見出し画像

町田ゼルビア内定の法政大FW佐藤大樹。愛ある決別と37歳の2人のベテランFWから得た刺激を覚悟に変えて、いざ突き進む。

アミノバイタル2回戦。関東大学サッカーリーグ1部で2位に位置する法政大は、関東2部リーグに所属する立教大を相手に、苦しみながらも2−1の勝利を収めて準々決勝進出を手にした。

殊勲の決勝弾を決めたのが、途中出場の来季町田ゼルビア入りが内定しているFW佐藤大樹だ。

画像1

1−1で迎えた57分にFW飯島陸と代わって投入されると、連戦の疲労とボランチの松井蓮之がアクシデントで前半で退いてしまった影響を受け、中盤が間延びしてしまう苦しい状況下でも常にゴールを狙い続けた。

「ボランチとの距離は感じましたが、(田部井)涼も、代わって入った渡邉綾平も長い距離のキックが得意な選手なので、僕は信じて裏を狙い続けましたし、両サイドからクロスが来ることを信じて点が取れるポジションにいることを意識しました」。

彼のこの姿勢が停滞しつつあった試合に流れを生み出す。左からのクロスに対して鋭いターンで前を向くと、迷わず左足を一閃。シュートは相手DFに当たってゴールには至らなかったが、彼からゴールの匂いが漂うようになってきた。

画像2


そして77分、左サイドのスローインからFW中井崇仁が深く切れ込んだ瞬間、「自然と体が動いた」とファーサイドにできたスペースに潜り込むと、そこに中井から山なりの折り返しが届いた。

ボールの対空時間が長かった分、ゴールカバーに入っていたDFも反応できたこともあって、ヘッドで合わせるには難しいボールであった。

だが、彼は迷わず思い切り踏み込んで真上にジャンプをすると、まるで空中で時が止まったように首を振り上げた状態でゆっくりと落下してくるボールを待ち受けると、上半身を鞭のようにしならせて頭で叩きつけた。

あまりのヘッドのスピードの速さに、ゴールカバーをしたDFの反応が遅れ、なんとかボールを掻き出すも、すでにボールはゴールラインを破っていた。

かなり難易度の高いヘッド。彼のゴールへの気迫と鍛え上げたフィジカル、そして最高到達点で合わせる感覚と技術。全てが凝縮されたファインゴールだった。

「僕が入ってからクロスから決め切るという形ができていたのでずっと狙っていました。ヘッドは武器だと思っているので、ああいう形で狙えて良かったと思います。ジャンプ力は僕の中で自信があるので、高さで叩きつけるのは自分の武器。そこは自然と体が動きました」。

試合後、こうゴールを振り返った佐藤の心は今、熱く燃え滾っていた。

※本文、写真の無断転載、スクショによるSNS等への投稿はいかなる理由であろうと禁じます

※単発での購入も可能ですが、月刊で「安藤隆人の取材ノートとカメラから紡ぎ出す物語 」を定期購読していただくほうがお得です。


ここから先は

2,407字 / 3画像

¥ 250

これまで22年間、全国各地、世界各国を飛び回ってきました。今後もそうした活動を継続したいと思っております。もしサポートを頂ければ、これからの更なる活発な取材活動に活かしていきたいと思います!よりディープな話題、選手の本音を引き出し、有意義なコラムと写真を出して行きたいと思います。