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2040年11月3日

朝のモヤモヤと戦いながら、アラームを止めたスマホにある通知が流れ込んできた。今日のネタは父さんの会社のIT組合からのメールだった。「脳にチップを埋め込んで、未来のアインシュタインになろう」というキャッチコピーに思わず吹き出しそうになった。うーん、私たちの脳に宇宙の謎でも解明させる気なのかな笑

少し信じ難くもあるが、富裕層の中では今流行しているらしい。なんか僕はついに自分の魂をAIに売ってしまうような気がして、気が引けるけど。利用の目的は、仕事の効率化やうつ病の改善のためらしい。手のひらに収まるようなチップが、私たちの思考を文字や行動に変換してくれるとか。会議をしている最中や、公共の場とかでもいつでも自由に仕事やクリエーションができてしまうので便利なようだ。

僕が今の父の年齢になる頃は、キーボードを叩く指も、マウスを動かす手も、もしかしたら古代人が火をおこす石器みたいになっちゃうのかな? そして、私たちの心の奥底にある暗闇を照らし出す小さな灯りも心でなくてAIになってしまうんだろう。うつ病とかの精神疾患だって、この電極による刺激で治ってしまうらしいしさ。

でも、ちょっと心配。10,000,000円という値札を見ると、わくわくするよりも、財布の紐がキュッと締まる感じがした笑

大学のサークルで話題にしたら、「それ、脳にチートコード入れるみたいでカッコいいね」とか言ってる子もいたけど、僕はどちらかというと慎重派。だって、自分の思考がどこかに漏れちゃうかもしれないし、プライバシーの壁が紙一重だしね。

でも数十年後、もしくは数年後、仮にみんながチップを埋め込んだら、何を考えてるかなんて、みんなの顔を見るだけでわかっちゃうかもしれない。そしたら、心の内側を隠すカーテンはどこに行くの? 自分だけの小さな宇宙は、星屑になって消えてしまうのかな。

夜になると、これらのことを窓の外に浮かぶ月に話しかけるように考える。結局、私たちって、夜空を見上げる子どもの心を忘れちゃいけないのかもしれない。

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