生くる 3

 続きです。

2、狭小なる自己を超越するために、先人たちが如何にして生き、如何にして死したかを知る。
 一個人の経験は限られたものでしかないので、読書を通して著者たちが生きた時代、精神、環境を追体験することが重要で、そうすることで自己の経験の枠を広げることが出来るということです。時代背景から、奴隷を使っていた著者がいたり、女性を軽んじていた著者がいたりなんていうこともあるようですが、そうしたことは現代から見た一方的な見方でしかありませんから、時代背景も鑑みた上で、大切なことを読み取ることが必要なのでしょう。

3、 自己の存在の根源としての先人たちの英知を学び、それを自己に有用にもちいる
これを達成するためには「一つも否定してはいけない」ということでした。人間は一つ否定すると、自己正当性の確立のために次々と否定し始めるとありました。ちょっと理解しづらいのですが、否定するわけにもいきません。「英知を学ぶには『いいとこどり』は絶対に出来ない」ともありましたが、これは稲盛哲学を勉強していても思うことです。自戒も込めて、数多く人生について、仕事についてご指南を頂くのですが、共感できるところが多いといっても、どうしても苦手なところ、受け容れづらいところもあります。そうした部分も一切否定せずに、丸飲みしないといけないのでしょう。言葉の解釈も自分に都合よく解釈してしまうことがありますが、そうしたことも著者の言う「否定」と同じかもしれません。

4、 自己に内在する活力と使命を自覚する。
 「人類の歴史は各時代とも心身ともに秀れた人は少数しかおらず、大多数の人間は私利私欲の虜となり物質万能、拝金主義で生きてきたと見受けられる。」とありましたが、残念ながらおっしゃるとおりですね。そういう環境ですから、そこにいれば自己は愚劣化していってしまうのですが、それを読書で補完しなければいけないとありました。「良書を読むと、時代にふりまわされない存在としての自己確立が進んでくる。」ともありましたが、なにより「ふりまわされない」というのは、まだまだ未熟ではありながらも私自身も読書によって確立されたと思っています。

 次回に続きます。

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