困難症や月経前困難症(PMS)の改善にも効果があります。

かくいう筆者も避妊ピル歴10年以上です。

きっかけは日本の企業で働いていた時に激務とストレスで月経不調が続き、(マジな話、3ヶ月こないと思ったら、1ヶ月で2回きたり、出血多量で倒れたり、本当今思い出してもしんどかった‥😭)婦人科にいったらお医者さんに「あなた、エストラゲンが80歳のおばあさんの10分の1しか出てないわよ。このままいくと将来妊娠できないわよ!」と警告を受け、服用しはじめたのがきっかけです。

私も「え?避妊ピルって避妊する為じゃないの?」と思いました。当時のお医者さんの言葉を借りると「ホルモンの蛇口が壊れてホルモン量がおかしくなっている状態を一回蛇口を閉めることによって調整する」だそうです。

おかげさまで、避妊ピル歴10年中、月経の腹痛や頭痛・イライラに振り回されることもなく、毎年の子宮検査も健康で、快適なアラフォーライフを過ごせております。避妊ピルの効果・効能に関しては下の山口クリニックさんのこちらのページをご覧ぐださい。

単純に、避妊目的でも服用されている方もたくさんおります。ハワイで私の周りの友人の服用率は90%ぐらいです。「月経時のトラブル改善にもなるし、コンドームなどの男性主導の避妊方に頼らず、女性主導で避妊もできる」という感覚で服用している友人が多い気がします。

日本の避妊ピル事情:日本は避妊ピル後進国だそうです。”Contraceptive Use by Method 2019”のデータによると、ノルウェー25.6%、英国26.1%、フランス33.1%、カナダ28.5%、米国13.7%。東アジアでは、中国2.4%、香港6.2%、韓国3.3%となっています。また、東南アジアのピル内服率は、ミャンマー8.4%、ベトナム10.5%、タイ19.6%、マレーシア8.8%、カンボジア13.7%。なんと日本は2.9%だそうです!後ろから数えてビりケツ‥2位。
日本がなぜ避妊ピル後進国かという説明は、all about 20th の記事をぜひご覧になってください。

しかし、この避妊ピルですが、服用開始時や服用時に、にきびや体重増加、血栓やうつ病などの副作用もあります。 Journal Contraceptionに掲載された研究によると、米国では毎年、10,000人の女性のうち5〜10人が血栓ができたという報告もあるそうです。

そこでadynは、自宅で簡単に採取できる唾液と指からの少量の血液サンプルを検査し、収集してホルモンレベルを測定し、血栓とうつ病の遺伝的リスクを測った上で最適な避妊ピルをユーザーにお届けすることで、できるだけ副作用やリスクを抑えながら、女性が安心・安全に避妊ピルを服用できる社会を目指すために作られたスタートアップなのです。

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※"Choosing your birth control is a science, not an art" とは、避妊ピルを選ぶのはアートではありません。化学の力です。ってこと。自分のデータに基づいて適切な避妊ピルをというメッセージですね。

ビジネスモデル 日本では、あまりなじみがないかもしれませんが、この唾液とか血液をお送って遺伝情報を調べるていうスタイルはアメリカで爆発的に流行していました。

ちょっと前だと、23andMe、 Ancestryといスタートアップが流行りました。(23andMe株式公開しましたのでもうスタートアップとは言えませんが‥)

どういうサービスを提供しているかというと、自分の唾液を送って、その遺伝情報を調べてもらい、自分の先祖のルーツ(他にも食物アレルギーとかアスパラを食べるとおしっこが黄色くなる?とかどーでもいい情報も)を知るというサービスです。日本ではほとんどの方がひいじいちゃん、ひいばあちゃんまでだれか認識してるかもしれないのでニーズがあるかわかりませんが、移民大国アメリカは、3世、4世ぐらいになると、もう祖先がどこから来たのかわからない。なんてことよくあるので、結構これで先祖を知るっていうのが流行ったんですよね。

ただし、このビジネスモデルにはおおきな欠陥があります。それは、消費者のリピート率が非常に低く、一度調べると満足して、もう2度目の購入をしないということです。実際23andMeも2020年のはじめに大リストラをしてコストカットを測ったりしています。そういう時にこういったスタートアップがどういうことをするかというと今まで収集したデータを使って商売をはじめます。

23andMeの事例を使って説明すると大きな製薬会社といくつか提携を結んでいます。これに関する記事をいくつか読みましたが、おそらく今まで収集した遺伝データを使用して、薬剤開発を行っているようです。

さて。長くなりましたが、ここでadynに話をもどします。上記を踏まえるとadynには以下2つの消費者カテゴリーが存在します。
1)安全な避妊ピルを購入したい女性消費者 B to C
2)唾液・血液検査で得られたDNA情報と女性の健康に関するデータが欲しい製薬会社や保険会社 B to B 

B to B、B to Cとは:B to Bとは、Business to Business を指します。言葉通り、ビジネスVSビジネス。企業が企業に商品やサービスを提供するモデルです。逆にB to CとはBusiness to Consumer。消費者に直接、商品やサービスを売るモデルです。B to Bの例でいうと、”Intel” 。インテルはパソコン用のチップをパソコン製造会社に売ってるのでB to Bになります。逆にB to Cは、みなさまに身近な百貨店や、コンビニエンスストアです。消費者が直接購入するのでこのB to Cに入ります。一般的にスタートアップ業界は受注単価が大きいB to Bの方が事業拡大がスムーズのため、こちらを狙ったビジネスの方が好まれます。細かい説明は、ベネッセさんの就活サイトのこちらをどうぞ。

