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ことばを求めて

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なんでことばに惹かれるんだろう。
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記事一覧

放任と成長の幸福論

アランの「幸福論」という本がある。僕は普段本を読んで泣きそうになることはあんまりないのだ…

僕たちの平成が終わった。|「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」を見て

感情が溢れてしまいそうなので、読書感想文から逸脱して、映画感想文を書きます。今週公開され…

短歌よりもさらに短い俳句という表現について|「遠山」を読んで

これまで短歌が好きで王道の歌集から個人制作のものまでいろいろと目につくものを買っては読み…

使い古された選択の積み重ねがわたしをつくる|「すべて真夜中の恋人たち」を読んで

自分の人生とは、自らの選択の積み重ねでできている。 そう信じて疑わなかったが、自分自身の…

もう引き返せない未来と、帰る場所|「哀しい予感」を読んで

完全なるジャケ買い。表紙に惹かれて、古本屋で買ったのがこの吉本ばななの「哀しい予感」だっ…

悦びと腐敗のポストキャピタリズム|「人類堆肥化計画」を読んで

「人類堆肥化計画」とは、これまた大変な思想を掲げてくれたものである。今年の後半で僕自身が…

予言としての日常・ことば|「予言」を読んで

短歌の常識を覆してくる作品に出会った。鈴木ちはねさんの「予言」である。 今年「第二回笹井宏之賞大賞」を受賞した同作だが、そんなことはつゆ知らず、ただ本屋さんの棚に並んだ「予言」の文字が気になって、手にとっただけのこと。まず装丁が好きで(これはいつも本を買う時の絶対条件であるが)、パラパラとめくって読んだ短歌があまりにシンプルなことに驚き、ここには何か秘密があるんじゃないかという謎の直感で買ったのがこの本だった。あれはたしか京都駅前のイオンにある大垣書店だ。 東京に戻ってこ

それでも、生きているんだということ|「星に帰れよ」を読んで

佐々木俊さんの装丁に惹かれて買った「星に帰れよ」は、第57回文藝賞優秀作を受賞した16歳の作…

言葉の天才が生み出す「普通」|「天才による凡人のための短歌教室」を読んで

自らを「天才」と呼ぶ人には二つのパターンがあると思っていて、一つは「凡人としての天才」で…

流れる言葉の魚拓たち|「夜景座生まれ」を読んで

読み終わった途端に、ただ静かな星を見上げる海辺の景色が浮かんだ。それは夜だった。そこには…