教養としての食べ方


 松井千恵美著「おとなの清潔感をつくる 教養としての食べ方」を読みました。著者はホスピタリティと品格ある“教養としての作法”を広く教えるマナー講師で、箏の家元でもある方です。「おとなの生活感をつくる」というのがいいですね。年齢を重ねるごとに清潔感が薄らいでいきますから、どこかで補いたいものです。

 和食では、「旬」なんて言う言葉を聞きますが、私自身はこれに疎いです。その「旬」はさらに贖罪の出始めである「はしり」と食べごろの「さかり」と「旬」の終わり頃の「なごり」の3つに分かれるのだそうです。疎いところがさらに細分化されてしまうので、ちょっと戸惑いましたが、初鰹は「はしり」、戻り鰹は「さかり」なんて言う風に聞いたことのある言葉を当てはめて頂いたので、分かりやすかったです。

 「会席料理」という言葉は良く聴きますが、「会席料理」と「懐石料理」があるそうで、そういえば両方見たことあるのですが、併記されていることはないので違いも知りませんでした。「会席料理」は酒宴向きの料理で、「お酒を楽しむための酒菜で構成されている」そうです。で、食事の終わりかけにご飯がでてくることが多いのですが、これはご飯が出てきたところでお酒は終了とのことでした。全く知りませんでしたが、大抵ご飯が出てくるころにはフラフラになっていて、もちろん、そこでお酒を終了することもなかったので、ちょっと覚えておきたいと思います。「懐石料理」は茶道から派生した、お茶を味わうことが目的のもので、ご飯は最初から提供されるのだそうです。全然知りませんでしたが、私、おそらく「懐石料理」は食べたことないと思います。

 和食、洋食、中華に分けて解説してくれるのですが、共通して言えるのは「手皿」はNGということ。この「手皿」も初耳でしたが、お刺身などに醤油をつけて食べるとき、醤油が垂れないように箸でつまんだお刺身の下に手を皿のようにして添えることを言うそうです。これ、やっちゃっています。和食では食器を持ち上げたり、懐紙を手に乗せたりするべきだそうです。ただ、洋食と中華は食器を持ち上げない方が良いそうなので、そうなるとついつい手皿をしてしまいそうですが、気を付けたいと思います。先月読んだ「教養としての着物」にも懐紙について書いてあったので、懐紙はカバンに忍ばせて置いても良いかなと思いました。

 歴史をさかのぼって、どうしてそうするべきなのかを解説してくれているので、興味深く読ませて頂きました。全部覚えるのは流石に大変ですが、読んでおけばポイントはつかめるような気がします。首席で酔っぱらう前に、本書のことを思い出したいなと思います。

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