1)のビジネスモデルに関して、adynが一発屋サービスの23andMeなどと違うのは、DNA検査の後に消費者の避妊ピルの定期購読が紐づいていることです。検査自体は一発でも、その後スムーズに、避妊ピル定期購読購入まで流れるスキームをつくれば、そちらでサブスクのビジネスモデル完成です。

定期購読スタイル:英語では、サブスクリプションサービスと呼ばれます。日本でも最近”サブスク”と言われて根付いてきましたね。一度ユーザーを獲得してしまえば、黙ってても、毎月ちゃりんちゃりん入ってきますので、B to Cのスタートアップには非常に好まれるスタイルです。みなさんご存知のZoom, Netflix, などもこちらで成功しています。ただし、一度サービスが根付いてしまうと、逆に、新規顧客の獲得が大変だったり、定期的に更新・改善していかないと、お客さんが飽きて競合に寝返ってしまうので、継続努力はかかせないのであります。(誰だお前)ところで、定期購読以外のいい日本語ないのかな?誰か教えて。

2)のデータに販売については、ある程度adynが市場に根付いて、たくさんの人のデータが集まったら展開可能になるでしょう。前のHohonuの記事でも書きましたが、データは絶対です。そのデータさえあれば、いろんなところで勝負にでれます。AmazonもGoogleもFacebookも(GAFAとかGANFAってやつですね)全てデータを牛耳っているから強いわけです。とは言え、自分の遺伝情報を買ってに売られるってちょっと不安ですよね。私も23andMeを試した時に「自分のDNAデータ情報を渡すのはなあー?」と思ったのですが、人間の化学の進歩、特に医療・健康系に関してはいろんなデータがあるからこそ進歩するわけです。そう考えるとデータの提供も使用も表裏一体・紙一重(使い方あってる?!)。

ただ、アラフォーの筆者は自身も含め、周りも友人・親戚も女性系の悩み抱えている人がおおいので、この女性特有の健康を改善するのにこのadynのデータが役立つのであれば、是非とも協力したいところであります。

実際、adynは、避妊ピルに加えて、データを活用して、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)や子宮内膜症の診断、閉経後の健康維持相談のサービスも展開していく予定だそうです。

私の個人的感想 さて今回のスタートアップ紹介で3回目になりました。ハワイのスタートアップを紹介するって言ってたのに、なぜ3回目早々にこのシアトルのスタートアップを紹介したかといいますと、もっとこのフェミテックについて日本人に知ってもらいたかったからです。

フェミテックとは:女性特有のニーズや課題解決に特化したテクノロジー、スタートアップ。例えば、adynのような避妊ピル、生理用品、更年期障害対策、女性用のセクシャルトイなどの開発・販売・サービス展開をしているところです。

海外には、このフェミテックが無数に存在します。避妊ピルのスタートアップもとても多いので、実はadynにも競合がたくさん存在します。

しかし、まだまだ発展途上中の業界ではあります。なんと言っても資金調達が難しいので有名です。なぜかというと投資する側がほとんど男性のことが多いので、女性特有の課題になかなか寄り添ってもらえない!という理由があげられます。

逆にみると、だからこそ急成長中する可能性を秘めているということでVC界隈ではかなり目を向けられている業種です。

adynの競合のpill clubというスタートアップはすでに620万ドル(約62億円)の資金調達をしていますし、筆者のリサーチによると4つのユニコーン企業(創業10年以内で評価額が1000億円以上のスタートアップ)が存在するそうです。

でもでもでも!!日本はこのフェミテックがすごく少ない!女性起業家が育ちにくいということもありますが、やはり投資側が圧倒的に男性社会だということが一番のネックではないかと思われます。

米国もそうですが、日本のVCや投資側の男性割合は比にならないほど多いです。世界「男女平等ランキング2020」で、この前、日本は121位で史上最低になりました。G7ダントツ最下位で中韓にも負けております。

筆者はフェミニストではありませんが、実際、日本人女性として、多大な社会プレッシャーを感じて生きてきました。だって、学生の時は「勉強しろー、いい大学入れー、いいとこ就職しろー。」と言われ、いざ社会人になって30近づいてきたら「結婚しろー、子供産めー」ですよ。
「女性の社会進出をもっと促進すべきだ!」って言いながら「少子化対策でもっと婚活させて、出生率をあげろ」って、少なくとも今の日本の社会とか環境では女性にしか負担がかかりません。「働きながらパーフェクトママやれ」ってどんなスーパーウーマンですか?!

と‥感情的になってしまいましたが、何が言いたいかというと、正直、男女平等にしろ、とか、男性社会がどーのこーの言うつもりはないのですが、こういったフェミテックがもっと日本でも活発になり、市場に浸透すれば、悩める女性たちのストレスや不健康、ホルモントラブルが改善され、女性がもっと、社会進出や子育てもやりやすくなるのでは?ということを言いたかったのでした。

私自身も悩めるアラフォーであり、だいぶこじらせております。(文章から垣間見れるかとは思いますが)周りのアラフォー友人も社会のプレッシャーからのストレスで、絶賛こじらせ中が多いです。ということは解決策を求めている女性が多い!ユーザーが多い!市場が大きい!ということなので、日本から日本初の世界ユニコーン規模のスタートアップをフェミテックから出したいと思っている筆者の叫びをお届けしました。

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